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CONTENTS

  1. 図書館と読書(図書館長・塙 浩)
  2. <創刊30号記念特集> 図書館の将来を展望する
  3. 図書館利用統計(1991年度)
  4. Information ひろば
  5. 本学図書館の現状を考える
  6. 利用者の声
  7. ILLシステムが4月から本格稼動!!
  8. マイクロリーダープリンター設置!!
  9. 軽雑誌の貸出制度スタート

図書館と読書

図書館長(法学部 教授)
塙  浩

 この4月に、田村満穗教授の後をうけて図書館長に就任しました。皆様のご協力を得ながら、私なりに図書館の充実に努めるつもりでいますが、同時に私は独立館の実現を、大学の皆様と同じく悲願とするものでもあります。
 以下、ごく平凡なことですが、特に学生諸君に、図書館や読書について一言します。
 大学では、自分の専門領域やこれの隣接諸領域について基本的知識を身につけること、そしてまた、それの応用力を十分に養うことが求められます。同時に、これらの知識や力を、将来、実社会の中で適切に用いるために、専門の如何を問わず、幅広い教養を備えることが求められます。
 これらの要請を満たす手段の中で、授業等と並んで最大であり、しかも中心となるものは、今の時代でも、もとより、書物です。これのため、図書館では、必要な書物等(ニューメディアをも含む)を数多く備えて、これを諸君が十分に利用されることを望んでいます。
 大学図書館で、どんな本を読まねばならないか、また、読んだらよいかは、各人自身が判断するべきことですが、専門領域に近いものほど先生方の指導や助言を受けることが有効ですし、また、教養に関する本の選択についても、必要ならば、先生方や先輩や友人の有益な示唆がたやすく受けられるはずです。各人の専門や好みにより本に対する価値判断が違うのは当然ですが、熟読に適するもの、読み飛ばしのほうがよいものなど、読書にも種々あることも、図書館になじんでいるうちに自然とわかることでしょう。そして、一生自身のそばから離せないような本にめぐり合えたならば、それは素晴らしいことでしょう。
 このような本について、私の友人の一例をあげて、この挨拶をしめくくることにしましょう。
 高校時代、文学と哲学にこりすぎた男が、私のクラスにいました。彼は、後、大学でも社会学を専攻しつつも、形而上学にこり、図書館に入りびたっていましたが、その後20年ぶりで彼と再会したのは彼の勤めている大阪南郊の小さなマーケットにおいてでした。ややあって、彼はポケットから手あかで真っ黒になった岩波文庫を一冊取り出し、私に見せていわく。「これ、道元の正法眼蔵(しょうぼうげんぞう。有名な一仏教書の書名です)たい。週刊誌ならそのつど金がかかるけど、これなら一生一冊で済むたい」と。少し私も驚きましたが、読書の妙味もここにおいて極まるべきというべきでしょうか。
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<創刊30号記念特集>
図書館の将来を展望する
――本学図書館に望むもの――
 創刊30号を記念して、今回は文系学部の若手教員の皆さんから、図書館の将来および本学の図書館に望むことをテーマに忌憚のないご意見をお聞かせいただくことにしました。
夢の図書館への招待
国際言語文化学部 助教授
稲本 健二

