★ CONTENTS ★
国際化のための多読
工学部機械工学科 教授
明 石 一
昨今各方面で我国の国際化、あるいは国際的協調、が必要であるということがよくいわれている。半世紀前には国際化でなく国威発揚などと云われていた。我々にとって幸いなことに、今の国家の間の関係は、昔でいえば同一の国の中での家と家の間の関係のようになってきている。ここでの国際的協調は、いわば近隣の人達とうまくやって行くというようなことだ。
ここで両者の大きな違いは、お互いにことばが違うということであろう。言語の意味で少数派である日本が、これから今まで以上に外国と協調して、世界における地位を保って行く為には、我々が他の国をよく理解することが必要であろう。そこでどうしても必要なことは、我々が一人でも多く外国語を修得しておくことだと思う。特に英語は今や世界の公用語となっているから、学生諸君はせめて英語を自分のものとし、世界の情報を翻訳のみに頼らず、直接英語で吸収できるようになってほしいと思う。
これはしかし云うのはやさしいが実際はそう簡単ではない。英文法と少数の単語を覚えただけで、辞書を片手に一頁を何時間もかかって読んでいるのでは情報吸収どころではない。そこで筆者は学生諸君に"多読"法をこころみることをすすめたい。すなわち皆さんが内容的に興味をもてる、比較的平易な文章で書かれた英書を、辞書を一々引かずに早く読むことである。知らない単語はしばらく無視し、大意をつかむ練習をするのである。興味をもてる本としては、古典でもよいし、ノンフィクションでもよい。推理小説や探偵ものが好きな人もあろう。こうして文法などにこだわらずに多読することにより、文章のリズムや流れによって大意を感じとることができるようになる。
筆者も学生の頃、このようなことを試みてある程度効果があったと思う。今でも印象に残っているものは、たとえばOscar
WildeのThe Picture of Dorian Gray,Washington IrvingのSketch Book,Charles DickensのA Tale of Two Cities,Walter ScottのIvanhoe,Nathaniel HowthornのScarlet Letterなどである。この他平易な文章のものでは有名なArther Conan DoyleのAdventure of Sherlock Holmesや現代ものでは、Agatha Christieの探偵物やミステリーものなどだ。歴史的にも著名で、しかもほんとうに面白い話は、探せばいくらでもある。これらを利用しないのは如何にももったいないではないか。皆さんも是非試みることをおすすめしたい。
CONTENTSへ
枚方分館が拡充されました
資料・利用者の増加に対応して
図書館枚方分館(薬学部図書室)が増築され、新しくなりました。学術雑誌室と保存書庫を重点に拡張された図書室は、図書収容能力が約3倍、閲覧座席数が約1.5倍と図書資料と利用者の増加に対応したものとなっています。
又、外部情報データベースのオンライン検索機能の提供など最新の環境も整備され、時代にマッチした機能も備えています。
このたび、枚方分館では学術雑誌室と保存書庫を新たに増築、移転・整備を完了しました。
拡張後、学術雑誌室は、図書(雑誌バックナンバー)収容能力が11,000冊、閲覧座席数が20席の規模で、特に研究調査に適した配置をし、全面カーペット敷きのおちついた空間となっています。
一方、保存書庫は、今後増加する図書資料の整理・保管に対応するため、省スペースの電動式集密書架を配し、書架の効率的な運用をはかっています。保存書庫の図書収容能力は、26,000冊です。
また、増築にともない、既設図書室も図書収容能力を40%増加し、新たにブラウジングコーナーを設けたほか、学術雑誌室と同様、全面カーペット敷きとするなど、静かなゆとりのあるスペースとしました。さらに、普通図書コーナーの一角には、ビデオ専用ブースやワープロ専用ブースなどのスペースも設けられ、情報化時代に対応した機能の充実も考慮されています。また、研究者用の情報検索室(DIALINEやNACSIS−IRなど外部データベース・アクセス用)など、高度な学術情報の検索・提供機能も設置されています。
新図書館(枚方分館)は、全体で、図書収容能力が約3倍、閲覧座席数が約1.5倍、面積が約2倍と大巾に増強され、学生・教職員の知的燃焼の場として、今後もフルに活用されることが期待されています。
※ブラウジングコーナー:
Browsingとは、蚕が葉をあちこち食べるの意。あたかも蚕のように、本にあちこちと気軽に目を通すことのできるエリア。軽読書コーナー。
return
閲覧室の利用時間延長
図書館では、現在第二閲覧室の利用時間を19時までに延長しています。
燈下親しむ読書の秋です。自習に読書に、図書館を大いに活用して下さい。
「卒研貸し出し」を実施中です
現在、昭和62年度卒業研究着手許可書の人を対象に、「卒研貸し出し」を実施しています。貸し出し期間は1カ月、冊数は3冊以内です。「平常貸し出し」と併用もできます。
CONTENTSへ
NACSIS−IRサービスの紹介 図書館 奉仕係
NACSIS−IR:National Center for Science Information System―Information Retrieval Service
