←前号 次号→

CONTENTS

本も仲間にして充実した青春を

法学部 教授
芳野  勝

 いずれも大学は、視野の広い教養と実際に役立つ専門的知識を授け、学生の健全な応用的創造的思考力と批判力に富んだ人間性を養うことを目的に、教育・研究遂行に必要な諸条件の整備確立がなされています。その名kでも、主柱として図書館の充実に力が注がれています。教科書さえままならなかった昭和一桁の私の年代から見れば、現在ではしあわせこの上ない研究の出来得る図書館となっています。
 今では、本の中に自分を置くことが学生生活の豊かさのシンボルとは考えられないのか、図書館で時を費やす学生の少なさに、私は何か物足りぬものを感じるのです。身近に図書館があり、利用方法もいたって開放的になっているのに、背を向けたままで卒業する学生がいるとすれば、青春に悔いを残す行為とはならないでしょうか。
 読書のきっかけは、学校や大学での学習の中ばかりでなく、ぶらりと立ち寄った本屋とか、新聞の書評やベスト・セラーの記事を読んだ時とか、日常生活の何気ない所から、本と付き合い出すものです。あらゆる邪魔を排除して、自分の頭脳と心を集中させることが出来るのが読書の醍醐味だと思います。よく電車の中やベンチで一心不乱に読書に没頭している人を見掛けますが、本を読んでいる人の近くには、あまり騒がしい人は近付かないようです。趣味=読書=高尚のこの感覚は、日本では昔からあまり変わってなくて、黙々と本を読んでいる人の邪魔はしないのが、常識化しているようで、結構なことだと思います。
 近頃の学生は、受験に打ち勝つために学習方法の技術が重要になってしまって、入学すれば、受験疲労がでてくるなどと、よく雑誌や新聞等に取り上げられています。1年次学生が受験疲労を起こしているのならわからぬこともないのですが、むしろ、2年生、3年生が疲労しているようで、いささか信じられない感がするのです。大学生ともなれば学徒としての自覚と、社会人として出発する心掛けが出来ているのが当然ではないでしょうか。読書の定義等難しいことは考えなくていいのですから、自己を叩き起こしてくれる本に巡り合ってほしいものです。
 私も老年期の深まるとき、「一期一会」の真髄を教えてくれるような良い本に巡り合いたいものだ、と思っているのです。
CONTENTSへ

ブドウ糖は強力老化の素?

