現代医薬において治療が困難な種々の疾患に対して、漢方薬が著効を示す場合があり、21世紀の日本の現代医療においてもその存在は欠かすことができないものとなっています。しかしながら漢方薬の作用メカニズムの詳細は一部をのぞいて明らかとされておらず、EBM(evidence based medicine)が必須とされる現代医療においては、伝統薬である漢方薬においても科学的な根拠の積み重ねが求められています。
当研究室では、脳・精神疾患をターゲットとし、漢方薬や生薬が本当に効くのか?効くならば、その作用メカニズムは?どのような成分が薬効発現に関与しているのか?などを科学的に検証していくことを主な研究テーマとしています。
また、脳・精神疾患の発症・病態メカニズムは不明な部分が多く残されていることから、神経科学領域における基礎的解析も並行して行い、これらの解析において培った研究手法や基礎的知見を「漢方薬の薬効解析」や「天然物からの創薬研究」に応用していくスタイルで研究を進めています。研究テーマ
1. 漢方薬・生薬の薬効解析
(認知症、うつ、不安障害、発達障害、統合失調症、脱髄疾患など)
脳・精神疾患に対する漢方薬の薬効を行動薬理学的手法、神経生化学的手法、免疫組織化学的手法、分子生物学的手法を駆使して解析を行っている。
2. 脳機能改善効果を有する天然物由来化合物の探索
・神経幹細胞の増殖・分化を促進する化合物の探索
・グルタミン酸トランスポーターの発現・機能を促進する化合物の探索
・神経栄養因子様作用を有する化合物の探索
・脳内エピジェネティクスを制御可能な薬物の探索
3. 神経科学領域における基礎研究
・色素上皮由来因子PEDFの神経保護作用・神経新生促進作用の解析
・精神疾患モデル動物を用いた精神機能の分子基盤解析
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