 ウォークマンを嚆矢とする短小軽薄の文化は、器と中身の相関性という観点から批判的に語られることが多いが、道具自体のフットワークを軽くすることが場所からの解放を実現したことは否定できない。書物にしても同じことがいえる。CD版『広辞苑』は重い国語辞典を携帯可能にしただけでなく、瞬時の検索もまたその記述の再利用をも可能にした。それに電話回線を利用した通信システムにのせれば何処へでも送ることができる。すべての図書館がネットワークで連結され、すべての書物がコンピュータの文字データあるいは画像データとして生まれ変わった暁には、書物は世界中でたった一冊あればよい。自宅で世界中の書物が閲覧できるからだ。もはや蔵書数を誇る時代ではなく、自明の理だが書物の内容を把握して新たな研究に生かすことを誇る時代なのだ。そのとき、大学図書館は、建物としてではなく、文献情報ネットワークへのアクセス・ポイントという機能を担った場所として蘇生することになる…などと力説したところで、そんな時代はすぐにやっては来ない。それに「書物は一冊でよい」などと口をすべらせたら最後、出版社からのボイコット運動の矢面に立たねばならないことは必定だ。桑原、桑原(注:くわばら=落雷を避けるために唱えるまじないの言葉。いやなことを避けようとするときにも使う。分厚い『広辞苑』より)。しかし、これでは、しりつぼみだ。夢物語でもなく、現状を踏まえたうえでの展望を模索してみよう。
 最近ある週刊誌が《現代の棺桶》と題するシリーズで大学図書館をとりあげたが、関西の某国立大学の図書館が収納しきれない相当量の書物を段ボール箱に封じ込めて実質的な廃棄処分に踏み切ったという。これを他山の石とするならば、まずは空間の確保が先決にして最重要な問題だ。書庫は巨大であるに越したことはない。重量の問題が絡むから、書庫は地下にする、キャンパスの地下をすべて書庫にしてしまえばいいわけだ。地上の出入口には広いフロア−の独立した建物を設置する。そしてレファレンス関係の図書を中央に集めて開架で並べ、個室の閲覧室が周囲を取り巻く。フロア−の中心にはもちろん有能な司書が出番を待ってひしめき合っている。膨大な量の書物の荒海を無事航海するには水先案内人の経験と知恵が必要不可欠なのは当然だからだ。蔵書は著者名や書名だけでなく本文そのものまでがコンピュータにインプットされている。ディスプレイ画面は開かれた研究の門戸である。となれば図書館はオールナイトの24時間オープンに決まっている。これは何も理想のイデアではない。アメリカの図書館ではすでに実現している話だ。できないことはない。こうして初めて大学図書館は教育・研究という知的活動の母体となり、世界へ飛翔する学生と教員の発進基地となり、現代社会という砂漠の中の知識と教養を補給するオアシスとなりうるのではないだろうか。実現しようとしなければ何ごとも結局は夢物語にすぎない。しかし実現すれば夢は夢でなくなるのである。

摂大に図書館を
法学部 助教授
木村 秀一

 「摂大には図書館がない」といったら、言い過ぎになるだろうか。しかしながら、図書館とは、図書・文書などの資料を収集して保管し、閲覧・貸出に応じる施設をいい、普通は、一個の施設全体がその機能だけを遂行するものをいう。したがって、本学の場合は、単なる図書室でしかない。
 このことは、大げさにいえば、本学が大学の機能を十分に果たしているかという問題につながってくる。なぜなら、図書館は教育・研究機関たる大学の核だからである。
 人文・社会科学系の学問においては、今日でも文献研究が中心である。この文献の所蔵スペースが、図書館と図書室では比較にならないのだ。本学では、スペース不足のため、基本文献さえ十分には置けない状態である(現に、法学部新設時に購入された図書の多くが各研究室に分担所蔵されている)。そのため、私など、他大学の図書館に依存する寄生虫的研究を余儀なくされている。たとえば、米国連邦裁判所の判例(米国法研究の基本文献)を参照する必要に迫られることが多いのだが、そのつど数十件の判例コピーを文献複写依頼で取り寄せてもらわなければならない。職員の方もたいへんであるが、即座に依頼書を発送してくれても文献入手まで1〜2週間かかるので、非常に不便である。原稿の締め切りや研究会の報告の直前に重要判例を発見したときなどは悲劇である(むしろ喜劇というべきか)。
 その他にも、スペース不足から生じる問題はいろいろある。現在、図書館(一応、そう呼んでおこう)では、学術雑誌は保存し、その他の雑誌は、原則として廃棄処分にしているが、「中央公論」等の保存価値のある雑誌が廃棄されるのはもったいない話である。また、1階書庫は狭い部屋を有効に利用するため移動式書架を置いているが、これでは固定式書架のように、書物を漫然と眺めながら散策(?)していて偶然に重要な文献を発見するということがほとんど期待できない。
 他方、人員のほうも不足しているのではないか。書籍を注文してから入手できるまでの期間が少し長いような気がする。ときには、「文献は忘れたころにやってくる」ということも起きる(ついでながら、書籍の注文を書店の店頭でできないのも非常に不便であり、特に古書の場合は、せっかく発見した文献が手に入らないということにもなる)。
 なぜ図書館がないのか。以前には、本学が理工系を母体にしてできた大学だからではないかと思ったことがある。すなわち、理工系においては、図書よりも実験用機器備品類が重要で、そのためには図書館にあまり力を入れてこなかったのではないか、と。
 それはともかく、本学に文科系学部が設置されて以来ほぼ10年が経過しようとする現在、1日も早く充実した独立の図書館を実現させることが急務の1つである。

