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CONTENTS

  1. 『和魂洋才』について(中川 努)
  2. 図書館利用のすすめ その1――特に新入生諸君へ
  3. 図書館利用のすすめ その2――所蔵検索システム紹介
  4. としょかんミニレクチャー〈第3回〉 色と光(野口 透)
  5. カウンターから見ていて思うこと(八木敬子)
  6. 今後における整理業務について(田中佳子)
  7. 情報化社会への対応(熊懐節子)

『和魂洋才』について

国際言語文化学部 教授
中 川  努

 1月16日の夕刻、北京では胡耀邦総書記の辞任が発表され、昨今の情報では、北京の街頭や、公園の外国企業のポスターの撤去が考えられているようである。こうなると中国の政治局拡大会議が「…対外開放・対内経済活性化を堅持」するとのコミュニケを発表しても、はたして、今後の中国が共産党の指導の枠を超えることなく、日本や欧米先進国の新しい知識や技術をとり入れることができるだろうか――少し心配になってくるので、わが日本の幕末・明治の欧米文化・技術の摂取の情況を覗(のぞ)いてみようと、森鴎外全集を引き出して読んでいると次のようなところにぶつかる。これは1888(明・21)年、ドイツ留学から帰ったばかりの鴎外が、10月に創刊した「柵(しらがみ)草紙」の中で
 「西学の東漸(とうぜん)するや、初その物を伝へてその心を伝へず。学は則(すなわち)植物窮理、術は則(すなわち)方抜兵法、世を挙げて西人の機智の民たるを知りて、その徳義の民たるを知らず。況やその風雅の民たるをや。‥‥‥」
と、西洋の技術や、自然科学的学理ばかりが尊重され、彼の地には倫理・哲学・文学は皆無であるかのごとき一般日本人の認識に警鐘を響かせている。
 鴎外はさらに13年後、(1902)小倉の偕行社で講演し、欧米の学術が深くその地の学問的伝統をその温床として芽生え、育ったものであるから「学問は器械道具の如く、一地より他の地へ運送す可き者に非ずして、有機體なり、生物なり。此生物の種子をして萌芽し生長せしめんには一種特異の雰囲気なかる可からず。日本は従来洋学の果実を輸入したり………」と、当時ひろく言われていた「和魂洋才」(いたずらに西洋かぶれしないで、知識・技術のみ西洋に依存すること)という観念がいかに実現困難なものであり、むしろ空(むな)しいものであることを述ベている。
 こういうものを読むと、今後の中国の「開放路線」もなかなか容易なことではないという気持ちにならざるを得ない。
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図書館利用のすすめ その1
――特に新入生諸君へ――

 大学生活、四年間が始まります。手とり足とりの高校生時代と異なり、自ら積極的に学び、考える姿勢が大切なものとなります。
 このためにも図書館を有効に活用し、図書と新しく接する大学生活を送って下さい。
 今回は特に新入生の皆さんに、図書館利用の手引きをQ&Aで行ってみました。


