★ CONTENTS ★
教科書の思い出
薬学部長(薬学部教授)
灘井 種一
「本に関して何か寄稿を」との宿題をいただいた。とっさに頭に浮かんだのは、戦後、紙一枚にも事欠いた時代の教科書のことである。
近所の上級生の教科書を譲り受けて使用させてもらうほかに入手の方法がなかった小学校(国民学校)五、六年生のころは、それでもまだ一応表紙のついた一冊の本であった。しかし、終戦を迎えた中学校一年(旧制最後)のときは、新聞紙様の大きな紙の両面に印刷された数枚を、切って、綴じて、本らしきものにし、教科書として使用した。もちろん当時のことだから紙質も印刷も今日とは比べものにならず、そのうえ一時期は教科によって教育内容の変更があり、あちこち墨で線を引いて消さなければならい箇所があった。表を消したため裏の行が読みとれず苦労した記憶も残っている。復興も次第に進み、勉学への意欲も湧き始めたころになると今度は本不足である。図書館に通って目的の本を見つけるまでには入館待ちを含め、ずいぶんと時間がかかった。せっかく見つけても今のようにコピーができるわけではなく、ただひたすら書き写さなければならなかった。ときには貴重な箇所が切り取られていることもあった。腹立たしいその行為にすら止むに止まれぬ事情が察せられ、同情を感じさせられるような厳しい時代であった。
昨今、私は特に目的もなくぶらりと書店に入ってみるのが好きである。いかにも重厚そうな本はもとより、雑誌の一冊までも良質な用紙、印刷で仕上げられている。写真の頁はともかくとして、広告までも見事なものである。日々読み捨てられる新聞ですら次第に紙質もよくなり、ときには何色か刷りの鮮やかな紙面にもお目にかかる。また所狭しと積み上げられた本の数々、表通りまで占拠した本の山もよく見かける。当然、読書の意欲も高まろうというものであるが、本限らずすべての物が不足していた当時を知っている私にとっては、ふと昔が思い出され複雑な心境に陥ることもある。
せっかくこの恵まれた時代に生を得た学生諸君には、是非一冊でも多くの本に接し、貪欲に知識を吸収してほしい。いかにわれわれが定められた時間内で懸命に講義をしても、その内容、量は一冊の教科書から得られるものと比べれば比較にならないほどわずかなものである。
良書は知性と良識の泉であり、また悪書と呼ばれるものにも接し方によってはストレス解消の妙薬があるといわれる。ともに一生大切につきあっていきたい。
CONTENTSへ
図書館利用の手引
情報化時代と呼ばれる今日、大学図書館も従来のイメージを大きく変え、貸出・返却から外部データベースとのアクセスによる情報入手まですべてコンピュータを利用した電子図書館へと変貌しています。 今回は、これから4年間(?)皆さんの学習基地として長いつきあいになる図書館の利用方法についてわかりやすく解説します。利用者の皆さんが図書館の存在を身近に感じてくれることを願っています。 |
![]() |
その1.図書館の概要
本学図書館は、本館(寝屋川キャンパス7号館1・3〜6F)と分館(枚方キャンパス2号館1〜2F)から構成されています。そして、学園内各図書館を結ぶ総合図書館情報システムを導入し、スピーディーな情報提供により、利用者の研究・学習に大いに貢献しています。
その2.施設・開館時間・貸出条件
本館 | 寝屋川キャンパス | 7号館 1、3〜6F |
分館 | 枚方キャンパス | 2号館 1、2F |
月曜日〜金曜日 | 9:00〜18:00 |
土曜日 | 9:00〜16:50 |
区 分 | 冊 数 | 期 間 |
学部学生、研究生、聴講生 | 5冊 | 2週間以内 |
卒業研究生 | 5冊 | 1ヵ月以内 |
大学院学生 | 10冊 | 1ヵ月以内 |
その3.これだけは覚えてほしい図書館利用法
さがす・調べる |
読みたい本が図書館にあるかどうかを調べるためにはコンピュータがとても便利で、スピーディーです。図書館にはみんなが自分で検索できる端末機があり、70万冊近い蔵書のデータベースを自由自在にかけめぐることができます。操作は簡単! この端末機を使いこなすことが図書館制服の第1歩です。
Let's challenge!
借りる・返す |
自分の読みたい図書が見つかったらその資料と学生証をカウンターに提出すればそれで貸出手続きは完了。返却期限は貸出時に一緒に渡す「返却日のしおり」を見てください。あとは返却期限までにカウンターに資料を返してもらえばそれでOK!