薬学部薬学科 教授
栩野 義博

 環境汚染・公害・薬害と我々の周囲には危険が一杯という。そのためか自然食、無農薬野菜がブームとなっている。では自然食すべてが安全か? フグにはテトロドトキシンという猛毒があるが、うまく養殖すれば毒のないフグを作ることが出来る。それはフグの毒はフグ自身が作るのではなく、他の生物が作ったものを身体に貯えるのであるから、そのような生物から離してやればよい。ソテツの実には発癌性物質が含まれている。生のワラビにはビタミンB1を分解するアノイリナーゼという酵素が含まれている。しかし、日本人は生活の知恵で、フグの調理をうまくやり、飢饉の時にはソテツの実をよく水に晒して食べ、ワラビは灰を入れてあくぬきでアノイリナーゼの活性を無くして食べてきた。生のワラビを一杯食べた牛が脚気になった報告がある。自然食、即安全食ではない。一方、日本の古代人はアコンチンという猛毒を含んだトリカブトを毒矢に用いていたらしい。
 江戸時代の大食記録に、塩を1合(200g以上)食べて死んだのが出ていた。食塩は取りすぎると血圧に悪いことは衆知のところである。砂糖は一度に500g以上食べると死ぬといい、お米の致死量は1斗(18kg)と読んだことがあるが本当に食べられるかは疑問である。
 砂糖の消費量と虫歯、動脈硬化、成人病の発症とは比例するとの統計がある。私自身、戦後お米の代わりにキューバ糖が配給になって、ご飯代わりに砂糖湯を飲んでいたら、すぐに虫歯になった甘くない経験がある。同じカロリーであれば、澱粉よりも砂糖を食べさせた方が動脈硬化になりやすい動物実験がある。砂糖は、果糖とブドウ糖に分解されて吸収され、澱粉はブドウ糖に分解して吸収される。砂糖(果糖+ブドウ糖)−澱粉(ブドウ糖)=果糖 この式から果糖が悪いことになる。
 果糖は蜂蜜に多く含まれている。蜂蜜、お前もかといわねばならない。
 現代化学12月号(1990年)の「コラーゲンの老化と細胞の活動」に図のような反応で、ブドウ糖が、コラーゲンに糖化→架橋を起こし、柔軟性を失わせていることが出ている。即ち老化である。
 我々の体のエネルギー源として大切なブドウ糖までが老化に働いているのか、ああ「ブルータスよ、お前もか」といいたくなる。
 臨床病理38.8(1990)「スーパーオキサイドディスムターゼ、老化、糖尿病、虚血および癌化における意義」に、スーパーオキサイドディスムターゼという酵素は、組織障害や老化を起こす原因のひとつと考えられる、スーパーオキサイドを分解するが容易にブドウ糖で活性低下が起こると書かれている。即ち、この酵素の122番目と128番目のリジンのアミノ酸にブドウ糖が図に示したように反応し、アマドリ生成物(架橋まで進まなくてよい)が出来ると、この部位で酵素と酸素が近づけなくなる。そのため、スーパーオキサイドを分解出来なくなるとのことだ。臨床的にも、糖尿病の人ではブドウ糖(血糖)が高いのでこの酵素の活性も低く、一般に老化や、色々の組織傷害が起こりやすい。
 ブドウ糖はアルブミン、ヘモグロビン、水晶体の蛋白など、ほとんどすべての蛋白を糖化し、傷害を与える。糖尿病時の白内障や神経症、腎症の原因もそれである程度説明できるようになってきた。
 臨床科学19(1990)「Maillerd反応におけるFructoseの影響に関する実験的研究」に血糖アルブミンや卵のリゾチームの糖化は果糖によってブドウ糖よりより速く起こると出ていた。
 我々はゼミ生と筋肉に存在する乳酸脱水素酵素を取り出して、その活性に対するブドウ糖と果糖の影響をみた。やはり果糖が数倍速くこの酵素活性を試験管内で低下させた。何とか防止出来ないかとアミノ酸を加えたところ、グルタミン酸とアスパラギン酸が糖と等モルで90%、1/5モルでも50%その活性低下を防いでくれることが明らかになった。
 「捨てる神あれば、拾う神あり」蛋白質(アミノ酸)を十分に摂っておけば、ブドウ糖や果糖の毒性(?)を防げそうである。昔から澱粉ばかりでなく必要充分量の蛋白質を摂ること、日本人には蛋白質が少ないといわれていた。しかし、麩にはグルタミン酸が多く含まれていて昔から精進料理にもよく用いられる。そのためか、禅宗の僧侶は若々しく見える。「砂糖は控え、蛋白質は充分に」。あたり前のことかもしれない。あたり前のことを理論づける。それが科学でもある。
CONTENTSへ

希望図書購入制度の利用件数大幅に増加!!

 利用者の声を図書館の蔵書に反映する希望図書購入制度の利用件数は年々増加し、今年は本館で前年比60%増の446件(12月末現在)と大盛況です。
 さあ、あなたも自分の読みたい本、見たいビデオ、聴きたいCDなどが図書館にない場合、あきらめないでこの制度を利用してください。数週間後にはあなたの手元にほしかった資料が届くはずです。この制度で購入した資料をほかの誰よりも先に利用できるのは、申し込んだあなた自身なのですから!
CONTENTSへ