図書館(寝屋川本館・枚方分館)では、NTTの第1種パケット網接続によって、学術情報センターの情報検索サービスの提供を、始めることになりました。同情報検索サービスは、国内外で日々作成される様々な学術情報データベースを導入し、大学の研究者の学術研究活動、又は図書館における参考調査活動の支援を目指し提供されているものです。
このサービスは、学術情報センター情報検索サービス(National Center for Science Information System―Information Retrieval Service)の頭文字を取って、NACSIS−IR と通称されています。
学術情報センター発行の「情報検索サービス案内 NACSIS−IR」によると、『当面、抄録等の文献情報データベースのオンライン検索サービスが主体になりますが、将来的には、数値情報・画像情報などを含む多様なデータベースを導入し、また情報検索の結果、研究者が入手したい原文献について、ILL(Inter Library Loan:図書館間相互貸借)システムを通じて図書館に直接、複写申込みができるような統合化サービスが計画されています。
昭和62年8月末現在の登録者(館)数は、588件で、本学も8月初旬に接続手続きを完了しました。もっか学内の円滑な利用に供する為、奉仕係の館員を中心に利用法の猛特訓中です。
それにつけても、図書館の世界への情報化の波の進んでくる速さに、館員一同驚きと共に学習する事の多さに目のまわるような毎日です。御興味ある方は、メインカウンターで詳しい情報をおたずね下さい。
CONTENTSへ
専門分野のアイデンティティー
――計量経済学の生誕に見る――
経営情報学部 教授
岡 崎 不二男
1.専門科学分野と学際的研究分野
科学の進歩発展が専門分野の細分化を伴う一方で、複数の既存専門分野のそれぞれで使用される接近方法を同一対象に同時に適用して研究を行う分野、即ち学際的研究分野も続々と誕生させている。学際的研究分野の増加は、価値観の多様化と、それぞれがアイデンティティーを確立した専門分野の増加に刺激されて、問題意識自体が多角化することに支えられているように思われる。学際的研究の対象が政治・経済などを含む社会的現象である場合には、社会の進歩に必然的に伴う複雑化が、問題意識の多角化をさらに助長している。
学際的研究分野の発生は、このような意味で必然性をもって居り、多くの場合それ自体は有意義であるが、学際的研究のすべてが科学の進歩にとって実を結ぶとは云えない。極端なケースをいきなり持ち出すのはいささか穏当を欠くが、既存科学分野でそれなりの業績を挙げた経験を持たないひとびとが群って行う学際的研究の結末などは極めて無惨である。このようなケースは論外として、成功を収めた学際的研究の場合でも、そこで使用される複数の既存科学分野の接近方法相互が、論理的に整合な形で統一されない限り、既存科学分野の成果の応用にとどまる。それはそれで良い。しかし極く稀に、最初は単に既存
科学分野で開発された接近方法の並列的適用によって研究が進められていた学際的研究の中から、固有の一専門分野としてのアイデンティティーを確立して、新しい科学的専門分野が誕生することがある。これは至難事であるだけに、一つの星の誕生のように感動的でもある。科学者ならば誰しも、このような誕生劇の舞台で何がしかの役割を演じたいと念願するはずである。これには能力と同時にチャンスにも恵まれなければならない。私の場合、今日の計量経済学生誕の初期に、恩師に強く促されて計量経済学(エコノメトリックス)研究に足を踏み入れる好機に恵まれたばかりに、科学進歩の一端を体験することができたように思う。社会科学分野では、ほとんど争いの余地もないほどに明確な形で、新しく一専門分野としてのアイデンティティーが確立されることは少ない。計量経済学の生誕を、読み物のレヴェルでやや具体的に回顧してみよう。
2.第二次大戦前の経済に関する統計的研究
経済現象の単なる記述から進んで、それに対する因果的な説明に数量情報を活用するためには、最低限二つの条件が充たされなければならない。第一は、説明対象となる数量的事実を被説明変数として持ち、それを因果的に説明する変数を自変数として持つモデルを構築することであり、第二は、これら2種類の変数に関する高精度の観測値を使用して、モデルに関する有意な推定値を得ることである。推定値の有意性を確認する手続きが検定である。
経済現象の説明、さらに進んで予測や擬似実験(シミュレーション)を目的としてパラメターを推定し、検定した事例は、第二次大戦前にも、有名なものではシュルツの「アメリカにおける砂糖の需要関数」をはじめ、かなり多数にのぼる。しかし第二次大戦前のこれらの研究方法の内容が、今日の計量経済学と同等であると見ることは誤りである。理由を簡潔に掲げるならば、それらの研究では、主として特定自然科学分野の研究で開発された統計的推論の方法がそのまま経済分析に応用されたにすぎないからである。前節の類型化を使用するならば、方法論から見る限り、単なる学際的研究にとどまっている。
3.計量経済学のアイデンティティー確立