図書館の資料は皆さんの共有財産ですから返却期限は必ず守ってください。
延ばす |
現在借りている図書をもう少し続けて利用したい場合、1回だけ貸出期間を延ばすことができます。返却期限日までに資料をもってカウンターへ申し出てください。
聞く・頼む |
読みたい文献・資料をさがしているのに見つからない。こんなときは気軽にカウンターの係員に質問してみましょう。
係員は外部データベースやCD−ROMなどを使ってあなたの資料探しをお手伝いします。
図書館にない文献や資料は、他の大学図書館や国会図書館などからコピーで取り寄せたり、資料を借りたりすることもできます。
また、他の大学図書館を利用するときには紹介状の発行なども行っています。レファレンスをうまく活用して、上手に図書館を利用してください。
予約する |
読みたい本などがすでに借出されている場合、次に借りる順番を予約することができます。カウンターで予約しておけば、その図書が返ってきたとき、優先的に借りることができます。
見る・聴く |
コンパクトディスク(CD)、カセットテープ、ビデオテープなどの視聴覚資料は、本館では視聴覚室(4F)に、分館では普通図書室にあります。それぞれのプレーヤーも備えていますので、資料を自由に利用できます。
リクエストする |
★希望図書購入制度
読みたい(見たい、聴きたい)資料があれば、リクエスト用紙に記入し、カウンターに届けてください。一定の条件を満たせば図書館で購入します。また、本学ブックセンターにある本ならリクエストから15分ぐらいで利用できる便利な"速図(はやと)君"という特急便もあります。
★意見箱
図書館に対する皆さんの意見や提案を聞かせてもらうために本館(5F・EVホール掲示板横)、分館(参考図書コーナー)それぞれにメールボックスを置いています。ユニークな意見・提案をお待ちしています。
ワープロする |
図書館では、最新の高性能ワープロを自由に利用できます。もちろん貸出(1週間)もありますので、自宅で卒業論文やレポートのワープロ作成もできます。ワープロは本館では視聴覚室(4F)、分館はワープロブースにあります。
マナー |
図書館はみんなが利用する場所ですから、大学生として常識的なマナーが当然要求されます。もちろん、館内での飲食・喫煙は禁止です。
お わ り に
以上、図書館の利用法についてウルトラ簡単に紹介しました。新入生の皆さんにもおわかりいただけたと思います。より詳しくは「Library Guide」を参照してください。
さあ、今日からあなたもライブラリーユーザーの仲間入りです。図書館で皆さんの来館をお待ちしています。
卒業生からひとこと
私の図書館利用法
法学部 92年卒
宮崎 哲治
私は、はっきり言って読書嫌いです。しかし、不思議と図書館はよく利用しました。そのほとんどが、レポートが課せられることが多かった長い休みの前と、定期試験の必要に迫られての利用でした。レポート作成には、適当な専門書を数冊借りました。試験勉強のためには、講義中に先生が参考文献としてあげてくださったものや、教科書の後に参考文献としてあげられているものを借り、それでノートを補充するのに使用しました。
その他に図書館を利用したのは、通学電車での暇つぶしのための本と、就職活動に必要な本を借りるためでした。暇つぶしのための本とは、岩波文庫などの持ち運びに便利なサイズのものが多く、就職活動に必要な本とは、私が松下電器産業かJR西日本への入社を希望していたため、松下幸之助著のものやJR・国鉄に関係するものばかりでした。
また、見習わないでほしいのですが、休憩のためにも図書館を利用しました。講義が休講になったり、自分勝手に休講にしたとき、快適な室温が維持され、眺めのいい図書館は休憩に最高の場所でした。
このように図書館に大変お世話になった私ですが、図書館について不満に思うことがあります。それは学術雑誌類のバックナンバーが少なすぎることです。特に、新設の法学部に関するものは顕著です。今後は、蔵書の充実が課題ではないでしょうか。でも、職員の方々がとても親切であったため、サービス面では満足の行く4年間でした。
図書館へ行く
工学部電気工学科 92年卒
有賀 和代
私が図書館へ行くとき、それはひとりでぼんやり静かな時間を過ごしたいとき。私はいつも7号館6階の図書館の一番奥の窓際の席に雑誌を持って座った。私の図書館での愛読書は専らJ.J.とコスモポリタン……。なぜだか妙にその場所は落ち着くのです。晴れた日の昼下がりなんて最高!! 眺めがよくて、日当たり抜群。静かで、何よりも私のお気に入りは"椅子"。座り心地がとてもいいんですよ。是非、皆さんも試してみてください。あまり居心地がよくて居眠りなんてしょっちゅうです。セーターを着ているのも忘れて机にうつぶせに寝てしまい、慌てて起きたときは、後の祭り、おでこにはセーターの模様がくっきり。
