※写真撮影時のみマスクを外しています。
摂南大学の経済学部を選んだ理由は?
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私の場合は好きな数学を活かしたかったことと、経済学部生の就職先が多岐にわたっていて、幅広い分野で活躍できそうだと感じたからです。
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経済学部の学びで経済学の印象はどう変わった?
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「経済学入門」の授業でゲスト講師の読売新聞・戸田氏から
新聞の読み解き方を学んだ -
私は経済だけを学べばいいと思っていましたが、法律や経営など多様な分野の学問の知識が必要で、それらをいかに結びつけるかが経済学の学びだと気付きました。
私も数学を用いて経済現象を捉え、政策に結びつけるイメージを持っていましたが、フィールドワークで地域住民の実情や思いを踏まえて考える必要性を実感しました。後藤ゼミでは授業時間の初めに、新聞記事を取り上げグループでディスカッションをするので、その過程での気付きが多かったですね。
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「摂南経済ゲストレクチャー」のゲスト講師クラブツーリズム(株)・地域共創部顧問宮本氏による「コロナ後の観光産業」についての講義
ゼミの活動で学んだこと、成長したこととは?
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そう、自ら取り組むからこそ、問題意識を持ってテーマを掘り下げ、関係者の方からより深く真意を聞き取ることができるのだと思います。
私たちの学年はフィールドワークを2021年11月に東京で行いました。東京ではサンシャイン水族館(研究テーマ:「水族館にイルカは必要なのか」)、日本アイスクリーム協会(研究テーマ:「日本で1番気温が高い沖縄県は、なぜ1人当たりアイスクリーム消費量が1番少ないのか」)、(一財)地域活性化センター(研究テーマ:「地方への移住政策」)を訪問しました。
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2年生の時には、コロナ禍でフィールドワークに行けなかったのですが、IULM大学のオンライン研修を受講し、イタリアの食、ファッション、建築、デザイン等の文化産業について学びました。さらに、経済学部の「ゼミ対抗プレゼン大会」では全ての賞を受賞する学部初の快挙となりました。
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コロナ禍で行われたイタリアオンライン研修
就職活動の取り組み方、将来に向けての目標は?
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国家公務員を目指し、公務員試験対策の勉強との両立に励んできました。経済学部での学びを活かし、社会に貢献していきたいです。
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私はフィールドワークの経験を活かして、志望するホテルに足を運び、オリジナリティのある志望動機を考えるようにしました。
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ゼミでは他のメンバーの多様な視点にヒントがあることを学びました。市役所の業務でも、一つの物事を多角的に見る姿勢で臨みたいです。
※敬称略
経済学部の研究
実社会の課題に応える
研究最前線
「経済と環境の両立を図りながら、
貧困格差の終焉を目指す」
地球規模で最重要視されるテーマに、
本学教員が取り組む研究例をご紹介します。
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計量経済学を駆使しエネルギー・食料問題に取り組む
「バイオ燃料生産に関するエネルギーと
食料のバランスはどうあるべきか」経済学科 郭 進 教授
食料由来のバイオ燃料の生産拡大が、食料供給に及ぼす影響が問題視されています。
この地球規模での問題を計量経済学を駆使して分析。
バイオ燃料・食料政策に重要な示唆をもたらしています。 -
経済学科
郭 進 教授
計量経済学では、経済現象を表すデータから 背後にある多様な要素間の関係を数量的・実証的に把握し、経済現象の分析や予測を行います。その成果は政策策定のための根拠の提示や効果の評価において重要な役割を担っています。
現在、私は「バイオ燃料生産に関するエネルギーと食料のバランスはどうあるべきか」をテーマに、最先端の計量経済学の手法を駆使した研究を行っています。両者のバランスを考え政策を進めるためには、まずこれらの現象の関係を明らかにしなければなりません。多様で複雑な変数をどう扱い、相関・因果関係をいかに実証するかがポイントとなります。
そこで、バイオエタノールとトウモロコシの価格変動データを分析したところ、2008年の金融危機以降、両者の相関性が強くなっていることを実証。さらに、米国のバイオ燃料生産がアフリカの食料価格に大きな影響を与えていることも明らかにしました(図1)。これらは、トウモロコシなどを主食とするアフリカ諸国で、食料消費の多様化や食料自給率の向上を推進すべきであることを示唆しています。さらに、今後ますます拡大が予想されるバイオ燃料生産の方向性を考えるうえで、日本を含む世界のさまざまな地域で役立つ成果なのです。
さらに、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が食料・燃料の価格高騰に拍車をかけ、特に輸入に依存している国々に社会的不安や政治的混乱を引き起こす可能性をもたらしている。

