「マンガン過剰で収量低下」のメカニズム解明 イネの生育 オーキシン濃度低下を招き光合成を抑制
DATE:2022.02.01広報室
NEWS RELEASE【No.18】
摂南大学(学長:荻田喜代一)農学部農業生産学科の高木大輔助教らの研究グループは、東北大学大学院農学研究科、東京薬科大学との共同研究により、マンガン(Mn)の過剰施肥によって作物の収量を低下させる分子機構を明らかにしました。
【本件のポイント】
● Mnは植物に不可欠な栄養素だが、過剰になると生育低下をもたらす。
● 研究グループは、イネにおいてMnが過剰に集積すると植物ホルモンの一種のオーキシンの濃度が低下することを発見。
● オーキシンに依存して誘導される葉の発達、生理応答、並びに遺伝子発現がかく乱し、気孔閉鎖と葉の発達変化が、光合成による炭素固定量を低下させ、作物生育の低下を起こすことを分子レベルで解明した。
Mnは植物が生育する上で必要不可欠な栄養素の1つに数えられます。しかし、土壌の酸性化や灌水等の原因によって土壌中における植物が吸収可能な形態のMn量が上昇し、植物が細胞内で必要とされる以上にMnが吸収・集積されると、植物の生育が抑制されることが以前から報告されていました。ところが、生育低下をもたらす具体的な分子機構は明らかにされていませんでした。
今回、高木助教らは、Mn施肥量を変動させた水耕栽培条件下でイネを生育させることで、当該分子機構=図=を解明しました。根圏のMn濃度の上昇によって植物体内にMnが過剰に集積すると、植物ホルモンの一種オーキシンの濃度が低下。オーキシンに依存して誘導される葉の発達、生理応答、並びに遺伝子発現がかく乱され、気孔閉鎖と葉の発達変化が、光合成による炭素固定量を低下させ、炭素代謝の低下による作物生育の低下を起こすことを見出しました。
本研究成果は英国の国際学術誌である「Scientific Reports」に掲載されました。
URL: https://doi.org/10.1038/s41598-021-00370-y
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