しかし、こんな私でもレポートに追いつめられてせっぱつまって図書館に駆け込むときもあったのです。レポート用紙片手に分厚い専門書を手にとり、いつもの席に着く。でも、やっぱり調べ物が終わると、その椅子でぼんやりしていました。
基本的に本を読むのはあまり好きじゃないから"図書館の利用法"なんて新入生のころ興味もなかったけど、今思えば、色々なシステムがあるんだからもっと有効に利用すればもっとたくさんの本と出会えたのにと少し損をした気分です。皆さんはそんなことがないようにほしい本はどんどん要求して、図書館の本を増やしてください。そのためにも、まめに"私たちの摂大図書館"へ足を運んでくださいね。
CONTENTSへ
'91年度図書館コレクションの紹介
前号でお知らせしましたとおり、図書館では'91年度からコレクション形成事業をスタートさせました。そこで、今回は'91年度採択された2件のコレクションにつき、申請代表者の方からその概要について紹介いただきます。
収書方法A:「西洋古版日本関係地図コレクション」
申請代表者
国際言語文化学部 教 授
西 田 彦 一
地図の発達は地球の形状および大ささに関する知識の発達と地理的視野の拡大、測量および製図方法の進歩によらなければならない。1800年の昔、アレクサンドリアの地理学者プトレマイオスは経緯度を用いた優れた世界地図を描いたが、中世の暗黒時代になると地図の作成は衰え、ヨーロッパにおける近代地図の発達は大航海が相次いで行われた15世紀末以後のことである。
ヨーロッパ人の描く地図において日本がジパングとして初めて登場するのはフラ・マウロ世界図(1457年)であるが、それも泉州(支那)の東方に矩形の島を描くに過ぎなかった。
したがって、ポルトガル人の日本漂着(1542年)によって確認されるまでは伝説の島であり位置・形状などは単なる想像によるものであった。
ポルトガル人の渡来にともない1550年代の地図の上には早くもその影響が現われ、従来の伝説的ジパングとは全く異なった実証的"ヤパン"の姿が描かれているに至ったのである。
1563年のルイス世界図には本州・四国・九州が明らかに分けられ、メルカトール世界図(1569年)やティセラ日本図(1595年)になってほぼ正確な日本の位置と形状がみられるようになった。
本学所蔵の「ティセラ=オルテリウス日本図」(35cm×48cm)〈写真1〉はポルトガルのティセラの作図で、ベルギーのオルテリウスが1595年に刊行したものであり、印刷され流布した単独の日本国としては最初のものである。
本図にみられる地図の特徴は、日本の位置がほほ正確で、エゾはまだ登場していないが東日本の形状や本州南岸の海岸線が進歩し、九州では島原半島や天草島が正しく描かれている。また図中にはSaccuma(薩摩)、Osumi(大隅)、Nagato(長門)など全国にわたる国名が記されMEACO(京)は特に大文字で綴られているが、全体的にみて本図の原拠は行基図系日本図に求めることができる。
「コロネリ日本島および朝鮮半島図」(46cm×61cm)〈写真2〉 はフランシスコ会の司祭コロネリによって1692年に刊行された。"地図上の世界航海"の中の一回であって、寛文期に刊行された"扶桑国之図"などを原図としており、当時の日本独立図としては最も正確、詳細な地図であり、地図上部にはイエズス会のマークが描かれている。
「シャトラン新世界・大洋図」(45.3cm×14.48cm〉(4枚)〈写真3〉はシャトランの1719年刊行地図帖の第11図として収められた上下4枚に分かつ大地図であり、アメリカ大陸の新発見部が詳しく描かれ、また15世紀から17世紀までの大航海探検家や当時の大陸間の貿易航路も記されている。太平洋の西部に18世紀初頭の日本が描かれているが、それはこの頃のヨーロッパ人が描く典型的な日本の姿である。
こうした地図の発達は15世紀後半から17世紀初頭にかけてのヨーロッパ人による大航海によって新航路や新大陸が発見され、ヨーロッパ人の地理的知識が全世界にまで拡大された結果であり、本学所蔵の欧製古地図はその間の事情をよく物語っている。
収書方法B:インドネシア学地域研究コレクション
申請代表者
国際言語文化学部 助教授
深見 純生
このコレクションには、相互に関連すると同時に、それ自体一つのグループをなす、いくつかの柱がある。1期5年間の予定であり、古書の収集が中心になるので、最終的な姿が厳密に決まっているわけではないが、初年度に購入できた代表的な資料に即して見ていけば、自ずからこのコレクションのいくつかの柱が浮かび上がってくると思われる。