※ 辛らつなご意見を多数頂戴し、ありがとうございました。ご指摘の事項のうち、事務処理上のシステム改善については図書館の今後の検討課題とさせていただきます。
 なお、スペースの問題や独立館建設問題については、今号の図書館編集記事のとおり館長以下実現にむけて努力していく所存ですので、ご協力をお願いしたいと思います。
(図書館)

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図書館利用統計(1991年度)

 図書館では利用者の動向を的確に把握し、図書館運営の参考にするため、毎年前年度分の利用状況を集計し、各種統計を作成しています。
 今回は、その一部を紹介します。(図書館)

1. 利用状況総括データ

<総括表>
()内の数字は前年度比
項目 \ 館 本館 分館
開館日数 264日
(+1日)
270日
(+2日)
――
入館者数
<延べ>
242,323人
(-4,917人)
170,060人
(+715人)
412,383人
(-4,202人)
貸出者数
<延べ>
学生 19,750人
(+1,201人)
3,183人
(+91人)
22,933人
(+1,292人)
教職員 2,874人
(+38人)
715人
(+26人)
3,589人
(+64人)
貸出冊数
<延べ>
学生 38,343人
(+4,823冊)
5,305冊
(+53冊)
43,648冊
(+4,876冊)
教職員 10,987冊
(+53冊)
1,642冊
(-785冊)
12,629冊
(-732冊)

 入館者数は本館での減少が影響し、全体でも微減となりましたが、2年連続40万人台を突破しています。このほか、全体で貸出者数は6%、貸出冊数は12%とそれぞれ増加しています。
(注)本館入館者数には閲覧室(3F)利用者は含まれていません。

2.所属別貸出状況
 学生利用者の貸出冊数では、国際言語・経営情報学部の貸出冊数の伸びが目を引きます。
 一方、1人当たりの貸出冊数では、大学全体平均で7冊台に上昇しました(前年度比0.5冊増)。これは全国の私大平均4.75冊はもちろんクリアし、関西の大手総合大学平均値7.24冊、全国の国公立大学平均8.58冊にもう少しといったところまできました。今年の一層の増加が期待されます。
(注)他大学等の数値は「日本戸所管91」より算出

3.月別貸出冊数
 本館では9月、1月の試験期間を2つのピークとして、学生休暇時期を除き、平均的に利用されていることがわかります。分館では年間を通じ、より一層コンスタントに利用されていることがわかります。

4.曜日別貸出冊数
 本館・分館とも1週間を通じコンスタントに利用されていることがよくわかります。一昨年、本館は金曜日、分館は木曜日と特定日の貸出冊数は突出していましたが、このような傾向は一過性のもののようです。

5.分類別貸出冊数
 本館・分館とも利用者の所属学部構成を反映して、例年どおりの分類別貸出比率になっています。近年、本館での傾向として情報科学(007)の貸出が伸びており、結果として総記の比率が高まっていることが挙げられます。