Q.図書館の概要を教えて下さい。
A.本学図書館は寝屋川キャンパスの中心学舎、7号館の1階・5階・6階に本館があります。又、枚方キャンパスには、2号館2階に分館が設置されています。
 図書館にそなえられている資料は、@図書(いわゆる本です)、約18万冊、A学術雑誌、約1600種、B新聞、軽雑誌、C語学テープやビデオテープ類などの視聴覚資料などです。
 又、最近OA機器として社会に普及してきたワープロの貸し出しも行っています。
Q.貸し出しの手続きはどうすればいいのですか。
A.借りたい資料と学生証があればそれでOKです。ただし、学術雑誌や参考図書(辞典や年鑑など)は、館内のみの利用となっています。必要な部分は、コピーをして下さい。
Q.図書館ではいろいろなサービスを受けられると先輩から聞きましたが……。
A.図書館の提供しているサービスは、たくさんあります。その中から主なものを紹介しておきましょう。
@レファレンス・サービス
  聞きなれない言葉でしょうが、各種資料の調査や取り寄せなどを図書館員が行ってくれるサーピスです。「こんな分野の資料がないか?」、「この雑誌に載ったあの論文のコピーが欲しい。」等々、何でもけっこうです。カウンターで気軽に相談して下さい。
A希望図書購入制度
  図書はもちろんのこと、雑誌、語学テープやビデオテープ類なども希望できます。申し込み用紙は、カウンターにあります。購入後、一番最初の利用者はあなたです。
B相互利用制度
 求める資料が図書館になかった場合、あなたならどうしますか?新しい資料なら、先程の希望図書購入の申し込みを行うのも1つの手です。
 又、本館になくても全国の図書館のどこかには、きっとあるでしょう。そんな時に、利用するのがこの相互利用制度です。
 この制度を利用したい時は、カウンターの係員に申し出て下さい。では、具体的な利用の仕方を少し詳しく見てみましょう。
 〇他館で、直接資料を調べたい時
 カウンターで「図書館利用依頼書」を 発行します。この依頼書と学生証を持って、他の大学図書館を訪ねて下さい。利用にあたっては、先方の利用規則に従って下さい。
 〇文献のコピーが欲しい時
 必要な資料がどこにあるかは、先のレファレンス・サービスを利用下さい。
 所蔵館がわかれば、「文献複写依頼書」(これもカウンターにあります)を記入して下さい。コピーは、平均2〜3週間で入手できます。このために要する費用(複写料、郵送料)は本人の実費負担です。

 さて、図書館利用の参考になりましたでしょうか。もうお気付きでしょうが、利用者から見て、図書館のすべての機能はカウンターに集中しています。気軽にカウンターに立ち寄り、有効な利用を進めて下さい。図書館は常に利用者に開かれています。
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図書館利用のすすめ その2
――所蔵検索システム紹介――

 本学の図書館は、貸し出し、検索を始めすべての業務をコンピュータで処理しており、全国でも最先端を行く図書館システムです。
 このため、従来の図書カードにかわって、利用者はコンピュータ端末で検索することになります。
 望む資料をうまく調べられるかどうか。検索用端末の使いこなしにかかっています。では、所蔵検索システムの紹介を行いますが、何よりも一番の上達方法は、実際に自分でやって見ることです。


1.利用者番号を入れる

 まず最初に利用者番号を入力して下さい。利用者番号とは、学生証に記載の図書館番号(2+学籍番号)です。これで検索システムがスタートします。
2.検索方法を選ぶ
 検索は、「1:書名検索」、「2:著者名検索」「3:分類番号(NDC)検索」の3種類の方法があります。検索番号、1、2、3のいずれかを入力して下さい。当初は、「1:書名検索」がシステムによって準備されています(これをデフォルト値と呼びます)。
3.検索キーワードを入力する
 すでに検索方法の設定は終りました。いよいよ検索キーワードの入力です。各検索方法ごとに、注意点を含めて見てみましょう。
@書名で検索する場合
 和書はカタカナで、洋書はアルファベットで入力して下さい。なお、和書の書名の一部にアルファベットや数字が使われていても、読むとおりに入力して下さい。
  例:やさしいBASic
     →ヤサシイ べーシック
    1984年
     →センキュウヒャク ハチジュウ ヨネン
※検索テクニック
 正確な書名がわからない場合、初めのわかっている部分だけ入力して、末尾にプラス記号(+)をつけると、入力した部分が一致した図書はすべて呼び出してきます。これを前方一致検索と言います。
  例:経済学何とかという本を検索
      →ケイザイガク+
A著者名で検索する場合
 東洋人は音読みのカタカナで、西洋人は原綴りを姓名の順で入力して下さい。又、この検索方法でも、前方一致検索が使えます。原綴りがわからない時は、人名辞典などで調べましょう。
  例:夏目漱石→ナツメ ソウセキ
    毛 沢東→モウ タクトウ
   ○→HEMINGWAY,ERNEST
B分類番号で検索する場合
 主題(内容)で検索したい場合、この方法を使用します。主題に該当する分類番号は、備え付けの図書『日本十進分類法』で調べて下さい。
  例: 日本文学全般について検索
      →91※(前方一致検索です)
4.検索結果が表示されたら
 検索キーワードを入力したら、いよいよ実行です。『ENTER』キーを押して下さい。数秒間待つと、「下記の条件を満たす図書(資料は○冊です。)」と表示が出ます。
5.該当図書の一覧を表示する
 検索結果のメッセージが出たら、もう一度『ENTER』キーを押して下さい。該当図書の一覧が表示されます。
6.求める図書の詳細なデータを表示する
 該当図書の一覧表示の画面で、求める図書の位置にカーソルを移動し、『ENTER』キーを押して下さい。求める図書の所在情報、貸出情報などの詳細情報が表示されます。
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色 と 光

