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摂南大学 現代社会学部

世界農業遺産とジオパークの町
“徳島県東みよし町”の魅力発掘と発信

大学生の視点を活かし、

町の賑わいを創造する

概要 OVERVIEW

大学生の視点を活かし、
町の賑わいを創造する

overview

四国の動脈、吉野川の中流域に位置し、南北を四国山地と讃岐山脈の山々に抱かれた自然豊かな町「東みよし町」。山の斜面を利用した伝統的な農業体系や自然と共存する独自の文化が高く評価され、2018年には世界農業遺産(※1)に、2024年には日本ジオパーク(※2)にも認定されました。一方で、高齢化や過疎化を背景に、町の賑わいは下降線の一途を辿っています。このプロジェクトは、大阪の大学生の視点から地域の魅力を発掘し、都市部の人々にも響くカタチを見出し、関西圏に発信することを目的としています。

※1:国際連合食糧農業機関により認定される称号。独自性のある伝統的な農林水産業と、それによって生まれる文化やランドスケープ、生物多様性を持つ重要な地域に与えられる。
※2:三好地域(三好市・東みよし町)は、吉野川や大歩危・小歩危に代表される地形・地質の価値を活かし、自然と人々の暮らしの関わりを学び、地域の魅力発信や振興につなげる活動をとおして、三好ジオパークの推進に取り組んでいる。

背景 BACKGROUND

ディスクゴルフを通して感じた
人々の温かさがことの始まり

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このプロジェクトを担当している谷めぐみ先生は、生涯スポーツ振興を専門としています。近年、年齢や体力にかかわらず 多くの人々が参加できる生涯スポーツは注目を浴びており、ディスクゴルフ(※3)もそのひとつ。全国的にも珍しいディスクゴルフ場が「東みよし町」に整備されたと聞き、訪れたのがこのプロジェクトの始まりです。自然豊かなロケーションに開放的なグラウンドはとても素晴らしいものでしたが、それ以上に谷先生が魅了されたのは、そこで出会った温かな人たちでした。そこで「この町の人たちと一緒に何かに取り組み、東みよし町の魅力をもっと多くの人に伝えたい」という思いが生まれ、本プロジェクトがスタートしました。まずは、都市部で暮らす学生たちにこの町を知ってもらい、地域の人々と交流しながら、素直な視点で東みよし町の魅力を表現、発信していこうと取り組んでいます。

※3:アメリカ発祥の生涯スポーツ。フライングディスク(フリスビー)を飛ばし、何回でゴール(バスケット)に到達できるかを競う。
子どもからお年寄りまで楽しめることから、北欧や北米、オセアニアなど各地の専用ゴルフコースに多くの愛好者が集っている。

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活動内容:フィールドワーク

FIELDWORK

プロジェクトメンバー3年生4名、2年生2名、1年生3名の合計9名。
事前に下調べをした後、6月、9月、12月の3回(合計8日間)に渡って合宿形式で現地での見学・体験並びに、地元の人々との交流・インタビューを実施しました。

魅力の掘り起こし.1 UNCOVERING APPEAL.1

見学と体験

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まずは、世界農業遺産たる理由の一つでもある、傾斜地農耕システムの見学と体験です。
傾斜地にある蕎麦畑で刈り入れをお手伝いさせていただき、その地道さと過酷さを実感。同時に助け合うことによってこの農業システムが成立するのだと知り、お互いを思いやるこの町の人々の気質の源泉を感じました。
また、近年注目されているITを使った高山地におけるいちごの生産現場の見学と「にし阿波いちごタウンプロジェクト」の取り組みを聴講し、全国的にも珍しい夏いちごの仕分け作業をお手伝いさせていただきました。標高1,000メートルという地の利とIT技術を融合させることによって1年を通して高品質ないちごが収穫できるという画期的な農業システムは、東みよし町の明るい未来を予感させる体験でした。

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魅力の掘り起こし.2 UNCOVERING APPEAL.2

地域の人々との交流とインタビュー

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見学・体験と同時に、今後の活動を踏まえ、地域のみなさんにさまざまな角度からお話をお聞きしました。
農業体験では、地域の気候や風土の特性、独自の農業システムなどについておうかがいしました。
地元の新鮮野菜や特産品を販売している「産直みかも」様では、どのようなものが売れ筋なのか、誰が買いに来るのか、また、地元中学生のアイデアから開発された「いちごもなか(仮称)」の開発経緯などをお聞きしました。
さらに、3度の現地訪問をとおして、毎回異なる形で地域のみなさんとの対話と交流を行い、地域の課題や魅力を見つけていきました。例えば、みなさんと一緒に地元食材で猪肉BBQをしたり、阿波踊りを教えていただいて一緒に踊ったり、中学校では地元の中学生と一緒にワークショップ形式で東みよし町の魅力ある観光コースづくりを実施しました。
双方向のコミュニケーションを取ることで、自分たち(大学生)が考える課題や魅力と、地域の人々が考える課題や魅力を照らし合わせながら進めることができ、より実現性の高いプランを練ることができたと思います。

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魅力の発信 COMMUNICATING APPEAL

地域の魅力をカタチにする挑戦

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見学、体験、交流、インタビューを通して、「働く場の不足とそれに伴う人離れ」や「車がないと動けない不便さが人を遠ざけている」など、東みよし町のみならず日本全国の地方が抱える普遍的な課題を感じながら、ではその中で自分たちに何ができるのかを話し合いました。その結果、「まずは私たちの住む関西の人々にこの町を知っていただくことが大切だ」と結論づけ、都市部の若者にも刺さる商品を作ることになりました。とは言うものの、商品開発は誰もが初めて。そこで、東みよし町で独自の商品を製造・販売している手作り菓子工房『みかもん』様にお話をうかがったり、地域のみなさまにお集まりいただき、座談会形式で商品開発のヒントをお聞きするなどから始めることにしました。
座談会には、小学生や中学生の子ども達から親御さん、地域の方など、幅広い層の人々が参加してくださったおかげでさまざまな角度からヒントをいただくことができました。

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社会を生き抜くための
基礎体力を養う

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このプロジェクトでは、初めて訪れる町の魅力を掘り起こし、都市部に向けて発信するという大命題の他にも大きな課題、学びがあります。それは、
1)物事をしっかりと見て、人の話をよく聞いて課題や魅力を見つけ出す力を養うこと 。
2)役割分担から始まり、仲間と連携・協力してことを成し遂げる力を養うこと。
そのため、フィールドワークにおける運営の多くを学生自らに取り仕切ってもらい、地域の魅力を発掘・発信するための、ひいては社会を生き抜くための基礎体力をつけてもらいました。今期(2025年度)は、地域の課題や魅力を掘り起こす作業に終始しましたが、来期はこの成果を引き継ぎ、地域の方々と協働しながらものづくりや情報発信へつなげたいと思っています。

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現代社会学部講師

谷 めぐみ先生

※掲載内容は取材当時のものです。