おわりに
 以上、昨年度の利用状況を簡単に紹介しました。全体的にほぼ横ばいの数値が多い中、本館の学生貸出者数および貸出冊数の増加が目を引きます。これは、学部生に対する貸出冊数条件の緩和(3冊→5冊)と学生数の増加をストレートに反映したものと受け止めています。
 図書館では、このような統計数値を踏まえ、より一層利用者の皆さんの要望に応えていきたいと考えます。そして92年度の統計数値が昨年度を大きく上回るよう努力したいと考えます。今年度も昨年以上の利用者の皆さんの来館をお待ちしています。
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日本語・日本事情コーナーに600冊資料を購入しました。

 従来、わが国に関する出版物の多くは、仏教、美術、芸能、工芸など古典文化に対する興味に基づくものが中心でした。しかし、近年の経済的繁栄はわが国の国際社会における認知度を高め、現代日本を紹介する出版物が数多く海外で出版されています。そこで、図書館では既設の「日本語・日本事情コーナー」に新しく資料約600冊を追加購入して一層の充実を図りました。留学生諸君はもちろん、一般学生の皆さんも一度のぞいてみてください。

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本学図書館の現状を考える

 ここ20年近く18歳人口の増加と進学率の高まりを背景に量的拡大に奔走した大学界のバブル現象も18歳人口の減少を境に崩壊し、今後は大学教育の質的充実が問われる時代へと大きく転換しようとしています。
 このような環境変化の中で、大学教育において図書館の果たすべき役割は従来以上に重要になってくるといえます。そこで今回は本学の教育・研究と密接な役割をもつ本学図書館、特に本館の現状について考えてみたいと思います。


1.はじめに
 18歳人口の減少期を迎え、全国の私立大学は「冬の時代」を目前に「生き残り」をかけて施設設備はもちろん教育研究の質的充実を図るため様々な努力を行っています。そこで、今回は大学教育の質的改善への大きな流れの中で、本学図書館の現状を文部省の調査結果における他大学図書館との比較を通じて考えてみたいと思います。
 なお、大学図書館の評価を行うに当たっては、(1)蔵書の内容 (2)図書館員と利用者サービス (3)建物と設備 (4)図書館の管理運営など様々な項目の検討が挙げられますが、今回は他大学図書館の数量比較のしやすい項目、特に施設面を中心に現状分析を行ってみます。

2.平成3年度文部省図書館実態調査における他私立大学図書館との比較
 この調査は、例年文部省が全国の大学図書館を対象にその改善・充実に関する基礎資料として、さらには実態把握を目的として実施しています。以下この調査結果に基づき本学と同規模(設置学部数を基準)の他私立大学図書館平均値との比較を通じてみていくことにします。
(注)本学の場合、本調査の分類上、Bグループ大学(設置学部数5〜7学部)に属しますが、学生数、教職員数等から考えればCグループ大学(設置学部数2〜4学部)とB大学グループの中間に位置していると考えられるため、これら両者とのデータ比較を行います。

(1)総括データの比較

(総括データ)
※91年5月1日現在
Bグループ
(5〜7学部)
Cグループ
(2〜4学部)
摂南大学
(本・分館合計)
※図書館職員数
(臨時要員)
66.3人
(26.2人)
18.3人
(4.8人)
23人
(10人)
※学生数 14,658人 4,434人 6,174人
※教員数 414人 189人 231人
貸出冊数 76,301冊 23,983冊 52,125冊
蔵書数 788,311冊 261,136冊 289,109冊
図書受入数 37,876冊 13,541冊 20,419冊
雑誌総受入種類数 5,855種 1,966種 1,974種
職員1人当たり学生数
(対専任比)
221人
(365人)
242人
(328人)
268人
(474人)
職員1人当たり貸出冊数数
(対専任比)
1,150冊
(1,902冊)
1,310冊
(1,776冊)
2,266冊
(4,009冊)
職員1人当たり図書受入冊数
(対専任比)
571冊
(930冊)
739冊
(1,003冊)
887冊
(1,570冊)

