主宰者からのメッセージ





 摂南大学薬学部薬物送達学研究室(Laboratory of Drug Delivery System)は、摂南大学で初めてのDrug Delivery System(DDS)を看板に掲げる研究室です。主宰者の佐久間信至は、東京理科大学薬学部、東京理科大学大学院薬学研究科の薬品物理化学研究室において博士前期課程を修了した後、第一製薬(株)における15年間の製剤・DDSに関する研究活動を経て、2004年4月、摂南大学薬学部薬剤学研究室(主宰者:山下伸二先生)に助教授として着任しました。2011年4月に教授に昇進し、薬剤学研究室でそのまま研究活動を続けた後、2014年4月、佐久間の研究分野であるDDSを看板に掲げる薬物送達学研究室を発足しました。
 薬物送達学研究室では、「生体膜上に存在する機能性分子や疾患に伴う分子構造の変化を分子レベルで認識・制御して疾患を診断・治療する、DDSに基づく独創的な創薬・創剤戦略を構築すること」を目標に研究活動を行っています。摂南大学着任後の佐久間の研究は下表の通りであり、佐久間の研究の基軸である「機能性高分子やナノテクノロジーをベースとするDDS研究」を展開しています。材料の設計・合成・物性評価から生物評価まで研究範囲が多岐に渡るDDS研究は、一個人、一研究室で簡単に対応できるものではありません。佐久間は、企業時代に培った人脈を最大限活用し、自らのアイディアをベースに、学部や大学、国境を越えた共同研究として研究を推進しています。
 薬物送達学研究室の発足と同時に、毛利浩太が助教として着任しました。2年9か月の在任期間において、毛利は佐久間の従来の研究を推進するとともに、毛利の専門である「DDSツールとしての核酸を用いた研究」を本研究室で展開しました。毛利が他の研究施設に異動した後、2017年4月、鵜川真実が助教として着任しました。北海道大学薬学部、同大学院生命科学院の薬剤分子設計学研究室において旧課程の薬学教育の博士後期課程を修了した後、徳島大学大学院医歯薬学研究部 薬物動態制御学分野における3年間の研究活動を経て、本学に着任しました。毛利同様、佐久間の研究を支え、それを発展させるとともに、鵜川の専門である「遺伝子を用いたDDS研究」を本研究室で展開しています。また、本年(2018年)4月、もう一人の助教として、伴野拓巳が着任しました。高崎健康福祉大学、同大学院薬学研究科の臨床薬物動態学分野において新課程の薬学教育の博士課程を本年3月に修了したばかりであり、今後、鵜川とともに、佐久間の研究を推進し、発展させていきます。
 企業及び大学での研究活動を経験する佐久間が常に心掛けていることは、研究成果の社会還元です。第一製薬(株)退職前の1年半は、研究所を離れ、自社の研究開発戦略の構築や他社の研究開発動向の調査に本社部門で携わっていましたが、大学での研究活動を進める上において大いに役立っており、独自性の源泉にもなっています。DDS研究は、基礎研究で見出された知見を臨床に役立つ応用へと橋渡しするトランスレーショナルリサーチの一つであり、その発展は多大な医療貢献をもたらすと期待されています。医療分野の未充足ニーズを敏感に捉え、DDS技術による解決策を創造し、それを世に出す日を夢見て、研究室メンバーとともに努力していきたいと思っています。この思いに賛同する方々の薬物送達学研究室への参加・協力をお待ちしています。

表. 摂南大学着任後の佐久間の研究
研究テーマ 共同研究機関
カチオン性オリゴペプチド固定化高分子を用いたバイオ医薬の経粘膜デリバリーシステムの開発 (株)ADEKA
同上高分子を用いた細胞機能制御物質のトランスフェクション技術の開発

麻布大学

同上高分子をアジュバントとして用いた粘膜投与型ワクチン技術の開発 鹿児島大学
(株)ADEKA
ヒアルロン酸を支持体とする新規生分解性高分子を用いた創薬・DDSの開発 

(株)ADEKA

蛍光性ナノバイオコンンジュゲートを用いた大腸がんの診断法の開発

Vanderbilt University
札幌医科大学
大阪府済生会中津病院ほか医療機関
(株)ADEKA

新規多孔性脂質微粒子のDDSプラットフォームとしての有用性の探索 物質材料研究機構
ナノ粒子化固体分散体を用いた難水溶性薬物/低吸収性薬物の経口吸収改善技術の開発 物質材料研究機構
機能性官能基を側鎖に持つ高分子複合体の消化管内トランスポーター阻害に基づく創薬戦略の構築 大阪大学
金沢大学
大阪工業大学
薬物―粘膜付着性高分子複合体による難吸収性薬物の経口吸収改善技術の開発 University of Utah
高pH溶解型腸溶性高分子を用いた小腸内部位特異的デリバリーシステムの開発 信越化学工業(株)
森下仁丹(株)