Research
私たちの「食」や「農」と「微生物」の間には密接な関係があります。その関係を理解し、人類に役立てるための学問が「応用微生物学」です。当研究室では、微生物が作るアミノ酸や生物活性物質などの有用物質に着目しています。未知の微生物や新規物質を探索し、ケミカルバイオロジーや遺伝子工学技術を駆使することで、環境に応答した物質生産メカニズムを解明し、生産性向上やより高活性な誘導体の創出を目指しています。
研究テーマ
酵母による必須アミノ酸(ヒスチジンなど)の生産に取り組んでいます(和田)
微生物によるアミノ酸生産には長い歴史がありますが、そのほとんどは細菌によるものです。私たちは、発酵食品の製造に用いられる酵母に着目しています。酵母自身がヒトの必須アミノ酸を生産すれば、別途添加することなく、その含有量を高めた食品の製造につながります。
この実現に向けて、突然変異誘発法によりヒスチジン高生産酵母を取得し、その生産メカニズムを解析しました。その結果、His1タンパク質(ATP-phosphoribosyltransferase)にアミノ酸置換(A249T, S264R)が見つかりました。ヒスチジンによるフィードバック阻害の解除が、高生産の原因と考えられます。(井野ほか、2026年度日本農芸化学会大会)
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生合成酵素阻害剤を用いた新規天然物の探索(加藤)
天然物は創薬資源として重要であり、新規化合物を見い出すための探索法が求められています。私たちは、天然物の生合成酵素を阻害する化合物を手がかりに、土壌分離糸状菌の生産する新規化合物の探索に取り組んでいます。
特定の部分構造の形成に関わる酵素を阻害すると、その経路でつくられる化合物の生産量が低下すると考えられます。そこで、阻害剤を添加した場合と添加しない場合の培養物をHPLCで比較し、添加によって減少する成分に着目します。この変化を手がかりに候補成分を絞り込み、分取精製・構造解析を通じて、新規天然物の発見を目指しています。
切れない糖で糸状菌のアミラーゼ遺伝子発現制御を切り拓く(加藤)
微生物は外界の多様な炭素源の存在を感知し、その利用に必要な分解・代謝酵素の遺伝子を誘導発現させます。こうした応答に関わる転写因子は同定が進んでいますが、シグナルの受容から転写因子の活性化に至る仕組みには、未解明な点が多く残されています。
私たちは、Aspergillus属糸状菌のアミラーゼ遺伝子群の制御系に着目しています。シグナル分子であるイソマルトースの構造と機能を模倣した代謝耐性糖アナログ(切れない糖)を創製し、イソマルトースの受容から転写因子AmyRの活性化に至るシグナル伝達経路の全容解明に取り組んでいます。
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