農業生産学科 飯田講師らのグループが植物の害虫と病気に同時に効く微生物農薬の開発に貢献
DATE:2020.11.04広報室
農業生産学科 飯田祐一郎講師と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)、アリスタライフサイエンスらのグループは、微生物殺虫剤として使用されている昆虫に寄生する菌「ボーベリア バシアーナ」が野菜の重要な病気である「うどんこ病」にも同時に効果があるということを発見しました。本来、植物の病気には殺菌剤を、害虫には殺虫剤を使用しますが、この発見によって、1剤で殺菌剤と殺虫剤の2役を果たす微生物殺菌・殺虫剤「ボタニガードES」(アリスタライフサイエンス)の開発につながりました。
一般的に化学農薬の開発には莫大なコストと約10年の歳月がかかりますが、農業現場ではせっかく開発した化学農薬が効かない病気(耐性菌)や害虫(抵抗性害虫)の発生が大きな問題となっています。微生物農薬はそういった農薬耐性菌や抵抗性害虫が発生しにくく、化学農薬と違って環境に優しく何度も使えるといった利点があります。ただし、効果のある害虫や病気が限定されるというデメリットもありました。
「ボタニガードES」は害虫にも、病気にもどちらにも効く高性能な微生物農薬で14種類の害虫と、多くの野菜で問題となるうどんこ病に対して使うことができます。
すでに「ボタニガードES」は販売されており、農薬の散布作業の省力化、コスト削減にもつながることが予想されます。幅広い病害虫への効果から有機栽培農家などでの有力な農薬として期待されています。
※本研究は生物系特定産業技術研究支援センター「イノべーション創出強化研究推進事業」の支援を受けました。
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/brain/innovation/results/2019/29008B.html