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★ CONTENTS ★

  1. コピーとノートについて――講義の受け方(竹山幹夫)
  2. としょかんミニレクチャー〈第2回〉精油および沈香の芳香とその化学(中西勤)
  3. 投稿:私と図書館…雑感/おもうこと
  4. Reference・Corner――資料紹介C 最近情報をつかむ
  5. Informationひろば
  6. 昭和60年度図書館利用統計

コピーとノートについて
――講義の受け方――


数学・物理学系教室教授
竹 山 幹 夫

 科学を探究し、それにより生活をみのりあるものにするためには、独創的な思考、すぐれた観察が要求されるが、ます勉強して実力をたくわえなければならない。これには昔から、先生、友人等の人から人によるものと、書物から学び取るものとの二通りが主なものとしてある。各大学が優秀な教授陣と並んで完備した図書館を用意している所以です。歴史的にもドイツのグーテンベルグが活字を鋳造し、活版印刷の技術を発明した15世紀以後、科学は急速に進歩している。
 とは云え書物ほ高価であり個人で多くを専有することは仲々難かしく、昔の人々が筆字により苦労した話しが日本でも伝わっている。私自身も外国雑誌を図書館で借り、文献を写真またはタイプで複写した苦労の思い出があります。コピー機械の発達した今日から考えると感無量です。しかし、苦労して写したものはそれなりに一生懸命読むので身につきます。今ではあまりにも多くの文献を安易にコピーしすぎ、論文をコピーしたとたん安心して机の引出しにしまいこんでしまうものが多くなり、何にもなりません。便利なものも善し悪しです。
 苦労と云えば学生時代の講義のノートです。旧制高校でも語学以外はノート講義が多く、大学では講義はすべて教科書なしで、授業中はノートを取るのが仕事です。
 授業を休めば友達のノートを借りての筆写が大変で、おちおち休めません。講義の大変速い先生もいて、そのようなときは速記者さながら、内容を理解しているひまなどありません。しかし、期末試験の前読み返して見ると、自分の手で一度書いたものは不思議に記憶し易く、ノート講義の御利益と云うべきでしょうか。
 現在では小学校から高校まで教科書が用意されており、大学でも教科書による講義が多く、また、コピー技術の進歩もあり、学生諸君のノートのとり方が不十分で上手でないようです。
 今はボタン1つで何でも出来る時代ですがさすがに頭の中に知識を入力することは出来ません。又講義は聞くだけでは忘れてしまいます。必ずノートを用意し上手に要点を記録する技術に馴れることを学生諸君に望みます。
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精油および沈香の芳香とその化学

薬学部・薬学科 教授
中 西  勤

1.精油と芳香 よい香りをもつ葉、花、果実などのその芳香の源はそれらに含まれている精油(essential oil)と呼ばれる揮発性の液体に基づくことは既に数百年も前から知られ、香料、香水等に汎く利用されて来た。しかし、精油の化学成分組成に興味がもたれ、研究され始めたのは19世紀に入ってからのことであった。精油は種々の有機化合物の複雑な混合物であるが、主として勾いの源となるのは炭素数10個から構成され、その上にいれゆる"イソプレン則"に従った構造を有する化合物群であることが判った。マツ属からの精油も主としてα−ピネンやβ−ピネンなどの炭素数10個の化合物群から成っており、この精油をターペンティン・オイル(turpentine oil;テレビン油)と言うことに因んでこれらの化合物群はターペン(terpene;日本語ではテルペンと発音)と総称された。その後、各種化合物群のより細分化されたクラス分けに従って、今日ではこの化合物群はモノテルペンと呼ばれている。
 モノテルペン以外にも炭素数15個から成るセスキテルペンと呼ばれる化合物群や芳香環(ベンゼン環)に3個の炭素が結合したフェニルプロパノイドと呼ばれる化合物群が精油の芳香成分として寄与していることもよく知られている。古くから香料、香辛料として使われて来た丁字丁香;英名:クローブclove)、桂皮(英名:シナモンcinnamon又はカシアcassia)及び茴香(英名:fennel)の精油中のそれぞれの主芳香成分オイゲノール、ケイアルデヒド及びアネトール等はフェニルプロパノイドに属する化合物である。
2.沈香(じんこう)と香道 香道という言葉は現在では聞くことも少なくなったけれども香炉で沈香(木)を焚いて、それから発する様々な相の幽幻な香気を味わい楽しむ日本独特の文化である。古く平安時代には白檀丁香沈香ど種々の香料を調合した薫物を用いていたが、鎌倉末期以後は沈香(木)1種のみを焚いて勾いを味わい、この沈香などを焚く遊びは「香道」という道にまで高められた。現在でも、茶の湯のの時に「」は使用されている。正倉院には沈香の上品である大きな黄熟香(約11.6kg)が蘭奢侍(らんじゃたい;東大寺という言葉が蘭奢侍の字の中に組み込まれている)と呼ばれ今も保存されている。
 沈香はジンチョウゲ科の大木でカンボジア、ベトナム、マレイ半島等に産するAquilaria agallochaやA. malaccensisを基原としているが、30年生以下の新鮮な若木そのものには精油分はなく、無臭である。50年以上の老木や倒木となって土中に埋もれ年代を経たものには樹脂分が沈着し、佳香を放つ沈香となる。樹脂分が多く沈着しているものほど黒く重くなり水に沈むので、沈水香略して沈香と名付けられた。堅く漆黒の高級品は伽羅(きゃら)、伽楠香(かなんこう)などと呼ばれ珍重される。
3、沈香中の芳香セスキテルペン。近年、我々のグループは沈香の佳香の本体を明らかにするため、各種の沈香及び伽楠香などの精油成分の検索を行い、10数種のセスキテルペン構造存在比を決定した。これらセスキテルペンのうち、アガロスピロールジンコールクスノール及び10−エピ−γ−オイデスモールはそれぞれに微妙に異なる強い芳香を有し、沈香の幽幻な香りの源であろう。
4.白檀、ゼラニウム油、ベチバー油の成分。「栴檀(センダン)は双葉より芳し」と諺に言われ、扇子等の工芸品や薫香料として用いられて来た白檀の佳香も、主としてその精油中のセスキテルペン成分(α−及びβ−サンタロール)に依るのであろう。ニオイゼラニウムの精油は強いバラ様香気を有し、石けん香料等に使用されているが、その主構成分はシトロネロール、リナロール等のモノテルペン類と沈香中にも見い出されている10−エピ−γ−オイデスモール等である。イネ科のベチバーグラスの精油も石けん香料、香水の保香料として重要で、芳香をもった主成分はα−ベチボン及びβ−ベチボンである。α−ベチボンは沈香の成分クスノールと、又、β−ペチボンは沈香中のアガロスピロールと同じ骨格をもったセスキテルペンである。さらに、ベチバー油中には沈香の成分ジンコールとよく似た構造の成分も含まれている。この様に、芳香を与えるセスキテルペン成分は構造的に相似かよっているものが多いと思われ、興味深い。最後に、毎年春には周囲に佳香を放つ沈丁花(じんちょうげ)はそのよい香りを沈香丁香にたとえて命名されたと言われる。

