山辺の町「三重県いなべ市」の
潜在力を社会学の力で引き出す
多様な魅力を持つ
町の潜在力を見出す
多様な魅力を持つ町の潜在力を見出す
西を滋賀県、北を岐阜県に隣接する三重県いなべ市。鈴鹿山脈に抱かれた田園風景が美しいのどかな町です。
一方で、名古屋から車で約1時間と言う利便性から、アウトドアスポットとして都市部の人々からも人気で、近年は田舎暮らしや二拠点生活を求める若者の移住先としても注目されています。とは言うものの、地方ならではの人口流出や空き家問題などは深刻で、行政のみならず、地域の人々も試行錯誤されているようです。
今回のプロジェクトでは、大阪の大学生の視点からまだまだ引き出されていないこの町の魅力を見出し、地域の人々と一緒に広く発信していくことを目標としています。
社会に出た時に役立つ
リアルな感覚を学ぶ
このプロジェクトを率いている現代社会学部の樫田美雄教授は、今回の体験で学生たちに社会学的発想を身につけてもらいたいと考えています。第一の学びは、「世の中は何事も複雑で、設計図通りにはいかない」ということ。
今回は、いなべ市の魅力発信を目的としており、「学生の意見」「現地の人々の意見」「セオリー」が交わりますが、どれかが正解ということはなく、意見を出し合いなが徐々に見えてくるものがあるということを学ぶ場であって欲しいそうです。
FIELDWORK
プロジェクトメンバーは1年生23名。
いなべ市は平成15年に4町が合併してできた市なので、それに合わせて4エリアに分け、エリアごとにチーム分け(A・B・C・D班)をして活動しました。
文献の読み込み
まずは、いなべ市の成り立ちや現状を知るために、記録を読むことから始めました。残念ながら、インターネットの情報は新旧、正誤、さまざまなことが混在している可能性があるので大学側からもしかるべき文献を取り寄せ、併せて読んでもらいました。そこから、思ったこと、知りたいことをまとめ、現地のみなさんに投げかける準備をしました。
オンラインミーティングと仮説
文献やインターネットの情報から、思ったことや考えたことをまとめ、オンラインで2度に渡って現地の人々と意見交換をしました。その結果を踏まえて考えを精査し、自分たちがイメージする着地点(仮説)をPPTにまとめ、発表し合いました。
また、自分たちが知るべきエリアをリアルに感じるため、担当エリアの地図を制作しました。
フィールドワーク(現地取材)
2泊3日のフィールドワークおよび日帰りの補充調査を実施しました。現地に赴き、自分たちの仮説を念頭において、散策並びに、現地の人々を取材。文献やネット上の情報からは得られなかった地域の魅力を再発見しました。この作業においては、リアルに地元の人とつながりながら仮説とはかけ離れた情報を得たり、音や匂い、色などを体験することが、自分たちの思考に大きな影響を与えることを学びました。
三岐鉄道の体験
貨物車も通る三岐鉄道三岐線で、学生たちが電車搭乗を体験しました。
太平洋セメントの視察
藤原岳の豊富な石灰石を資源に栄えた太平洋セメントの工場を視察。機械化に伴い、就労人数は減少したものの今なお、町の経済を支えています。
祭り太鼓の体験
元来、祭りの太鼓は人に聞かせるものではなく神事の一部だったため一子相伝だったそう。その結果、継ぐ者がいなくなり消えつつあったこの文化を残そうと移住者と地元の人々が一緒になって活動しています。
自分たちの想像に収まるものでは
ないことを学んだ1年
このプロジェクトは開始からまだ約1年。わずか12か月で何かできるわけではありません。
しかし、学生たちにとって、知らない町を学び、実際に訪れ、見たことのないものを見、会ったことのない人々に会って話を聞くことは世の中が自分たちの想像内に収まるものではないことを感じることができたと思います。
これを第1段階とし、次年度はいなべの潜在力を引き出す具体的な施策を計画し、実行していきます。
もちろん、地元のみなさんと共に。
現代社会学部教授
樫田 美雄先生
※掲載内容は取材当時のものです。