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特殊環境微生物学研究室

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個人DB:研究者詳細 - 向井 歩 (setsunan.ac.jp)
個人HP:under construction

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教員名・職位 向井 歩 助教

研究テーマ:昆虫がみせる生命現象の「しくみ」と「意義」を問う
研究分野:生態生理学
研究のキーワード:昆虫 季節適応 概日時計 性淘汰

2022_mukaiken.jpg研究内容:「昆虫」と聞くと,見た目の奇怪さや,害虫のイメージから苦手な人も多いでしょう.いくつかの昆虫が,ヒトの健康やくらし,人類の農業や産業に被害をもたらすことも知られています.一方で,進化の歴史の中で培われた昆虫の生きざま(生態)は多彩で,時に人はその巧妙さに魅せられます.我々は,昆虫が示す生命現象の原理(しくみ)や,ある生命現象がどのように昆虫の生存に役立つのか(意義)の解明を目指しています.  このような研究では,自然界であるがままにくらす昆虫を観察・調査するだけでは不十分です.天候や気温の変化に加え,天敵や病原体など他の生物の存在も生命現象に影響し,これらが観察や実験のノイズとなるからです.そのため私たちは,昆虫をできるだけノイズの少ない研究室内に移し,飼育した個体を用いて実験・観察を行います.  昆虫が示す興味深い生態として,「季節適応」があげられます.多くの昆虫は寒さに弱く,冬には「休眠」という耐性の高い生理状態に入って翌春まで生きのびます.多くの昆虫は日の長さ(日長)を指標として季節をよみとり,日の短い秋になると発育をとめ,休眠に入る準備をします.気温も年変動しますが,日ごと・年ごとのばらつきが大きく,信頼性に欠けます.正確なこよみを知るため,昆虫は日長に応答して発育を制御するしくみを獲得してきました.私たちは遺伝子発現やホルモン分泌に着目し,日長をよみとるしくみ,日長に応答して休眠を誘導するしくみを研究しています.  加えて私たちは,「記憶と学習」にも注目しています.昆虫は,本能に従って行動する下等な生物だと思われがちです.しかし実際には,彼らもすぐれた神経系をもち,経験をもとに行動の意思決定をすると考えられています.私たちは実験室内での観察により,昆虫が経験をもとにどのように行動を変化させるのか,記憶の形成がどのように生存に役立つのかについて研究しています.  このような研究を通し,昆虫の発育や行動を制御するしくみを解明することで,有効に害虫を制御し,産業に役立つ昆虫(益虫)を応用する技術の開発に貢献することが期待できます.また,ヒトとは大きく異なる生きざまをみせる昆虫に触れ,その生命現象のしくみや意味について考えることは,私たちの発想を豊かにし,素敵な人生を送る助けとなるでしょう.

業績

学術論文
  1. Mukai, A., and Goto, SG.: The clock gene period is essential for the photoperiodic response in the jewel wasp Nasonia vitripennis (Hymenoptera : Pteromalidae). Appl. Entomol, Zool., 51, 185-194 (2016).
  2. Shimizu, Y., Mukai, A., and Goto, SG.: Cell cycle arrest in the jewel wasp Nasonia vitripennis in larval diapause. J. Insect Physiol., 106, 147-152 (2018).
海外および国際学会発表
  1. Mukai, A. and Goto, SG.: RNAi effects of circadian clock gene period on photoperiodism of the jewel wasp, Nasonia vitripennis. International Congress of Entomology (2016)
国内学会発表
  1. 向井歩、山口幸紀、北村文、後藤慎介: 都市環境におけるニクバエの光周性、日本応用動物学会 (2018)
  2. Mukai, A. and Goto, SG.: Effects of the general anesthesia agent isoflurane on photoperiodic induction of diapause in the parasitic jewel wasp, Nasonia vitripennis. 日本時間生物学会 (2017)
  3. 向井歩、後藤慎介: 麻酔薬イソフルランがキョウソヤドリコバチの歩行活動リズムに及ぼす影響、日本応用動物昆虫学会 (2017)
  4. 向井歩、後藤慎介: キョウソヤドリコバチの光周性におけるperiod RNAiの影響、日本応用動物昆虫学会 (2015)
  5. 向井歩、後藤慎介: 概日時計遺伝子periodがキョウソヤドリコバチの光周性に関与する、日本昆虫学会 (2015)
  6. 向井歩、志賀向子、後藤慎介: キョウソヤドリコバチの光周性と概日時計、日本応用動物昆虫学会 (2014)
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