- Drug Delivery System(DDS):
- 薬物は、さまざまな経路を介して生体に投与されます。その際、投与が容易で、薬効が効率的に現われるように、通常、剤形に加工されます。投与された薬物は、その物理化学的及び生物学的性質に従って生体に吸収され、レセプターなどの標的部位へ到達し、薬効を発現します。一方、標的部位の必要以上の薬物分子や非標的部位に作用する薬物分子は副作用の原因となります。薬物は最終的に、肝臓における代謝や腎臓における排泄を通して体外に出されます。このような薬物の体の中の動き(体内動態)は、標的部位に対する薬物分子の薬理学的な感受性とともに、薬物の治療効果を決定する重要な因子となっています。
- 医薬品の研究開発では、標的部位に対する感受性が優れる化合物が優先的に選ばれます。しかし、体内動態が適切に制御されていないため、生体に投与されたときに標的部位に到達する化合物は投与量のごく一部で、大部分は全身に広く分布します。Drug Delivery System(DDS)とは、「望ましい濃度で、望ましい期間、望ましい部位へ薬物をデリバリーするシステム」、つまり、薬物の体内動態を最適化する創薬・創剤技術と定義されます。DDSの目的は、放出制御、吸収改善、標的指向化に大別されます。
- 下表は目的別に見たDDS技術の一例であり、DDS技術を適用したさまざまな医薬品が使われています。
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