公共事業の経済波及効果は?経済学部の郭教授が枚方市総合文化芸術センターの経済効果を測定
DATE:2023.03.16広報室
経済学部の郭進教授は2022年7月から枚方市総合文化芸術センターの経済波及効果の測定に取り組んでいます。
同センターはコンサートやイベントホールなど3つのホール、美術ギャラリーなどを有し、市民が文化や芸術を楽しむ文化施設です。2020年からアートシティひらかた共同事業体(代表団体サントリーパブリシティサービス)が同センターの指定管理者となり、文化芸術事業の企画を含めた運営を行っています。公共事業は公益性や公共性ゆえに採算性などについての客観的な評価が難しいため、公共事業に対する定量評価の必要性が高まっています。
そこで、過去に枚方市をはじめとした北河内自治体の産業連関表の作成を独自で行った経済学部の郭教授が、同センターから依頼を受け、自身が作成した同市の産業連関表を用いて経済効果を測定。2月17日に、枚方市及び同センターの職員に対し、同センターの経済波及効果についてプレゼンテーションを行いました。
郭教授は、まず産業連関表から見た枚方市の経済や産業構造の特徴について分かりやすく解説し、同センターの建設費や運営費をはじめ、従業員や来場者の消費支出などの項目から、同センターが地元枚方市及び大阪府にもたらす経済波及効果の測定結果を報告しました。参加した市職員からは、今後、市の産業をどう特色づけるかや、効果測定の精度を高めていく方法などについて質問が寄せられました。
郭教授は「市町村レベルにおいては、政令指定都市を除くと地域産業連関表が整備されているところはまちまち。産業連関表が無ければ、地域における経済・産業構造の把握や政策効果の計測などが難しくなる」とし、「公共事業を数値化・定量化することによって、地域経済への経済波及効果を測定し、事業の効果を目に見える形にすることが大事。今後、KKO(勘・経験・思い込み)からEBPM(Evidence-Based Policy Making)、すなわち統計データなどを活用した合理的根拠に基づく政策立案の文化を根付かせることが大事です」と強調しました。
今後も郭教授は、継続的に経済波及効果の測定をはじめ同市におけるさまざまな地域経済活性化に関する調査、分析などを行う予定です。