外国文学
への招待1

英文学へのお勧め

国際言語文化学部 教授
佐藤 勇夫

 私と英文学の接点は戦後まもなく焼け跡に軒を並べた商店街の片隅の貸本屋の本棚であった。現在は偕成社の「少年少女世界の名作」シリーズに継承された「世界少年文学名作集」というシリーズが20巻ほど最上段の棚にあって、『乞食王子』『リア王』『ハムレット』『トム・ソーヤ』などを貪り読んで、子供心に主人公と一緒に喜びや悲しさを体験し、感動の裡に貸本屋へ走って、次に読む本を借りたものである。
 貸本屋を卒業すると、岩波文庫の赤帯本を毎月1、2冊購入し、貸本屋で学んだ子供向きの大雑把な物語の知識を英文学の域まで系統的に整理するようになった。つまり私は英文学を含む主要な外国文学を少年時代に翻訳で読んだことになる。
 英文学を翻訳で読む利点は物語全体を一気に把握できるところにあるが、作者の意図に正しく作品を理解したのか疑わしいし、翻訳にそれを求めるのは無理がある。作者の呼吸に合わせて作品を理解するには英語の学力が必要になる。それなら翻訳で読むのは無益かというと、決してそうではない。英文学には日本文学のような私小説がなく、着想とスケールにおいて正に純文学である点が翻訳で十分に体験できる。
 私はムードに弱くて好奇心が強いたちだから、洋画を見て洒落た会話のせりふを覚え、主人公が歌った英語の歌を歌って語感を体で覚えて、それらが英語世界への憧れとなって、私を英語と英文学の勉強へと駆り立てた。
 左右見開きの頁に文法事項を項目別にまとめたポケット版ノートと辞書を常に持ち歩いて小説や詩を原書で読んだのは青年時代である。ゴールズワージィやモームの小説、ホイットマンやワーズワースの詩集などは私を虜にした。読む速度が遅いのは初めのうちで、次第に要領が分かると早くなって原書を読む喜びを倍にしてくれる。
昔の貸本屋は今のレンタルビデオ店である。ビデオで作品の物語全体を把握して、訳本で活字に親しみ、印象に残った作品をペンギン文庫などで読むことを学生諸君に勧めたい。
 学生時代に英文学に親しむと利益は大きい。信仰と希望と愛のいずれかが必ず作品の根本思想になっていて、作品を通じてこれらを具体的に理解しておけば、諸君が将来西欧人の論理を知る上で有力な手掛かりにもなる。また、海外旅行で作品の舞台になった土地や作者の故郷を訪ねると、観光旅行ではなく教養旅行になり、旅先で歓迎されて諸君の知性が高く評価されるに違いない。将来の新婚旅行はその良い機会だと思う。
 私は17世紀の桂冠詩人ドライデンと古典主義バロック芸術を研究している。詩人の母校ロンドンの名門校ウエストミンスター校を昨年訪問した際、親しい同校の理事が「貴方の摂南大学の教え子を女王陛下の英語と英国文化の研修に本校に連れて来れませんか」と私に誘ってくれた。これが実現して本学の発展に寄与できればと思う。同校はカレッジ組織で教授と学生が席につく食堂の大テーブルは英国が1588年に撃破したスペインの無敵艦隊の船体で作られたもので、今なお使用されている。約300年前にドライデンもここに座ったのかと思うと、目の前に詩人の姿が見えるようである。同校とケンブリッジ大学と私との密接な関係や多くの英国人を友人に持つ幸せはすべてドライデンの、いや英文学のお陰である。諸君に英文学をお勧めしたい。
(英語英文学・比較文学専攻 日本ペンクラブ会員)
CONTENTSへ

世界の図書館4

カリフォルニア大学 サンディエゴ校

経営情報学部 講師
井澤 裕司

 図書館はその教育・研究のレベルを直接目に見える形で示しているという意味で、大学のシンボルであることはいうまでもないが、図書館の建物自体が大学のシンボルとなっている例も数多い。私が1年間(1989.8〜1990.8)研究の場を得たカリフォルニア大学・サンディエゴ(UCSD)でも、四角錐を逆さまにしたような前衛的な形をした中央図書館の建物が大学のシンボルとなっている(写真)。
 カリフォルニア大学(UC)は州立だけに納税者への利益還元に熱心であり、図書館も一般市民に開放されて、誰でも出入りと閲覧は完全に自由にできる(テレビの値引きでやりあった電器店員に図書館内でばったり出会ったりしたこともあった:ちなみに彼はCON−TECなる香港のメーカーを日本の大企業であると言い張るので閉口した。"made in Japan"は絶大なるセールス・ポイントなのである!)。すべての蔵書には磁気か何かが埋め込まれており、手続きをしないと外へは持ち出せない仕組みになっている。私などは、本やノート、それからチョコレートなどのrefreshmentを大きなバッグに詰め込んで図書館に出入りしていたので、この蔵書管理システムの利点が単に蔵書を不法に持ち出せないという消極的な点にあるのでなく、誰でも自由に立ち入ることを許可でき、しかも私物の本を含めてなんでも自由に図書館に持ち込めるという積極的な点にあることを実感させられた。
 中央図書館以外にも専門分野の図書館がいくつもキャンパスのなかに散らばっているが、研究を支援するためのサービスは充実している。たとえば、図書館へ電話すればピザの宅配よろしく小さな配達用の車に乗った係員が研究室まで必要な本を届けてくれる(そもそもキャンパスが広大で、その中を移動するのが重労働である。UCSDは自家用車の乗り入れには厳しいため、学内バスや市バスのほか自転車やスケートボードを利用して移動する学生が多い)。また、ほかのUCシステム(たとえば、バークレーとかUCLA)の図書館に必要な本や雑誌がある時には無料でコピーを届けてくれる(LANが発達していて、研究室の端末からUCシステム全体の蔵書の検索が簡単にできる)。このコピーサービスはfaculty(教職員)だけでなく学生もやはり無料で利用できるらしい。自分の大学にある本のコピーは有料なのに、ほしい本がないときは取り寄せの費用が無料になるというのはコスト計算から考えるとおかしいが、彼らの考える図書館というもののあり方がそこに反映されているのだろう。
 私が研究室を持っていたIR/PS(正式名称はGraduate School of International Relations and Pacific Studiesと長ったらしい)は、太平洋地域をターゲットにしたビジネス・スクールで、学生数はごく少数だが、太平洋地域に関する専門の図書館(図書室ではない!)を付属していて、専属のスタッフが、学生やfaculty、一般市民のかなり専門的な文献の相談にのってくれる。学術情報の蒐集保管、そしてその蓄積自体が大学の重要な責務だからということだが、それを維持するのに要する労力とお金は大変なものである。特に最近は州の財政悪化で大学予算はかなり窮屈になって支障も出ているようだが(年度末には、ファックス用紙やコーヒーの紙コップの使用までうるさく言われた)、いざというときには個人の大口の寄付もあったりで、結局はしばしば耳にした「UCはわれわれの誇りである」というカリフォルニア市民の意識が、UCの支えになっているように見受けられた。
CONTENTSへ