今日における計量経済学の主内容の大部分を包含するフレームワークが完成されたのは、ほぼ1950〜55年頃と言えよう。判断の根拠を、入門的な文献によって一つだけ与えるとすれば、クラインの教科書の公刊が挙げられよう。正確な意味での計量経済学の生誕は1945〜50年頃にわたり戦後アメリカの経済政策決定に重大な影響をもたらした「消費函数論争」の中に求められる。それは第二次大戦末、日本の降伏直前の大統領諮問に対するアメリカ経済学界の有力者達の答申のほとんどが、戦後の消費を過少に予測したことに端を発している。過少予測原因の追求には、クラインをはじめ、その後のアメリカ経済学の発展に重要な功績を挙げた数多くの俊英があたっている。
彼等も最初は、遺伝学や品種改良の研究過程、あるいは品質管理技術の研究過程で既開発の統計的推論の体系をそのまま応用するところからスタートした。換言するならば、そこで用いられた統計的方法は、たとえば生物学という集合と統計的推論という集合との交わりを場として発生した「生物統計学」の成果そのものであり、それを経済学研究に応用しただけでは、固有の科学分野の確立とは無縁であった。現に筆者のように1945年頃に計量経済学の先駆的業績に興味を覚えた者が最初に使用した中級以上の統計的推論のテキストは「生物統計学」のそれであり、次に取り組んだのがケンダールの大著であった。
消費関数論争の渦中にあって統計的研究を試みた先駆者達は、幾つかの局面で、「生物統計学」のような自然科学研究の中で開発された統計的推論の手法を、経済現象の数量分析にそのまま適用することを不可能とする難点に次々に遭遇した。その若干を挙げておこう。難点の一つは、経済分析にしばしば使用される時系列データの特性から発生する「多重共線性」が、パラメター推定値に大きな誤差を生じさせ、極端な場合、先験的には正(負)であるべきパラメターの符号を負(正)にしてしまうという結果によって研究者をとまどわせた。別の難点は、連続的変化に従うことが前提とされている被説明変数のバーフォーマンスが、現実にはしばしば非連続であるという形の問題となって立ちはだかった。好個の例は、消費関数時系列が戦時中の外的抑制によって、第二次大戦をはさみ階段状に推移する事実、近くは2度の石油ショック前とそれ以後の諸変数のパーフォーマンスなどに求められる。第一の難点は、検定統計量の改善など、第二の難点はダミー変数の導入によって克服の途が打開された。
もう一つだけ事例を挙げておこう。経済現象を表示する変量は、そのほとんど全てが相互依存関係をもっている。このことは、経済のメカニズムに本格的な因果的説明を加え、あるいは予測を試みる場合に、多数の変数の値を同時に決定できるロジックの使用を必要とすることを意味する。この結果、連立方程式モデルが使用される機会が極めて多い。多数の内生変数の同時決定を狙う以上、多数のパラメターの同時推定も実現されなければならない。原型的な同時推定方法の改良は、2段階、3段階といった同時推定方法の開発に発展した。
これら極く限られた例だけでも、今日の計量経済学は、統計的推論という集合と、経済理論という集合との交わりにおいてのみ発生した一領域であり、そこに、例示されたような問題解決を体系的に積み上げることによって、はじめてアイデンティティーを確立できたと云えよう。
CONTENTSへ
1)Klein,L.R.,A Textbook of Econometrics,1956
return
2)小松勇作「生物統計学」,1943
return
3)Kendall,M.G.,The Advanced Theory of statistics,2 Vols,1943,46
return
としょかん利用ことはじめ
――新人類からのススメ――
本との長いつきあい
薬学部薬学科1年
韓 大 健
本とは一体何だろう?と思った。定義するとしたら、字や絵のかかれた紙の集まりということになるのだろう。
将来、紙の代わりにフロッピーディスクが使われるようになったとしても、それは本と呼ばないような気がする。
それに、100%、完全に紙が消えさることは、僕が生きている間ないと思う。
ということは、これからの人生、今19才だから、ざっと60年、この本とつきあわないといけないわけです。
今後、1月に3冊、読んだとすると、2,160冊になります。
これには、新聞や教科書は包含していないから、もっと量は増えるはずだ。
今、僕はだいたい3日に1冊ぐらいのペースで本を読んでいると思う。1ケ月に10冊ということになる。
しかし、こんなに本が買えるほど僕はリッチではない。買うのは、月2〜3冊くらいか。
そこで、図書館がでてくるわけなのです。
僕が、通っているのは学校の図書館と県立図書館と市立図書館です。
前者は3日に1度くらい、後者の2つは2週間に1度くらいお世話になっています。
当初、「図書館は、タダなのだから使わなければ、ソンなのだ」と思っていたのです。しかし、よーく考えると図書館というのは、税金なり学費なりで運営しているわけですから、タダではないわけです。
そこで、「図書館は、お金を払っているのだから使わなければ、ソンなのだ」に変わり、図書館に足をむけざるをえなくなったのです。
摂南大学の図書館はテープも貸し出してくれます。
これを利用すれば、高い?学費もモトがとれるのではないだろうかと思っています。
みなさんもこれから本とのつきあいは、きれないと思います。
そのつきあいをより深めるためにも、図書館を利用してみてはいかがでしょうか?
