density of buildings

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T 都市の抱える問題
U 都市の密集状態を分析するには
V 街区に着目した分析
W 建物高さ情報
X 建物高さ情報を考慮した指標
Y 類型化結果の一例
Z 論文

〜 都市の抱える問題 〜

人々が肩を寄せ合い、密集して生活する
そのような住居形態は世界でも数多く見られるそうです
要塞のような複雑な街を形成し、敵から身を守る
密集して生活することで、地域の密な
コミュニティを形成する・・・

密集市街地は昔から人々が安全に、豊かに暮らすための1つの手段でもありました
また、現代に残る独特の
風情や、文化が生まれる源でもありました

一方日本の密集市街地に目を移すと、木造建築が主流であったことから
阪神・淡路大震災などの経験からも、
防災面での弱さを露呈しています
高齢化に伴う、都市の再生能力の低下なども無視できない問題です


このように、密集市街地の問題では、様々な問題が複雑に絡み合っており
一つの側面から単純に解決できる問題ではありません・・・




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〜 都市の密集状態を分析するには 〜

都市には密集市街地のような建物が密集した地域の他にも
計画的に整備された地域など、さまざまな密集タイプが存在します


このような都市の密集状態を分析するには、建物が密集した状態を広範囲から共通のモノサシで見ることが重要です

そこで、本研究は広域的定量的に分析できる手法の開発を行っています


都市の密集タイプの例
Type A Type B Type C

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〜 街区に着目した分析 〜

1995年1月7日、淡路島北部を震源とする兵庫県南部地震が発生し、
細街路を中心とする都市基盤の未整備な地域狭小住宅の存在する地域が特に大きな被害を受けました

このことから、道路と建物の一体的な整備の必要性が指摘されており、
本研究では道路で囲まれた区画である街区単位での分析に着目しました





これは、街区単位での分析の概念図です

街区ごとに建物の建ぺい面積周辺の道路幅員といった情報を用いることで
建物の密集した状態を広域的な視点から定量的に分析することが可能となります


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〜 建物高さ情報 〜

また、都市の抱える問題の1つに日照や通風性といった住環境面の問題があります
この住環境面を考える上で、都市内の高さ方向の広がりを考慮することが重要になります

そこで、それぞれの建物に高さの情報を加え、箱形のモデルを作成しました


平面形状 立体形状

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〜 建物高さ情報を考慮した指標 〜

ここまでで、立体的な建物のモデルを作成することができました
さらに、定量的な視点から分析を行うため建物高さ情報を考慮した指標を定義します

たとえば…




これは、天空率の概念図です

天空率とはある測定点から見ることのできる空の中で、建物などに遮られることなく
見ることのできる割合の範囲であり建築基準法により規制されています




これは、天空率を応用し、街区単位で分析を行う概念図です

天空率を街区周辺の全ての測定点で計算し、その平均値を街区の代表値としています

このように、建物高さに関する街区単位での指標を定義し、分析に用いることで
都市内の高さ方向の広がりを考慮したより詳細な分析が可能となります


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〜 類型化結果の一例 〜

定義した建物高さ情報を考慮した指標を利用し、類型化を試みました

住宅系の地域だけに対象領域を絞り込み、街区ごとに都市の密集状態を類型化し、
その結果を色で表現しています



  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
type A
type B
type C
鉄道
主要国道

今後は、
指標の改良や新しい分析手法の開発などを行うことで
類型化の精度向上を目指しています


つづく・・・

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〜 論文 〜

 熊谷樹一郎、山田雄太:密集市街地における空間分析の応用について、
平成18年度土木学会関西支部年次学術講演会(第W部門)、W-61、2006

 熊谷樹一郎、山田雄太:街区の空間特性に基づいた地域性分析の試み、
地理情報システム学会講演論文集、Vol.15、pp.287-290、2006

 熊谷樹一郎、山田雄太、川原広誉:建物密集度分析における建物高さ情報について、
日本写真測量学会平成19年度年次学術講演会発表論文集、pp.219-220、2007

 川原広誉、熊谷樹一郎:建物高さ情報を導入した広域的な建物密集度の分析、
環境情報科学論文集、No.21、pp.31-36、2007 [査読あり]