工学部・電気工学科教授
野 口  透

 紅一点という言葉がある。多くの男性の中にいる一人の女性のことであるが、もともとは青葉の中に咲いた一輪の柘榴(ざくろ)の花が鮮やかに見える様子を示したもので、王安石(11世紀北宋の文人・政治家)の柘榴の詩の一節「万緑叢中紅一点 動人春色不須多」から出ている。なぜ、咲き乱れる春の花よりも緑の中の赤い花がきれいに見えるのだろうか。
 われわれ人間は、宇宙線から通信用電波に亘る広範囲の電磁波のうちのほんの一部分、波長にして380〜780nm(1nmは10億分の1m)の範囲を光として感じるほか、色を識別する感覚(色覚)をもっている。色覚の詳細はまだ解明されていないが、模型的に示すと図1のようになる。眼の網膜に光の波長で610nm(赤)、540nm(緑)、450nm(青)に最大感度をもつ3種類の感光細胞があり、これらが刺激される度合によって色が違って見える。たとえば、波長の長い光は赤く、短い光は青く感じられる。
 しかし、大面積の赤い色を見ていると、赤に対する感度が低下し、緑や青に対する感度が図2(a)のように上昇する。逆に青を見ている場合、同図(b)のように赤に対する感度が増す。この(b)の状態の眼で小さな赤いものを見ると、実物以上に赤を強く感じることになり、これが紅一点現象の説明になる。このような、色に対する感度変化を色順応と呼んでいる。
 物体の色は、これを照明する光の波長成分によっても変って見える。よく知っているように、白熱電球と蛍光ランプとでは色の見え方が異なる。ランプのこのような性質を演色性という。印刷、染色、塗装など、指定された色に仕上げるためには、赤から青までの光をまんべんなく含む、演色性のよいランプでチェックする必要があり、そのための特殊な高演色蛍光ランプもある。
 つぎに、照明によって物体の色を鮮やかに美しく見せることを考えてみよう。赤い花は長波長成分を多く含む光で、青い衣服は短波長成分を多く含む光で、照らせばよい。それぞれ元の色(昼光で見る色)よりも鮮やかに見えるはずである。
 図3のように、波長610、540および450nm付近で発光する3種類の蛍光体を使った蛍光ランプは、光は白色であるが、物体の色をきれいに見せる性能をもっており、三波長域発光形蛍光ランプとして市販されている。
 肌が血色よく、いきいきと見え、トマトは赤く、パセリは緑濃く、というように料理もおいしく見える。光によるお化粧効果である。この蛍光ランプは色覚の研究から生まれたもので、従来の蛍光ランプでは不可能だった演色性と効率の両立を、可能にしたものである。
 今は季節外れであるが、美しく見える紅葉も、摘み取った一枚の葉の色は淡く、ガッカリすることがある。
 これは多数の葉の間で反射や透過を繰り返すと、図4のように回を重ねるに従い、反射率または透過率のよい波長部分だけが残って、色の純度が上がり、濃くなるからである。多重反射と多重透過による色の深まり現象である。春、満開の桜が、個々の花びらに見られない色がついて見えるのも同様な現象である。1990年大阪での「国際花と緑の博覧会」では、夜も花と緑を美しく見せるための照明が要求される。月明かリ以下の暗さでは、色覚はなくなる。色をはっきり見せるためにはある程度明るくしなければならないが、植物にとっては昼が長く、夜が短くなったと同じことで、その生理に影響しそうである。色だけでなく、つやとかきめといった表面の質感の表現も大切である。すでに盛りを過ぎ、生気を失いかけた花さえ美しく見せるランプが出現するかも知れない。筆者の専門である照明工学の目的の一つは、光をうまく使って快適な環境を形成することにある。「花の色は移りにけりないたづらに……」と嘆かせないで、いきいきと美しく見える照明の方法を追求する必要があろう。

