経済学部 開設記念シンポジウム 新しい経済成長と関西経済
2010年9月5日、「摂南大学経済学部 開設記念シンポジウム 新しい経済成長と関西経済」を開催しました。
会場の大阪ビジネスパーク円形ホールには約500人が訪れ、熱心に聞き入っていました。
開催概要
[開催日] | 2010年9月5日(日)3:30~15:50 |
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[会場] | OBP(大阪ビジネスパーク)円形ホール |
【主催】 | 摂南大学 |
【後援】 | 京阪電気鉄道株式会社、大阪商工会議所、社団法人関西経済連合会、社団法人関西経済同友会 |
【協力】 | 日本経済新聞社大阪本社 クロスメディア大阪営業局 |
パネリスト | |||
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森永 卓郎 氏 獨協大学経済学部教授、 経済アナリスト |
佐藤 茂雄 氏 京阪電気鉄道株式会社 代表取締役CEO、 大阪商工会議所会頭 |
八木 紀一郎 氏 摂南大学経済学部長・ 教授 |
蛭川 雅之 氏 摂南大学経済学部教授 |
コーディネーター |
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住友 真世 氏 フリーアナウンサー |
プログラム
学長挨拶 | 今井 光規 | |
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基調講演 | 森永 卓郎氏 | |
パネルディスカッション | 森永 卓郎氏 | 佐藤 茂雄氏 |
八木 紀一郎 | 蛭川 雅之 | |
コーディネーター | 住友 真世氏 |
基調講演
「経済効果の変化~日本経済の長期展望」
森永 卓郎氏
この四半世紀、関西経済は不振にあえいできた。それは金融資本主義がもたらす経済構造のゆがみに起因する。イギリスのサッチャー政権の金融ビッグバンは「おカネがすべて」という風潮を広めたが、日本もその波にのまれ、長きにわたり金融資本主義の下でマネーゲームが横行した。しかしそんな状態が長続きするはずもなく、今ようやく25年も続いたバブルが崩壊したのである。まともな経済構造が動き始めた今、力を発揮するのは地域経済です。そこで私は日本ラテン化計画を提案したい。日本が目指すべき経済モデルはイタリアだと考える。イタリアは去年一人当たりの平均所得(一人当たりGDP.名目値)で日本を抜いた。それはイタリア製の車やスーツをみてわかるように、中国と競合しない商品をつくってきたからだ。価格競争に陥れば人件費の安い中国には勝てない。日本も付加価値で勝負するしかない。もう一つ、イタリアのジョイントベンチャーの考え方も参考になる。例えば服なら布地、縫製、デザインなどの得意分野をもつ中小企業が集まり、ここにプロジェクトリーダーを構える。こうしたイタリアの事例を見習う上でのネックは、日本人がすぐに暗くなってしまう点だ。イタリア人は辛くても決して暗くならない。新しいものを生み出すにはこのマインドが必要だ。その点、関西は有望。常に人を笑わせようとするし、わくわくどきどきして新しいものをつくる点では他地域を圧倒している。まずは明るく振る舞い、職場をラテン化することからはじめてほしい。これからの経済社会に必要なのは、わくわくどきどきから生まれる小さなアイデアを積み上げ、付加価値の高い商品をつくることです。
パネルディスカッション
「新しい経済成長と関西経済」
はじめに本学の経済学部長・八木教授が「現在、景気は回復過程にありますが、この前後5年のうちに先進諸国が後退し新興経済諸国が発展する形で世界の経済構造が変化します。日本が成熟を通り越して、衰退しないための対応は何か」という問題提起を行った。また、「日本は欧州がとっている道を参考にすべきです。欧州連合(EU)は、2020年目標の新しい成長戦略を決定しました。ポイントは3つで、スマートな成長、サステナブルな成長、インクルーシブな成長です」と述べた。
蛭川教授は「イノベーション、ベンチャーキャピタルと経済成長」をテーマに発言し、「ベンチャー企業を資金面で支援するベンチャーキャピタルの投資はむしろイノベーションを減退させる」という研究成果を発表、「資金供給だけではイノベーションや経済成長に結び付かない」とした。
佐藤氏は「モノづくり産業、ツーリズム産業、ライフサイエンス産業の3つを、地域経済を牽引するエンジン産業と位置づけている。そのうちツーリズム産業はこれから。アジアの成長を取り込める観光促進を中心とした新ビジョンを大阪市と連携して推進する」という構想を披露した。
森永氏は「関西経済は追いつめられている」としながらも、関西の文化的蓄積に注目し「発想を転換すれば世界の中心になれるパスを持っている。また、関西は東京に比べて住みやすい。新しい発想は住みやすい街から生まれる。大阪の『まあ、ええか』の文化を大切に進んでほしい」と述べた。
最後に八木教授は、「関西にある人、モノ、カネのさまざまな可能性をどう結びつけるかが課題」としたうえで「例えば、欧州連合のような関西全体の経済圏ができれば強みになる。人の面ではスマート、つまり知的な能力を育成しながら、皆が参加できる環境を整えることです。大学は大きな役割を担っていると実感している」としめくくった。
当日の模様
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会場の様子 | 学長挨拶 | 森永氏基調講演 |
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森永氏基調講演 | パネルディスカッション | パネルディスカッション |
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花束贈呈 | 森永氏挨拶 |