薬学研究科(博士課程) 医療薬学専攻の教育研究上の目的と3ポリシー
教育研究上の目的
医療現場での臨床的課題等を対象とする研究を通して薬学分野の高度な知識・技能・態度を修得し、高度な医療に応えることができる優れた研究能力を有する薬学研究者および薬剤師等の育成を目的とする。
3ポリシー
ディプロマ・ポリシー(DP:学位授与の方針)
所定の単位を修得し、必要な研究指導を受けたうえ、次の要件を満たし、かつ、博士論文の審査および最終試験に合格した者には博士(薬学)の学位を授与します。
- ■3分野共通
- [DP1]薬の専門家として、豊かな人間性と生命の尊厳について深い識見をもち、人の命と健康な生活を守る使命感・責任感を有する。(倫理観とプロフェッショナリズム)
- [DP2]薬学・医療の進歩と改善に資するために、医療現場で解決すべき課題を発見し生涯にわたりそれを解決しようとする意欲と研究能力を有する。(専門学力)
- [DP3]4年制および6年制薬学教育に指導者として貢献できる能力を有する。(基礎教養・専門教養・リテラシー・コミュニケーション力)
- ■① 臨床薬学分野
- [DP1]医療提供機関において、チーム医療の一員として個別医療等の高度な薬物治療に従事できる能力を有する。(専門学力)
- [DP2]がん領域、感染症領域、精神疾患領域等における高度な薬剤師に必要な能力を有する。(専門学力)
- [DP3]大学や医療機関などにおいて、薬物治療の最適化研究に従事できる能力を有する。(専門学力)
- ■② 健康薬学分野
- [DP] 保健、医療、福祉、介護および行政などにおいて、人々の健康増進、公衆衛生の向上に貢献する能力を有する。(専門学力)
- ■③ 医薬品開発学分野
- [DP1]製薬企業や大学などにおいて、創薬研究や開発研究に従事できる能力を有する。(専門学力)
- [DP2]製薬企業、受託臨床試験機関(CRO)、試験実施機構管理機関(SMO)などにおいて、開発業務・治験業務に従事できる能力を有する。(専門学力)
- ■薬学部出身者以外の卒業生に求めるディプロマポリシー
- [DP1]他分野の基礎能力を持つ薬の専門家として、豊かな人間性と生命の尊厳について深い識見をもち、人の命と健康な生活を守る使命感・責任感を有する。(倫理観とプロフェッショナリズム )
- [DP2]薬学・医療の進歩と改善に資するために、非薬剤師の立場から客観的に医療現場の解決すべき課題を発見し、生涯にわたりそれを解決しようとする意欲と研究能力を有する。(専門学力)
- [DP3]4年制薬学教育に指導者として貢献できる能力を有する。(専門教養・リテラシー)
- [DP4]製薬企業、受託臨床試験機関(CRO)、試験実施機構管理機関(SMO)などにおいて、創薬研究や開発研究に従事できる能力を有する。(専門学力)
カリキュラム・ポリシー(CP:教育課程編成・実施の方針)
本研究科・専攻の構成、カリキュラム編成等に係る方針は以下の通りです。
- 薬物による疾病治療・予防および医薬品の管理、医薬品の開発を実践できる人材を育成するため、「臨床薬学」「健康薬学」「医薬品開発学」の3つの分野で教育課程を構成する。
- アウトカム基盤型教育を基本とした順次性のある体系的なカリキュラムを編成する。
- 1年次のパフォーマンスレベルを「Basic(知識、理解力の涵養)」、2年次を「Applied(表現力の涵養)」、3~4年次を「Advanced(行動力の涵養)」に設定する。
- 各年次のパフォーマンスレベルに到達するため、修得すべきコンピテンス、方略および評価方法をシラバスに明示した特論、演習、特別研究を適切に配置する。
■1年次
特論および演習を履修し、特別研究を実践する。特別研究を通して、パフォーマンスレベルを測定、評価する。
- 特論:主に専攻分野の特論を履修し、分野毎に以下の知識を修得する。
「臨床薬学分野」:専門薬剤師や認定薬剤師などが具備すべき基礎から最先端に至る知識を修得する。
「健康薬学分野」:環境保健、疾病予防、健康教育・管理、衛生行政、医療制度、社会保障等に関する実践的な知識を修得する。
「医薬品開発学分野」:ヒトに対する最も有効かつ安全な医薬品およびその投与システムなどを開発するために必要な基礎から最先端に至る知識を修得する。 - 演習(3分野共通):本学と「教育・研究に関する包括協定」を締結している医療機関等において、臨床薬学演習、健康薬学演習あるいは医薬品開発学演習を行い、医療現場での臨床的課題を適切に抽出するための知識と技能を修得する。なお、学生からの申し出に応じて、2~4年次でも履修できる。
- 特別研究:文献などによる関連研究の整理、予備実験・予備調査の実施、本実験・本調査の実施およびデータの整理と解析を行う。
■2年次
研究の中間成果の問題点の検討、実験・調査の継続実施およびデータの整理と解析を行った後、中間報告会を開催し、そのパフォーマンスレベルを測定、評価する。
■3~4年次
さらなる問題点の検討、実験・調査の継続実施およびデータの整理と解析を行った後、解析結果を取りまとめ、学位論文を作成する。続いて、学位論文を発表し、論文審査および最終試験を行うことにより、そのパフォーマンスレベルを測定、評価する。
「薬学部出身者以外」
薬学部出身者以外の学生については、主に医薬品開発学の分野の科目を履修する。そのためには、就学に必要な薬学に関する基本的知識を修得する必要がある。この目的のため、主たる指導教員が学生個々のレベルを考慮し、本研究科・専攻の教育を受けるにあたって不足している基礎学力を補うためのプログラムを作成、実施する。
アドミッション・ポリシー(AP:入学者受入れの方針)
本研究科は、高度な医療に応えることができる優れた研究能力を有する薬学研究者および薬剤師等の育成を目的としています。したがって、基礎となる薬学部から本専攻へと直接に進学する学生のほか、現職の病院、保険薬局、薬事行政に係わる薬剤師あるいは製薬企業において研究に従事している研究者なども受け入れます。このように、本研究科修了後、医療や薬学領域全般において社会をリードする意欲の高い以下のような人材を受け入れます。
- [AP1] 医療現場の課題を抽出し、解決できる能力を身につけようとする意欲および資質を有する者
- [AP2] 高度な薬物治療の実践、予防医学・健康科学あるいは医薬品開発にかかる研究に高い関心を有する者
- [AP3]英語で記述された学術論文やインタビューフォームなどから情報を適切に収集できる者