付記 野口透教授は、1990年に大阪で開催される「国際花と緑の博覧会」の屋外照明特別研究委員会委員長に就任、連日その御経験と知識を生かして御活躍中です。

図書紹介
三浦寛三著「色彩学概論」(創文社、1980)請求記号:724.5M
松浦邦男等編「照明の事典」(朝倉書店、1981)請求記号:R528.403S
日置隆一著「光用語事典」(オーム社、1981)請求記号:R425・03H
金出武雄著「光と画像の基礎光学」(電気学会、1984)請求記号:549.9K
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カウンターから見ていて思うこと
奉仕係 八木 敬子

 本を探しに来たとき、5階の閲覧室だけを見て、「無い……」と諦めていませんか?
図書館の本は閲覧室の書架においているだけではありません。入りきれず、やむ無く書庫に移動した本や、貸出中のものがあります。この様な本を探すときは、学生用検索端末をフルに活用して下さい。すぐにその所蔵がわかります。端末を眺めるだけで帰ってしまう人もいた当初に比べ、最近ではかなり多くの人達が使いこなせるようになりました。3台の端末はいつも満員御礼の状態、嬉しい限りです。しかし、時折、利用者コードを入力して「ミトウロウ!」と出たり、検索中に画面が動かなくなったりすると、そのままにして帰る人がいます。この事はちょっとした操作ミスなので、簡単に治ります。他、検索していて困ったとき、自分の探している本が出てこないときなど、一度カウンターの係員に尋ねて下さい。思いもかけない本が見つかるかも知れません。次に貸出中の図書については、返却されれば、優先的に貸出が出来る予約制度を、図書館に無い本を探している時は、希望図書購入制度を利用して、リクエストしましょう。書店にある本なら、希望を出して一ヶ月程で利用可能です。図書館の蔵書を使いやすく、魅力あるものにするためにも、これらの図書館サービスは、もっと多くの人達に利用してもらいたいと思っています。
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今後における整理業務について

 整理係?って、ご存じですか。普段図書館の事務室で図書の目録作成をしている人達です。今、図書館の世界は紙の時代から、電子の時代へ大きく変化しつつあります。これらのことに図書館はどう対処しようとしているのか、舞台裏からの光を当ててみました。


図書館整理係  田 中 佳 子

時代に即応した「整理のマニュアル」
 10月2日より、約2ヶ月間に亘り日本十進分類法(NDC)第7版と、日本目録規則新版予備版を基にして現在使われている整理マニュアルについて、見直しの検討会が行なわれた。これは、次のような理由による。
 まず、第1点として、NDC第7版で現状の図書を整理する場合、社会変化や情報活動の早さに、分類作業が十分対応できないことがあげられ、この事について検討し自分なりに考えてみた。社会が発達する事は、科学の進歩やさまざまな考え方に比例するためで、当然の変化である。図書の整理業務が、その変化に対応せねばならない事も必然的なものである。
 第2点として、現在整理係の人数は、アルバイトを含めて5人である。昭和60年度収書冊数は、約2万冊程度である。(単行本受入冊数約12,000冊)これを当時の人員と勤務日数等で頭割りすると、1日あたり1人約60冊程度になる。これは、1日の図書整理の限界ともいうべき冊数ではないか?日本の大学の平均整理冊数は、1人あたり30冊程度と聞く。現状を考えて、少人数で多大なる成果をあげるためには、ひいては、学部増設による、図書の受け入れ増加を考え、また整理のみならす、正確かつ迅速なサービスをなすためにも、ゆとりある整理業務は、望ましい限りである。これらをかんがみ、従来の手書きによるデータ作成は、目録データの統一性はあるが、労働の時間的省力化にかけるように思われる。

