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2023年9月6日

学生の皆さんへ

生成AI の利活用に関する方針

摂南大学

学長 荻田 喜代一


 社会の様々な場面で生成AI の利活用が進んでおり、AI と共生する社会に向けて考えを深めていく必要があります。生成AI の能力と利便性はきわめて高く、大きな社会変革をもたらす可能性を秘めています。

 ただし、人間の言語活動や創作活動の一部を代替しうる生成AI を使用するにあたり、まず、様々な問題があることを認識しなければなりません。生成AI は、皆さんの学修活動や発想のヒントとしてとても役立つ可能性がある反面、入力する質問やデータの内容、出力される生成物の利用方法によっては、法令違反や他者の権利を侵害する危険性があります。それらを踏まえて、十分な理解と認識のもとで適切に利活用することを要請します。

 

 

【生成AI とは】

 生成AI は、ビッグデータと機械学習技術などを組み合わせて、文書、画像、音声、プログラムコードなど様々なコンテンツを自動的に生成することのできる人工知能技術です。ChatGPT やBing Chat などすでに数多くの生成AI が開発されています。

 

 

【摂南大学の基本方針】

1.生成AI を健全に利活用する姿勢を磨く

 生成AI を含むAI の利活用は、利便性や生産性の向上、さらには人間の様々な能力をさらに発揮することを可能とするなど、経済社会を前向きに変えるポテンシャルがあると言われています。一方で、AI の信頼性や誤用・悪用などの懸念やリスクも指摘されています。本学では数理・データサイエンス・AI 教育プログラムの認定に向けた準備を進めています。生成AI の長所・短所を充分に理解したうえで、必要に応じて適切に利活用する姿勢を磨いてください。

2.生成AI の長所・短所を理解して自己責任で利活用する

 大規模言語モデルを活用した生成AI は、基本的に、ある語句の次に用いられる可能性が確率的に最も高い語句を出力することで文章を作成していくもので、AI により生成された内容に虚偽が含まれていたり、バイアスがかかっていたりする可能性があります。生成AI の可能性と危険性に対する理解を継続的に深め、求められる社会的良識と倫理観を常に高めながら、利活用すべき適切な学修場面を自らの責任で判断してください。(ただし、授業や研究活動に関しては、下記3.の方針を厳守すること。)

3.授業担当者および指導教員の指示に従う

 授業や研究活動によっては、成果物(レポートやプログラム・作品など)を著作する際に生成AI の使用を推奨・許容する場合もある一方、禁止する場合もあります。授業担当者や指導教員の指示に必ず従ってください。指示に従わないことによって提出が無効になり、成績評価などで不利益を被る場合もあります。

 

 

【学修活動における留意事項】

1.学修“支援”ツールという位置づけ

 現時点で生成AI が担えるのは、皆さんの学修や創造的発想にヒントを与える程度の役割です。つまり、あくまで“支援”ツールの一つに過ぎません。生成AI に全面的に頼ることは、経験に基づく創造力、問題解決能力、批判的思考力(物事を多面的に考える力)など、皆さんが持つ様々な能力の健全な発達を損なうリスクがあることに十分留意してください。

2.入力した情報が外部に流出するリスク

 皆さんが質問として生成AI に入力した情報は、そのAI のモデル学習に利用されます。入力された情報は、やがて外部に流出したり、第三者によって不適切に使用されたりする危険があります。虚偽情報を含めて、個人が特定されうる情報や機密情報を生成AI に入力してはいけません。また、発明などに関わる未発表の情報についても同様です。

3.生成物に虚偽情報が含まるリスク

 生成AI の学習リソースはインターネット上に存在する情報に限定されており、おのずと限界があります。そのリソースを基に出力された生成物の内容が信頼に値するものかどうか、あるいは虚偽かどうかを点検し、自ら著作する成果物にどのように利用するかについて判断することは、すべて皆さん自身の責任において行う必要があります。

4.著作権を侵害するリスク

 生成 AI に入力した情報および出力した情報が著作権に抵触する場合があります。また、生成AI の学習リソースには、著作権を有する文章やプログラム・作品なども含まれています。その著作内容が生成AI の生成物にそのまま出力されている場合もあります。そのため、皆さんがその生成物をレポート作成などにそのまま使用することは、著作権の侵害となる恐れがあります。一般的に、出力される生成物の内容や個々の表現には情報源が明示されません。そのため、皆さんがその生成物を使用する際には、著作権侵害の有無や明示すべき情報源について、独自に調査を行う必要があります。結果的に調査が行き届かなかった場合、皆さんが法的責任を負う可能性も否定できません。

 

 

【研究活動における留意事項】

 これまで記載した内容に加え、研究活動、特に論文などの研究発表においては、次の諸点に留意してください。

1.情報の活用についてのリスク

 生成AI から得られた文章や画像等を使用する場合、適切に引用元を明示することができる場合のみに限定し、文章全体のオリジナリティに懸念が生じないように注意しなければなりません。虚偽情報でないこと、著作権等の問題がないことを確認できないものは使用を禁じます。また、生成AI から得られた情報には、偽情報やバイアスがあり得ることを認識しなければなりません。必ず一次資料を確認・参照し、慎重な取り扱いをお願いします。

2.情報の漏洩についてのリスク

 生成AI の入力プロンプトに、研究活動で知り得た機密情報、研究計画、研究成果などの未発表の情報を質問・指示することを禁止します。情報が漏洩する危険性が高いと考えられます。

3.盗用や剽窃の禁止

 研究活動には、倫理的な行動の遵守が求められます。例え部分的であっても、盗用(他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること)や剽窃(他人の著作から全部または部分的に文章、図表、語句、話の筋、思想などを盗み、自作の中に自分のものとして用いること)を絶対に行っていけません。なお、生成AI を用いた研究論文は、生成AI の剽窃チェックツール等で発見されることとなり、皆さんが法的責任を問われる可能性もあります。

 

 

 上述の留意事項は、発信日現在の状況に対応するためのものです。今後、変更が必要となった場合、改めて通知します。

 

以 上

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