<推薦図書>

「酸性化する地球」
(NHKブックス597)
広瀬 弘忠 著(日本放送協会)


薬学部衛生薬学科 助教授
中室 克彦

 人類は永遠の繁栄が保証されているのか?・・・・・・、最近降って沸いたように、いや、起こるべくして起こったのが地球規模の環境汚染問題である。・・・・・・まさに今、人類の幸福に根底から考え直す時がきているような気する。人類は産業革命以後、物質文明に対して飽くことない挑戦を繰り返し現代の異常ともいえる高度な物質文明を築いてきた。ここに至るまでに忘れてならない重要な資源として化石燃料がある。しかし、このような自然の賜物を濫費する人間がつくりだしたさまざまな環境危害要因のひとつが地球規模の酸性雨問題である。ところで、わが研究室における酸性雨の調査研究の結果から、枚方、寝屋川両地点における降水の約90%が酸性雨(ph5.6以下)であることが判明している。このように酸性雨問題は身近でしかも避けては通れない事象となっている。しかし、酸性雨に関しては科学的解明が未だなされておらず未知の部分が多い。本書は酸性雨の発生態様とそれによる被害のメカニズムを、人類のエネルギーの大量消費に伴う地球規模の環境破壊である"森林の破壊""文化遺産の破壊""湖の酸性化"等に関する断片的な情報を総合的な視点からとらえ全体像を理解しようと心がけている書である。
CONTENTSへ

「地球の歩き方」最新版まとめて購入しました。

 一昔前に比べ海外旅行もぐんと手軽になり、円高を背景に年間1000万人を超える日本人が海外に出かける時代となりました。旅行者の趣向も多様化し、ありきたりのツアーパックより自分のオリジナルプランニングによる旅行を楽しむ人が次第に多くなってきています。そんな自由な旅行者のバイブル的存在である「地球の歩き方」を図書館においてほしいという利用者の皆さんの強い要望にお応えして本・分館に最新版全冊を購入しました。この本であなただけの自由な旅をプランニングしてみてはいかがでしょうか。なお、ビデオ版「地球の歩き方」も所蔵していますのであわせて利用してみてください。
(請求記号:本館・分館290.3C)

ビデオ「NHK特集名作100選」人気作品の紹介

 前々号で紹介した「NHKビデオ100選」は、利用者の皆さんに大変好評を得ています。いずれ劣らぬ名作ですが、今回は人気作品の一部を紹介します。興味のある方は、本館視聴覚室(4F)で、ぜひ一度鑑賞してみてください。

深海6000mの驚異〜初めて見た巨大地震の巣〜
海の帝王マンタ〜沖縄・巨大エイを追う〜
これがハレーすい星の正体だ
スポーツドキュメント江夏の21球
妻へ飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ
わが青春の「トキワ荘」〜現代マンガ家立志伝〜
戒厳指令"交信ヲ傍受セヨ"〜二・二六事件秘録〜
二・二六事件消された真実〜陸軍軍法会議秘録〜
日米開戦不可ナリ〜ストックホルム小野寺大佐発至急電〜
戦艦大和探索〜悲劇の航跡を追って〜
巨大橋を列車が渡る
仙台砂漠からの報告〜問われるスパイクタイヤ〜
コンクリートクライシス
あなたはこんな水を飲んでいる
想定ドキュメント輸入食糧ゼロの日
シベリア鉄道<前・後編>〜9,000キロ8日の旅〜
撃墜大韓航空機事件〜情報戦争の9日間〜
焼鳥までがタイ国産〜当世にっぽん食卓事情〜
核戦争後の地球<第1部><第2部>
地球汚染<第1部><第2部>
調査報告チェルノブイリ原発事故
黒い雨〜広島・長崎原爆の謎〜
CONTENTSへ

