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基礎理工学機構

物理教室教員紹介


神嶋 修 [教授]

Portrait Prof. Kamishima
谷底にボールを置いた時、そのボールはいつまでも谷底にとどまります。この状態を専門用語では基底状態と呼びます。山の頂上にボールをそーっと置くと、静かにしていればもちろんボールは落ちてきませんが、周りで騒いだり、揺らしたりするとたちまち転げ落ちてきます。ボールが山の山頂にいる状態を励起状態と呼びます。ボールを励起状態に励起し、そのボールがいつ頃おちてくるかを観測することは、ボールの周りの環境がどれほど騒がしいか(乱雑であるか)を計ることになります。電気が導線を流れるのを妨げる「抵抗」、車が坂道を登るための「摩擦」など、私たちの身の周りでよく見られるこれらの現象は、この乱雑さがもとになっています。 私の研究テーマは、物質内を高速にイオンが流れるとき、この乱雑さがどのように作用しているのかを調べています。この研究は次世代の燃料電池やLiイオン電池への発展につながっています。

長島 健 [教授]

Portrait Prof. Nagashima
光パルスあるいは電磁波パルスにより誘起される物性のダイナミクスを調べるために時間領域テラヘルツ波分光法を用いた評価技術を開発し,それを用いた新規物理現象及び新規機能の探索をしています. 光(電磁波)と電子は様々に相互作用します. 電子は光(電磁波)の電場に対し強い応答を示します.この応答を検出すれば,物質中の電子の電荷としての振る舞いを明らかにすることができます.特に物質中の自由キャリアは,周波数が0.1〜10 THz程度のテラヘルツ波に対し顕著な応答を示します.テラヘルツ分光を使って各種半導体の自由キャリアの密度や移動度といった特性を非破壊・非接触で調べることができます.材料やデバイスの評価に適したテラヘルツ・エリプソメトリーをはじめ様々なテラヘルツ分光技術の開発を進めています. 一方で,電子は電子スピンを持ちます.光(電磁波)の量子であるフォトンも角運動量を持つため電子スピンと相互作用しますが,一般にその大きさは大きくありません.ところが高強度光パルスあるいは電磁波パルスを用いてコヒーレントに大量のフォトンを供給すればフォトンで電子スピンを制御することができ,その振る舞いを光学的に検出できることがわかってきています.これまでに光パルス励起マグノンからのテラヘルツ波放射現象等を見出してきました. このように光パルス及び電磁波パルスを用いることで,これまで知られていない新規物理現象や新規機能の発見が期待できます.

東谷 篤志 [教授]

Portrait Prof. Higashiya
物性特性を決めているのは主にフェルミ準位の近傍にある電子である. 物質の科学的な興味だけでなく, 工学的な応用を行うためにも, この電子状態の情報を得ることが必要となる. 私は,他大学と共同で光電効果の原理を応用した光電子分光測定装置(A1アナライザー MBS製)と大型放射光施設の高輝度硬X線励起光を用いて, 強相関電子系物質のバルク電子状態の研究を行って来ている. 近年では、硬X線の直線偏光を二枚のダイアモンド偏光子を用いてスイッチすることにより線二色性光電子分光測定も行っている. この測定は, 結晶場下で物質の電荷の空間分布を明らかにし, 波動関数を決定できる.
msic. 1
misc. 2