※黄色い丸は影響を与える側、青い丸は影響を受ける側。
矢印の太さは影響の強さを表している
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持続可能な開発目標(SDGs)と地域開発・国際協力
「開発途上国のごみ問題の解決に向けた
住民の行動に関する研究」経済学科 村瀬 憲昭 准教授
経済発展とともに浮上するごみ問題。
行政による政策だけでなく、インドネシアで住民が主体的に行う
「ごみ銀行」に着目し、その成果を分析して新たなごみ問題解決の糸口を探っています。 -
経済学科
村瀬 憲昭 准教授
近年、経済成長が著しいアジア地域では、人口の増加や生活様式の変化により、ごみの発生量が増加しています。しかし、多くの都市でごみの収集・運搬・処分が適切に行われず、至るところで不衛生な環境が見られます。このごみ問題解決には行政機関の取り組みだけでなく、住民の意識や行動の変化も必要とされています。

この現状を踏まえて、日本との関係が深いインドネシアの地方都市を対象に、地域住民が主体的に行っているごみ分別や有価物回収の活動、特に住民運営による「ごみ銀行」と呼ばれる有価物回収拠点に着目しています。「ごみ銀行」は希望する住民に通帳を発行し、有価物が持ち込まれた時に通帳に買い取り代金を記入、後日「預金」として払い出す仕組みです。この「ごみ銀行」の活動実態や認知状況を調べ、住民の意識や行動への影響との関連を分析。その結果、ごみ問題への関心や分別への意識が高まり、分別の実践や周囲への働きかけが促進されている可能性が示唆されました。
この研究成果をインドネシア政府のごみ問題対策に役立てると同時に、日本で生活する外国人のごみ分別への意識や行動の変化促進に応用する可能性を探り、地方自治体が取り組む多文化共生社会実現への貢献を目指しています。


経済学を応用し
地球規模の重要課題にアプローチ
こうした経済学の使命は、「環境と経済の両立」「貧困からの脱却」の2つの流れを経緯として持つSDGsとも関係があります。経済学を学ぶことは、未来に向けて地球規模で最も重要とされている課題を学ぶことを意味するのです。
後藤ゼミでは、社会のニーズに経済学的な思考と実践的応用力で応えられる人材の育成を目指し、「自分の頭で考える力」「他者と協働して、新しいアイデアを生み出す力」を重視しています。そのため、2年次から4年次まで少人数でグループワークを行い、社会の現場で学ぶフィールドワークにも力を入れています。学生は自ら研究テーマを発見し、行政や企業などにヒアリングを申し込んで訪問するなど、積極的に活動しています。必須である卒業論文の着眼点もそれぞれとてもユニーク。頭は柔らかく、姿勢は真面目ですから、吸収し始めると早い。
ゼミ生たちは「大変」「厳しい」と思ったこともあるようですが、仲間とともに研究し、発表する経験を通して、お互いを高め合うことができたというのが率直な思いのようです。何より各自が「こうなりたい」という夢を実現し進路を切り開いてくれたことを誇りに思います。
経済学部 経済学科長
後藤和子 教授