研究概要

1型糖尿病に対する新たな治療方法の開発

1型糖尿病(Type 1 diabetes mellitus)は遺伝的素因にウイルス感染などの環境因子が加わり発症する自己免疫疾患です。 自己免疫機序によってインスリンを産生する膵臓のβ細胞が破壊されるため、インスリン分泌はほぼ完全に枯渇します。 そのため、生命の維持にはインスリンの補完療法(1日4回以上の自己注射)が必須です。 当研究室では、1型糖尿病モデル動物(NODマウス)を用いて自己注射回数を減らせる。 更には、自己注射なし(内服のみ)とできる新しい治療方法の開発を目的に研究を行っています。

アトピー性皮膚炎に対する新たな治療方法の開発

アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis)は、乳児期に発症し大部分が成長に伴って2歳程度で軽快します。 薬物治療についても選択の幅は広く、糖質コルチコイドの軟膏や抗アレルギー薬などが用いられています。 しかし、既存の治療方法では、成人期に至っても軽快せず、慢性化する症例が増加しています。 当研究室では、このような難治性アトピー性皮膚炎(ステロイド抵抗性アトピー性皮膚炎)に対する新たな治療方法の開発を目的に研究を行っています。

多発性硬化症,関節リウマチ,多発性筋炎に対する新たな治療方法の開発

多発性硬化症(Multiple Sclerosis,MS)は神経の髄鞘成分であるミエリンや神経線維に対する障害を病因とする難治性の自己免疫疾患です。 症状は、一般に寛解と再燃を繰り返します。既存の治療方法では再燃することが多いため、完全寛解を導入できる治療方法の開発が待たれています。 当研究室では、新規免疫抑制剤FTY720を用いて、多発性硬化症に完全寛解を導入できる理想的な治療方法の開発を目的に研究を行っています。 完全寛解を導入できる治療方法を確立できれば、他の難治性自己免疫疾患にも適用できると期待されます。 現在、これに発展し、関節リウマチや多発性筋炎に対する新規治療法の開発に関する研究も行っています。

臨床研究

臨床施設との共同で、
1. がん治療レジメンにおける支持療法の適正化
2. がん治療に及ぼす患者の一般状態が与える影響
3. 薬剤性アナフィラキシーの発症予知方法の開発
4. 薬局・ドラッグストアで実施できる簡便かつ迅速な生化学検査薬の開発

を進めています。