 総括表の他大学平均値と比較した場合に、本学図書館の特徴として図書館職員の専任比率の低さ、図書館職員数に対する図書受入冊数の多さ、および学生・教員数に対する貸出冊数の多さなど、図書館職員数の相対的少なさに基づく数値の高さが一目瞭然です。この数値は事務処理の高いパフォーマンスを示すものでもありますが、図書館総合情報管理システム導入や学術情報センターとの接続による業務の電算化、省力化などにより物理的にこれらの業務に対応しているというのが実情で、質的な利用者サービスの面から満足のいくものかどうかは別問題であり、今後の課題といえます。

(2)施設データの比較

(施設データ)
Bグループ
(5〜7学部)
Cグループ
(2〜4学部)
摂南大学
(本館・分館)
総面積 11,630u 3,791u 4,630u
3,800u 830u
学生1人当たりスペース 0.79u 0.85u 0.74u
0.69u 1.17u
サービススペース
(閲覧・視聴覚)
4,656u 1,557u 3,664u
3,015u 649u
管理スペース 6,973u 2,234u 966u
785u 181u
総閲覧座席数 1,266席 356席 588席
456席 132席
書架収容能力 1,041,188冊 350,328冊 329,600冊
252,320冊 77,280冊

 比較表の中で明らかなのは、図書館における管理スペース(書庫、事務室等)の圧倒的な狭さと、これに関連して図書収容能力の低さです。特に本館の図書収容能力は今や限界に達しています。
 本学は1975年工学部だけの単科大学として開学、以来この17年間にC学部、2研究科を増設し、総合大学に発展しました。この間、図書館の蔵書数も飛躍的に膨張を続け、本・分館合計30万冊を超えました。とりわけ、本館の所蔵数は26万冊を超えており、収容能力は限界に達しつつあります。そのため、開架図書室の閲覧スペースを削り、書架を増設して対処していますが、それでも書庫に収容しきれない図書が出て日常業務に支障が出る状態となっています。
 本館に限っていえば、年間約6千冊(研究用図書を除く)のペースで図書館収容図書は増加しており、収容能力25万冊(書庫の利用効率は分類配架を行っているため、通常75〜85%程度と考えられ、本館の現実の収容能力は19万〜21万冊程度と考えられます)に対し、蔵書数は26万5千冊(92年3月現在)を上回っており、研究室保管図書約5万冊を差し引いてももはや限界に来ていることは疑う余地がありません。
 このような状況に対し、図書館でも一定の廃棄基準に基づき不要資料の廃棄処分等で対処していますが、保存機関としての各種制約があるため根本的な解決策とはなりえません。
 本調査における集計結果では、全国の大学図書館における管理スペースとサービススペースの面積比は6:4が平均値ですが、本館では2:8と大変アンバランスな状態となっています。開架比率が高いことを考慮してもこのアンバランスの是正なくしては事態の改善は望めそうもありません。つまり将来を展望した管理スペース(書庫)の確保が急務といえます。
 ちなみに文部省が定める図書館施設設計計画基準で本年度の本学の規模に必要な図書館面積を仮に算定すると本館は6,398平方メートルとなり、現有面積とは約2,600平方メートルの開きがあります。
 このほか、私立大学図書館改善要綱などで大学図書館に備え付けることが望ましいとされる施設で本学図書館にないものを列挙すると、1)保存書庫内閲覧席、2)学生ラウンジ、3)演習室、4)貴重書庫、5)図書館ホール、6)複写コーナーなどがあげられますが、これらは施設総面積の拡充なしには設置不可能なものが大半を占めています。