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山田憲太郎著「香料の道」(中公新書、1981.1)請求記号:298Y
印藤元一著「香料の実際知識」(東洋経済新報社、1985.7)請求記号:576.6l
須賀恭一、渡辺昭次著「香料の化学」(講談社、1982.7)請求記号:576.61S
山崎峯次郎著「香辛料T」(ヱスビー食品出版、1973.12)請求番号:619.91K
奥田拓男編「天然薬物事典」(広川書店、1986.4)請求番号:R499.803T
木島正夫等編「広川薬用植物大事典」(広川書店、1981.2)請求番号:R499.87H

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投稿:私と図書館‥‥‥雑感/おもうこと

自分にあった図書を探す

薬学部・衛生薬学科 4年
森 口 展 明

 私と図書館との出会いは、中学3年の時でした。以来、図書館は私の人生における水先案内の役目をしてくれています。図書館というのは、学生にとって水先案内であり、かつ頭脳となりうる所であると思います。現に摂南大学に入学して、薬学の分野をほとんど知らなかった私が図書館で薬学分野の本を見て、『薬学というのは、こんなに難しい事も学ぶんやから、しっかりせなアカンな』と気合を入れた事を思い出します。また、前・後期の試験前やレポートの時、私の頭脳となってくれたのが図書館です。教科書の難しい所を、自分にもよくわかる平易な文で書いてある図書を探したり、また理解が深まれば、専門的な図書をじっくり読むことです。特に、自分の理解力にあった図書を探す事が大切です。私も色々な先生から、『難しい事をわかったように写すよりも、自分の理解している事を書く方がよい』と言われました。この事は皆さんに声を大にして言いたい。
 そして、理解を深めていってほしいと思います。
 さて、これだけ有用な図書館とのつき合い方ですが、我が摂南大学には、優しい図書館員の方々がおられるし、又コンピューターの端末機があるので、他の大学よりも便利です。特に図書館員の方々は知識が豊富で、1つの事を調べるのに、他の分野からのアプローチもあることを、教えて頂きました。この様に、整備されている図書館を利用しているのだから、みなさんも、自分にとって1番すばらしい道に、水先案内をしてもらって下さい。

図書館について思うこと

薬学部・衛生薬学科 1年
伊 藤 千 恵

 私は図書館を訪れるのが好きです。入学当初は、あまりの蔵書数や設備に驚きと喜びを覚えたものです。何という用事もないのにうれしさのあまり、館内のあちこちをうろついたりしました。雰囲気・空気‥‥‥すべてが新鮮で中学・高校の息苦しさとは全く違いました。大学では、今までとは違って休講というものがあり、けっこう空時間のある学部もあります。そういう時間のあるときは、みんなもっと図書館を訪れ、知識を豊富にすべきだと思います。
 私の見たところでは、図書館を昼寝の場所として利用している人が多数あります。本当に図書を利用しようという人にとっては、かなりいい迷惑だと思います。
 時間の許されたこの大学時代こそ、深く本に接し、静かに思索に耽ける絶好のチャンスです。本を読むことによって、新しい自分の世界を開拓していくことができるか否かが、私たち大学生の将来が決まるのではないかと私は確信しています。これからの4年間は学生らしく、かつ、楽しいものにしていきたいものです。
 一年のみなさん。もっと本を読んでみましょう。卒業するまでに何冊本が読めるか、友だちと競うのもよいでしょう。