利用者の声

希望図書購入制度に関して思うこと

経営情報学部 4年
松井 隆明

 私が入学した頃、11号館はなく図書館も小さいものでした。しかし、今では視聴覚室があり、椅子も座りごこちがよく、きれいに本が整頓されていて、本を読むことに関する環境は、この4年間でもすごく成長しています。本学の中でも、図書館はもっとも成長した機関のひとつだと思います。私自身、卒論の関係上、図書館の職員の方々にたくさんのアドバイスをいただき、とてもお世話になっています。
 さて、この図書館に関して私が感じていることは、購入希望図書の中に、個人の趣向が強い俗文化的な希望が多いことです。このことは、図書館の方々にも指摘してきたと思いますが、希望図書購入制度の性質上、仕方のないことであり、個人趣向に良悪の基準を設けるのは危険なことだと思います。ただ、図書館の公共性を考慮するなら、個人的な価値しかないことも事実です。
 一方、ある程度の部分、書物は読者にとってオピニオン・リーダーであり、また図書館で新たな発見をしたり、知らない分野のことに興味を持ち始めたりするので、図書館の蔵書は現在の学生の性向を反映すると同時に、将来の学生の性向を方向付けすることになります。その機会損失をできるだけ小さくしなければいけません。そのためには、学生とは違う次元の人からの図書購入の強化と、各分野の専門家によってアドバイスを受け、一部蔵書、特に利用のない書物をリスト化(陳列しないように)したらどうでしょうか。これからは、情報(図書)の収集よりも、選択・切り捨ての方が重要なテーマになってくるでしょう。
CONTENTSへ

最近入ったレファレンスブックの一部

<本館>
・歴史資料保存機関総覧(東・西日本) 増補改訂版 地方史研究協議会編 山川出版社(R210.035)
・日本古代氏族人名辞典 坂本太郎ほか監修 吉川弘文館(R281.03)
・審議会総覧S63年版 総務庁編 大蔵省印刷局(R317.2)
・アンケート調査年鑑1990 竹内宏編 並木書房(R365.5)
・音楽・芸術賞事典 日外アソシエーツ(R703.36)
・美術・デザイン賞事典 日外アソシエーツ(R703.6)
・中国政経用語辞典 愛知大学国際問題研究所編 大修館(R310.33)
・測量学事典 日本測量協会(R512.033)
・データ世界経済 奥村茂次ほか編 東京大学出版会(R333.6)
・地球環境用語事典 J.ラブロックほか編 東京書籍(R519.033)
・有機化学用語事典 古賀元編 朝倉書店(R437.033)
・溶接・接合便覧 溶接学会編 丸善(R566.603)
・新漢英字典 J.ハルペン編 研究社(R833.3)

<分館>
・生化学大辞典<第2版> 大島泰郎ほか編 東京化学同人(R464.033)

図書館からのお願い

 試験期を控え、もっとも利用者の多い時期となりました。図書館資料の利用頻度も当然高くなります。この時期、ごく一部の不心得な利用者により新聞・参考書などの切抜きや、複写時の粗雑な取り扱いが行われ、損傷する資料が目立って多くなります。
 図書館資料は、現在在学している皆さんはもちろん、次年度以降に入学してくる後輩諸君の共有の財産です。同じ資料を必要とする人は必ず存在します。利用の際は、資料を自分の持ち物同様に大切に取り扱ってください。
 また、利用者の増加に伴い館内が騒々しくなる傾向があります。図書館は友人同士が親睦を図るための施設ではありません。図書館は利用者全員に快適な学習環境を公平に提供する使命があります。ほかの利用者の迷惑になるような言動は慎んでください。利用者のひとりひとりがルールを守り、全員が快適に図書館を利用できるよう協力をお願いします。

分館の新書・文庫本の配架場所が変わりました

 分館では、岩波・中公新書など数種類の新書を購入していますが、さがしにくいという利用者の皆さんの声がありました。そこで、今回専用の書架を購入し、新書・文庫本を1カ所にまとめて分かりやすく配架しなおしました。書架は、学術雑誌室の入口付近にありますので、利用の際に注意してください。
CONTENTSへ