3.おわりに
 以上、施設面を中心に本学図書館の現状分析を行いました。各大学に歴史・学生数・設置学部等の違いがあるため、単純比較はできませんが、同規模の他大学図書館の平均値に比べ、相対的に本学図書館に不十分な点の多いことがわかります。
 この他、数字には現われませんが、本館は図書館建築の基本原則に反して変則的に共用建物の中階層に設置されているため、利用者に不要の館内移動を強いることとなり、使い勝手が悪くなっていることも図書館としては十分認識しています。図書館としても利用者の不便を最小限に抑えるよう努力していますが、残念ながらこのような施設構造に基づく制約の中では、自ずと限界があります。
 一般に大学図書館は大学の顔であり、シンボルと言われています。大学の学術研究活動の中核をなすべき施設です。本学の図書館もこのような存在にふさわしい施設でありたいと願っています。残念ながら現在の図書館は施設的にはこのような条件を満たすには至っておりません。
 図書館では、このような状況を根本的に改善するには新独立館の建設しかありえないと考えます。もちろんこの問題は大学全体の問題であり、多額の経費を伴うため、一朝一夕に解決するものではありませんが、今後は新独立館の早期実現をめざして学内コンセンサスを得るべく館長以下努力していきたいと考えています。
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利用者の声

快適な図書館利用法

工学部土木工学科 3年
圓尾 芳裕

 私が図書館へ行くときは、レポートの参考になる専門書を探したり、社会の動向をキャッチするために新聞や雑誌を読むことが中心であるように思います。先日、参考書をコンピュータで探していたとき、返却期限が数年も前の本がありましたから、カウンターの方に尋ねてみたところ、「先生が研究用に使っています」とおっしゃったので、借りられないと思いました。数日後、掲示板に私の呼び出しカードがあったので、カウンターに行くと、その図書を借りることができました。本当に助かりました。しかし、このような学生用の本を日頃から注意して積極的に先生方から一冊でも多く返却してもらう努力を図書館の方にお願いしたいと思います。そうすることによって、誰もが必要なときに必要な本を借りることができるチャンスが増えることでしょう。
 時々、借りたい本が本学の図書館になくても、大阪工大の図書館などにあることがあります。取り寄せてもらうことを希望すると、たいてい翌日には到着しているので、本当に感謝しています。
 図書館には、たくさんの新聞や雑誌があって、非常に便利だと思います。同日の同記事がそれぞれの新聞によってとらえ方が違うということを比較できるので、私には貴重な経験になっていると思います。また、他の新聞にない記事を読むことができるので、ひとつの新聞だけを読んでいたころよりは視野が少し広くなっていると確信しています。これからも、快適な図書館を利用していきたいと思います。
※ ご指摘のとおり、先生方の長期延滞学生用図書については、今後可能な限り督促を行います(図書館)
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ILLシステム4月から本格稼動

 学術情報センターが開発・提供するILL(INTER-LIBRARY LOAN:図書館間相互貸借)が4月から本格的に稼動しています。これは全国の国公私立大学等をオンライン・ネットワーク方式で結び、文献複写や図書の相互貸借にかかる依頼・受付情報をリアルタイムで交換するシステムです。このシステムを利用すれば、所蔵館の確認から郵送に要していた時間の短縮が可能となり、求める原文献を迅速に入手することができます。ILLの申し込みは従来どおり、各館カウンター(本館は5F)で取り扱っています。
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マイクロリーダープリンター設置!!

 マイクロ資料の増加に伴い、従来、国際言語文化学部にしか設置されていなかったマイクロリーダーを、本館の雑誌書庫(4F)に設置しました。設置機種はマイクロフィッシュから16mm/35mmロールフィルムまで各種のマイクロ資料に対応しており、しかもB4サイズの美しいコピーが撮れるというコンパクトボディの高パフォーマンス機です。シンプルな操作パネルで使いやすく、初めての方でもすぐに使えます。利用希望者はカウンター(内244)までお問合せください。
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軽雑誌類の貸出制度スタート

 本館では、従来貸出をしていなかった参考図書(5F)と学術雑誌(4F)に配架している軽雑誌類のバックナンバーの貸出を5月から始めました。貸出期間は1週間です。希望者はカウンターに申し出てください。
 なお、最新号は対象外ですのでお間違いなく。
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