(1)『植民地報告書Koloniaal Verslag』(1849−1930)〈写真〉全81年のうち23年分を購入、既に41年分を所蔵するので、計64年分となる。旧オランダ領東インド(現インドネシア)植民地政庁の毎年の詳細な行政報告書であり、『東インド法令集Indische Staatsblad』(1816−1942、ほほ完全に所蔵)、『政庁要覧Regeeringsalmanak』(1822?−1942、約30年分所蔵)とともに、いわば植民地統治に関する3部作であり、中国史でいえば『正史』に相当する。
(2)『オランダ領東インド雑誌 Tijdschriftvoor Nederlandschilndie』(1839−1902)全64巻の半分強。自由主義を基調とする、東インドに関する総合雑誌。1903年に同じ傾向の雑誌『東インド領導Indische Gids』(1879−1941、ほほ完全に所蔵)に吸収されている。『ジャワDjawa』(1921−1941)の最初の11年分。「ジャワ研究所」が発行した〈ジャワ学〉の学術雑誌。総合雑誌、学術雑誌はとくに植民地時代については不可欠の資料である。
(3)『王立言語地理民族学研究所蔵目録Catalogus van het KlTLV』7巻。KITLVはオランダのインドネシア研究の中心機関で、本書はイシドネシア学の最も基本的な書誌である。書誌は文化系の学問には必須であるが、幸い、オランダは書誌学が盛んである。
なお次年度からは上記3項自の充実とともに、インドネシアに数百あるといわれる言語の辞書と文法書、1917年創立の国立図書局(Balai Pustaka)の全出版物約4000点、地誌、史料集などの分野にも取り組みたい。これらを中核とする貴重な資料群は広く学内外の注目を集め、インドネシア研究の一層の活発化と学術交流の活性化に寄与すると期待される。
CONTENTSへ
図書館購入新聞の紹介
図書館ではたくさんの新聞を購入しています。一般紙、外国紙、専門紙など多数そろえています。最近は同じニュースに対する国内各紙の論調も異なりをみせ、読み比べの楽しみも増しています。これらの新聞は1年間程度保存しています。さらに、朝日新聞の記事なら縮刷版のほかにCD-ROMでの検索も可能ですので、過去の新聞記事を見たい場合はカウンターに申し出てください。
本館(参考図書室5F)
朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞、日本工業新聞、スポーツニッポン、デイリースポーツ、週刊労働ニュース
The New York Times(英語)、The Japan Times(英語)、Mainichi Daily News(英語)、The Daily Yomiuri(英語)、Asahi Evening News(英語)、The Japan Economic Journal(英語)、The Student Times(日・英語)、人民日報(中国語)、Uno Mas Uno(スペイン語)、Kompas(インドネシア語)
分館
朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞、科学新聞、薬業時報、薬事日報、Asahi Evening News(英語)
CONTENTSへ
図書館にはこんな雑誌もあります!
――軽雑誌コーナー(本館参考図書室・5F)――
図書館といえば、固い本しかないと思っている人が多いと思いますが、趣味や娯楽の雑誌も購入しているのです。例えばパソコンマニアの君には「LOGIN」「OH!PC」「ASCCI」、シネマファンには「スクリーン」、カーマニアの諸君には「MOTOR MAGAZINE」、音楽フリークには「ギターブック」「新譜ジャーナル」、お洒落な貴方には「J.J.」「WITH」「COSMOPOLITAN」などなど。このほか「Lマガジン」など情報誌、資格試験の受験情報誌なども教養雑誌といっしょに取り揃えています。勉強疲れ(?)の頭の体操に利用してください。
CONTENTSへ
新聞書評紹介図書・ベストセラー図書を購入しています!!
本館では、全国紙の新聞書評欄(毎週1回)の紹介図書や、毎週発表される大規模書店店頭での売上げベストテン図書を購入する制度があります。
昨年は書評図書約700冊、ベストセラー図書約70冊(3月末現在)を購入しました。村上春樹、村上龍、紫門ふみ、山田詠美、椎名誠、落合信彦など人気作家の新作やTV・マスコミで話題の書、皆さんの知的好奇心をくすぐる図書が続々登場しています。これらの図書は新着後本館普通図書室(6F)のカウンター前の書架に並んでいます。ぜひ一度覗いてみてください。
CONTENTSへ