奉仕・整理業務の現状と今後
 現在奉仕・整理業務に従事している人数は、専任1名、嘱託1名、アルバイト3名の計5名で、うち2名については、庶務業務も行っている。つまりサービス専従者は3名にすぎない。その人達もたび重なる学部増による教員数、学生数増のため、いままでより、倍以上増えた大学間交流のため、1日の大部分の時間をそれにさいている。主として、整理係の労働時間の省力化にむけ実現された電算化であるが、現状では、労働時間が少し短縮したにすぎない。しかもサービスに十分時間をついやせないのが、現状といえる。サービスとは、忙しい時間内に考えるものではなく、ゆとりのある時間内であってこそ考えられるということである。そういった時間が必要だとも思う。
 整理と奉仕は、図書の内面を知っているため非常につながりが深い。限られた人員で、サービスの質的価値を高めるためには、整理係の応援は必然的である。労働時間の省力化は、こうした奉仕への時間的ゆとりも生みだすと考えられるからである。

外部マークデータと互換性の保持
 では、具体的に整理を改正していく上で、問題となるのはどのような事か?この検討会でも問題となった外部データとの互換性を中心に考えたい。LC/MARC(アメリカ議会図書館)やJAPAN/MARCは、それ自体が世界に流通するデータである。そこで、LC/MARCや、J/MARCなどいわゆるMARC類を参照ファイルとして、昭和60年度から全国の大学図書館を対象に目録所在情報サービスを開始した、学術情報センターと、摂大図書館も接続することが、考えられた。学情センターは、日本で流通する学術情報を、統一した型(総合目録データベース)にして、データベース化を進めているので、我が国では、唯一の世界的知的電算データベースである。将来的にこのシステムと互換性をもたない限り、本学のデータベースは、力を発揮されないものと思われる。
 ごぞんじの通り中央図書館は、10月中旬より学情センターと接続されている。整理係で中央図書館に見学にいった感想としては、第1として、本学の所蔵検索の画面にくらべると、ずっと細かいが、現在使っているディスプレイに写るためそれほど見にくくはなかった。第2として、検索する時間が早いことに驚かされ、一冊ずつ本を読んで分類づけをするのが馬鹿らしく思えた。

学情センター接続にあたっての基盤整備
 しかしながら学情センターと接続するにあたり、いろいろな問題もおきてくる。本学の電算目録は、創設当時J/MARCを基礎として考案されていたが、独自性が高く外部データをとり込む場合、書誌の構造や書誌レコードの構成の違い等を考えなければならない。例えば、書誌構造の所で比較しても、学情センターの場合は、セットものやシリーズものなど「固有の標題」を持った書誌単位が全体としてもまた「固有の標題」を持っている場合、全体の部分を集合書誌単位(親)とよび、各構成分を子と呼んで、集合書誌単位を含むすべての書誌単位について、レコードを作成し、その階層構造をリンクとして表現する方法をとっている。本学では、広範囲なシリーズ名、セット名はとらず、狭義な双書名と書名だけで、しかも書誌構造のリンクづけをしていないため、検索の時は双書名から入力されているのか、書名から入力されているのか、こちらが考えながら入力しないと検索できない。
 又、学情センターは、書誌レコードのヨミの表記中でも、ローマ字、アラビア数字、ギリシャ文字、ロシヤ文字、記号等、文字以外の文字・記号は、原則として表示されているとおりをヨミとする。(読むときの発音に従わない)ただし、回次、年次、日付を表わすローマ数字は、対応するアラビア数字をヨミとする。これは現行のJ/MARCの方法と異なっていて、J/MARCを基礎としている本学の記述の仕方とも大きく違っている。

