「フマーニオール・コーナー」のすすめ(5)
「フマーニオール・コーナー」は、より豊かで暖かい人間性をもつ若人がこの学窓から巣立ってい くことを願って設けられたものです。
同コーナーの図書の選書は、各学部の先生方にお願いしました。そこで、選書にあたられた先生に、 どのような観点から選ばれたのか、それらを読むことによって学生諸君に何を読み取ってほしいか を語っていただきました。


情理を知ることの大切さ
わだりゅうじ
工学部 教授 和田寵児

 徳永進さんのエッセイ『心のくすり箱』(岩波 書店刊)は人の優しさについてしみじみと考えさ せてくれる好著である。
 徳永さんは山陰地方の病院の内科医として主に 老人問題を対象としてこれまでも、『死のある風 景』など数々の著作を発表している。
 人の優しさとは何か。それは親切とも少し違う ようだ。他人への思いやりや気遣いもその一部に は入るだろうが、学歴や業績や社会的地位などと は全く無関係な次元に存在する人間性そのものに 根ざすものだと思う。たまには、『心のくすり箱』 からそれぞれに適した薬で我々のすさんだ心を癒 すことも必要だろう。
 学生諸君にとって、林語堂といっても、その名を 知る人ははなはだ少ないと思う。林語堂は戦前の 中国の知性を代表する知識人と言われ、わが国で 言えば鈴木大拙あたりに相当すると言えるだろう。  『人生をいかに生きるか(上・下)』(講談社 学術文庫収録)は、兵庫県の文人知事として知ら れた阪本 勝氏の翻訳で昭和32年に出版されてい る。現在にも通用する珠玉の人生読本と言ってよ いだろう。人生読本といっても、無責任な皮相な ノウハウ本とはその趣を全く異にしている。心が 高ぶっている時、不安のどん底にある時、失望に 苛まされている時、無力感と倦怠感に漂っている 時、人生それぞれの折々に取り出せば、必ずや未 来に対する希望が沸いてくる答えが見い出される 筈である。
く推薦図書>
@ 心のくすり箱 徳永進著
A 人生をいかに生きるか(上・下)
林語堂/阪本勝訳
B 峠 司馬遼太郎著
C 男の肖像 塩野七生著


日本国民たることに誇りを持て、気概を持て
えだむらとしろう
工学部 教授 枝村俊郎

 私の推薦したこの本は、幕末以来昭和にいたる まで、我われの父祖が欧米列強に対していかに苦 闘してきたかを説いている。私は学生諸君が60年 前の世界地図がどんなものであったか全く知らな いのに驚く。アジアでまともな独立国は日本(と タイ)だけであった。インドネシアは蘭領東イン ド。ベトナム、カンボジャは仏領インドシナ。イ ンド、ミャンマー、マレーシアはイギリス領。ア フリカ、中東は、ほとんど全土を英、仏、ベルギ ーが勝手に直線で切り分けていた。人々は搾取さ れ続けていたのである。白人以外は人間扱いされ ていなかった。今そこに存在する国々はすべて日 本が死力を尽くして戦った第二次世界大戦の結果 独立国となった。著者は云う、「この事実は結果 論で十分である」。いまの学生諸君はいわゆる自 虐史観の教育を受けて来ている。まずこの本を読 みたまえ。君たちがこれまで小学校以来教科書で 受けてきた歴史を見直してほしい。日本国民であ ることに誇りを持て。気概を持て。
 このほか、清水馨八郎「侵略の世界史」祥伝社、 藤岡信勝「教科書の教えない歴史@ABC」扶桑 社、西尾幹二「異なる悲劇、日本とドイツ」文芸 春秋社、会田雄次「アーロン収容所」中公新書、 吉岡昭彦「インドとイギリス」岩波新書、清頼一 郎「秘録東京裁判」中公文庫、大沢正道「戦後が 戦後でなくなるとき」中央公論社、等々をおすす めする。
 マンガでは、小林よしのり「ゴーマニズム宣言 BCD」小学館、小林よしのり「ゴーマニズム宣 言スペッシヤル、戦争論」幻冬舎、藤岡信勝監修 「マンガ教科書の教えない歴史@AB」扶桑社な ど。
 ほかに図書館所蔵図書として、
 小堀桂一郎「東京裁判日本の弁明」講談社学術

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