ぶぁんざい、本がたくさん・・・・
国際言語文化学部1年
保 田 祐加子
あれは4月のまだ肌寒い日、私は図書館のドアの前に立っていた。
心を決めて(私は所みしりをするので知らない所に入るのは少々怖い)ドアを開けると、図書館のカウンターが眼に入った(当り前か)。
あーっ本当にこんぴーたがあるーっ!!…というのが図書館の第一印象でした。こんぴーたで管理する程、多量の本があるとは……(大工大や枚方キャンパスと通じていることを、その時知らなかった)。我が母校は新設校の悲しさ、ひたすら本がなかったのでした。やっと揃いかけた本を横目に、卒業しなければならなかった悲しさといったら……
ぶぁんざい、本が多いのは嬉しい。この図書館で、七年近く探していた本を見つけました。「冬の神話(小林信彦)」と「海からきたチフス(畑正憲)」絶版になってたんだろーなー、きっと。感涙ものでしたわ。世界のSF全集も見つけたし。「虎よ!虎よ!(A・ベスター)」「すばらしき新世界(ハックスリィ)」読みたかったんだ! 本が重そうなんでまだ借りてませんが。
図書館の中を歩くと、面白い本や意外な本が見つかったりするので楽しいです。それ以前に、たくさんの本を見てるだけでも結構楽しいんですが…。だいたいがそういう性質なので、専門書の方にはあまり近付いていません。はっきり言って勉強不足です。
大学に入ってから初めて図書館を勉強に活用するようになりました。…というのも、レポートを書くために、資料がどこにもなかったからですが、そうなってみると、図書館はなかなか重宝なものだなあ、と思いました。図書館は勉強の場なんでした(高校時代の図書室は、雑談の場と化していました。前述の通り、本が少ないせいもあったのかもしれませんが…)。最後に感想のまとめとしては"これからも、使わせていただきますので、よろしくお願いします"という事で終わりたいと思います。
CONTENTSへ
『書評の本』をそろえています。図書館(寝屋川本館)では、毎日新聞・朝日新聞・日経新聞の三紙の書評欄に取り上げられた本を全点購入し、利用に供するようにしました。三紙合わせて毎週十数冊、経済書、歴史書、文芸書等々ジャンルも多様ですし、今話題の本もあれば、じっくりと腰を据えて書かれた専門書もあります。幸い時期も読書の秋です。ハウツーものやマンガをしばらく置いて、1冊でも2冊でも味のある本にチャレンジしませんか。参考に、ここ最近入荷した『書評の本』を紹介しておきます。題名だけでも聞いたことのある本が何冊かありませんか。
『書評の本』
上手な図書館活用法
希望図書購入制度を活用しよう!
あなたは利用したことがありますか?図書館の「希望図書購入制度」を。求める資料が図書室の書架を見ても、所蔵検索をしても見当らない時に、あきらめて帰っていませんか。
そんな時こそ、この「希望図書購入制度」を活用して、資料をリクエストして下さい。普通の本なら、希望を出して1ヵ月足らずで利用可能です。手続きはいたって簡単、メインカウンターに置いてある希望図書購入申込書を記入するだけ。めんどうな手続きは、何も必要ありません。
購入の可・否は通常翌日には、図書館5階の掲示でお知らせします。そして、図書購入後の一番最初の利用者は、あなたです。
こんなに便利で有益な「希望図書購入制度」をあなたも上手に活用しませんか。多くの人達がこの制度を活用して、たくさんの資料を利用しています。
ちなみに、「希望図書購入制度」による昭和61年度の総購入冊数は、58冊で、本年度は、この10月末迄で112冊の数となっています。この数にあなたも参加しませんか。
参考に、今年度の「希望図書購入制度」による購入図書の一部分を紹介しておきます。