最後に
 大学間交流が盛んな現状である。学術情報の流通もますます期待されることを考えまた、データ作成にある人的労力をおさえ、質の良いサービス第1の図書館へむけ努力する事を考えた時、外部データベースとの交流は、不可欠なものであり、より親密になるべきと考えられる。現在入力されているデータとの統一性がなくなることが、先人達の苦労を考えた場合、大変不満に思われるがこれから50年先のことを考え決断すべきではないかと思われる。
 図書館には、知識の保存も大きな役割がある。摂大図書館は、これまで、数多くの変化をのりこえてきた。それは、図書館の役割でいけば保存であった。これからは、サービスを中心とする摂大図書館へむけ変革していく時期になっているのではないだろうか。

学術情報センターとは…
 国立大学共同利用機関・学術情報センターは、近年の学術情報の急激な量的増大と質的多様化に対応して、大学等の研究者が必要とする学術情報を迅速かつ的確に提供するための学術情報システムの中枢機関として、昭和55年の学術審議会答申「今後における学術情報システムの在り方について」に基づき、昭和61年4月5日に発足しました。
 同センターの目的及び事業は、@学術情報システムの計画・連絡調整、A学術情報、及び学術情報システムに関する総合的な研究及び開発、B図書館等による一次資料(学術図書・雑誌等)の体系的・網羅的収集に対応した、図書・雑誌の目録所在情報の形成・提供サービス、C二次情報(書誌・抄録、数値・画像等)の提供サービス、Dデータベース形成の促進、E教育・訓練等、多岐にわたります。
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情報化社会への対応
 ――オンライン情報検索――
枚方分館  熊 懐 節 子

 現代は、高度情報化社会であるとよく言われます。新聞やテレビ、ラジオなどのマスメディアをはじめ、単行本や雑誌、あるいはその他の出版物などのいろいろな情報が氾濫しています。このような情況のなかで、自分に必要な情報を正確かつ迅速に手に入れるのは意外に大変です。
 たとえば、何か新しいテーマについて研究を始めようとします。そのような場合、そのテーマに関して現在までに誰がどのような研究をしたかを調べる必要が生じてきます。医学・薬学に関して言えば、従来はChemical Abstractsやlndex Medicusなどの抄録誌や索引誌を1年ずつ丹念に調べて該当する文献を見つけていました。
このような方法をマニュアル検索あるいは手検索と言います。もちろん、現在でもマニュアル検索は行われていますが、情報量は急速に増える一方ですので、膨大な図書資料のなかから自分が必要とする情報を確実に入手することは容易なことではありません。
 このような情況のなかで威力を発揮するのがオンライン情報検索です。この方法は、コンピュータ技術や通信技術の発展に伴って、1960年代後半から開発されてきました。現在、世界各国には多数のオンライン情報検索システムがあり、それらのデータベースは、化学、工学、医学、農学、特許、政治、経済、法律などのあらゆる分野を網羅しています。これらのシステムは国際的な電気通信網(ネットワーク)で結ばれています。従って電話器と端末装置があれば、会社や研究室あるいは自宅にいても、自分の必要とする情報が蓄積されている適当なデータベースに接続して検索を行うことにより、迅速かつ効率的に情報を入手することができます。このようなオンライン検索のプロセスはつぎのように図示することができます。
 現在枚方分館では、米国ロッキード社の子会社であるDIALOG lnformation Service社が開発したDIALONG(ダイアローグ)および日本科学技術情報センターが開発したJOlS(ジョイス)を研究用として利用することができます。薬学部の先生方は、これらのオンライン情報検索を研究活動の一助として有効に活用しておられます。
 また、このほかに三菱総合研究所のDIA−LINE(ダイアライン)を利用することもできます。これを利用すればジャパン・マークやニッパン・マークの情報(国内で刊行された図書の情報)が得られます。たとえば、現在大きな社会問題となっているエイズに関して1986年にどのような本が国内で出版されたか、などについても検索することができます。つぎにその検索例を示します。
 このように、オンライン情報検索は、情報化社会のなかにあって非常に便利なものと言えます。ただ、システムによって検索方法やコマンド(命令語)が少しずつ異なるため、習得するのに多少時間がかかりますが、慣れれば膨大な情報のなかから必要なものを意のままに入手することができ、研究活動をはじめその他の分野でも有効に活用することが可能です。
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