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最近情報をつかむ
資料紹介C

今回は、図書館で受け入れしている新聞をすべて紹介します。
ぜひ愛読紙を見つけて下さい。

NEWS
《日本語》
1.朝日新聞(日刊)‥‥‥‥…総合紙 本館・分館
2.毎日新聞(日刊)…‥‥‥…総合紙 本館・分館
3.読売新聞(日刊)‥‥‥‥‥‥総合紙 本館・分館
4.サンケイ新聞(日刊)‥・…総合紙 本館・分館
5.図書新聞(週刊)‥‥‥‥‥‥書評紙 本館・分館
6.週刊読書人(週刊)‥‥‥‥・書評紙 本館・分館
7.出版ダイジェスト(旬刊)…新刊書案内  本館
8.日本経済新聞(日刊)代表的な経済紙 本館・分館
9.日経産業新聞(日刊)産業・企業情報が満載 本館
10.日刊工業新聞(日刊)わが国最古の新聞 本館
11.科学新聞(週刊)科学技術全般の動向、成果 分館
12.Medical Tribune(週刊)医事全般  分館
13.薬事日報(隔日刊)・‥……薬事全般  分館
14.薬業時報(週2匡刑)‥‥‥薬事全般 分館
15.中央薬論(旬刊)薬事全般  分館
16.ステップニュース(月刊) 日本英語検定協会の試験に関する記事 本館
17.中南米新聞(月2回刊)本館
18.デイリースポーツ(日刊)・‥…神戸新聞のグループ紙 本館
19.スポーツニッポン(日刊)…‥・毎日新聞のグループ紙 本館
 《外国語》
1.The Japan Times(日刊)…・‥日本最古の英字紙聞 本館
2.Asahi Evening News(夕刊)‥…‥‥…朝日新聞の英字紙 本館・分館
3.MainichiDaily News(日刊)毎日新聞の英字紙  本館
4.The Daily Yomiuri  (日刊)‥‥‥本館
5.The New York Times   (日刊)‥‥‥本館
6.The Japan Economic Journal (週刊)日本経済新聞の国際版  本館
7.The Student Times (週刊) 生きた英語が収得できる和英文紙 本館
8.人民日報(日刊)‥…‥‥中国語    本館
9.Kompas (日刊)‥インドネシア語 本館
10.UNO Mas UNO(日刊)‥・スペイン語 本館
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コンピュータの新しい本がたくさん増えました
 今回、コンピュータの本が約200冊配架されました。すべて最新の本ばかりです。
 システム屋さんには、DOS,CP/M,UNlXなど、言語ではBASICからアセンブラ,C,Prolog,Logo,など盛りだくさんです。
 もちろん、ファイル管理やDBさらには、CADや簡易言語もフォローしています。
 せっかちなアプリケーション君には、9800ファミリー,X1,MSX,FMシリーズなどの応用ソフト特集もたくさん品揃えしています。
 とにかく、夏休み前に一度のぞいて下さい。決して、失望はしませんよ。
             (請求記号:549.92)
ワープロ人気上昇中
 今週のヒットチャート、No.1……ではありませんが、図書館で貸し出しているワープロ(東芝RUPO)の人気が急上昇中。本館・分館合わせて十数台の機械が常に貸し出し状態です。
 中には、何回足を運んでも慣れない気の毒な人もいます。それだけにカウンター係員はできるだけ多くの人に利用してもらおうと大奮斗。期限に返却しない人は"ロウソクを頭に差してでも"(横溝正史ばりです!)返却を求めています。どうぞ、返却に御協力下さい。
 そして、情報化時代、フルに活用下さい。

検索用端末機1台増設
  ・6月より設置
  ・50音順列のキーボード
  ・プリンターも入る

 ※キー操作やメモが楽になりました。
             (寝屋川本館)
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昭和60年度図書館利用統計
※この統計は本学学生のみを対象としたものです。

◎学部・学科別貸出冊数

◎学部・学科別(学生1人当り)貸出冊数

◎分 野 別 貸 出 比 率

(参 考)他大学との比較
近畿10大学の、学生1人当りの貸出冊数は平均3.3冊です。(昭和59年度統計:日本図書館1985による)
本学は全学平均3.9冊ですから、10大学の平均をやや上回っていることになります。
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講義の参考書
約300冊購入!
 図書館では「昭和60年度講義要綱」に紹介されている<参考書>類を揃えました。
 講義を十分理解するために活用して下さい。
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