★ CONTENTS ★
乱読のすすめ
工学部土木工学科 教授
波田 凱夫
自分の読書歴なるものをふり返ってみたが、読んだ本の数はまあ人並み程度だろうと思うものの、恥ずかしながらいわゆる精読というものをやり遂げた記憶はほとんどない。世に「趣味は読書」という人は多い。そんな人に対してはいつも少なからず畏怖の念を抱く。多分この人たちは理路整然とした体系に基づいて、一字一句もゆるがせにせず万巻の書を読破されるのであろうと想像し、一方こちらは思いつきだけで手当り次第に買い込み、読みかじるだけだから、お世辞にも趣味は読書などと言えた柄ではないからである。
ところで、最近読んだ野口悠紀雄著『「超」整理法』によれば、膨大な資料を整理する最良の方法は、資料を分類することなく、入手順にひとつずつ封筒に入れて並べておくことだという。こうすれば、資料の検索はもちろん、将来の保存・廃棄の判断に要する手間が著しく省けるとのこと。
これが最良の整理法がどうかはともかく、かつて読んだ本のデータのファイルが驚くほど正確に時間という座標軸上に整理されて頭の中に保存されていることに気づく。ある本との出会いが、これまでの人生のどの時点に位置していたかを思い起こすのは容易である。またそれにつれてその当時の自分の生きざまも鮮やかに浮かんでくる。さらに、何度も読み返した価値の高い本の内容はいつまでも保存されているし、再利用の必要がなかった低レベルの内容はきれいさっぱりとこの整理の棚からは消え去って、ファイルの保存と廃棄が自動的に行われている。
こんなわけで乱読を恥じることはない。乱読こそ読書によって集積された知識の最良の整理法である、というのが『「超」整理法』からヒントを得た私の独断的読書論である。
ついでに一言。本とのつきあいは、異性とのそれに似ている。素晴らしい異性に出会ったときの心のときめきは素晴らしい本に出会ったときとほとんど同じである。このような本(あるいは異性)とのつきあいが深まるにつれ、如何に人生が豊かになっていくことか、そしてこのような本(異性)の内容を徹底的に理解し、自らの心の糧とするためには何と多くの忍耐力がいることか。
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新入生に贈る図書館利用の手引き
はじめに
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。これから始まる大学生活では、高校時代とは違い、情報を受け入れるだけの立場から一歩抜け出し、自主的かつ積極的に情報を入手し、取捨選択していく姿勢が必要とされていきます。
図書館では、そんな皆さんを応援する資料をたくさん用意しています。人生の指針となる良書を求めて、また自学自習の場として大いに図書館を活用してください。
今号では、新入生の皆さんに図書館を有効に活用していただくためのオリエンテーションとして、寝屋川キャンパスの図書館(本館)について、利用案内および各フロアの紹介をします。
施 設 | 7号館 1、3〜6F |
開館時間 | 月〜金曜日 9:00〜18:00 土 曜 日 9:00〜16:50 |
貸出条件 | 学部学生 5冊 2週間 |
利用案内
まず図書館(本館)の施設概要について簡単に説明しましょう。
本館は寝屋川キャンパス7号館の6階(普通図書室)、5階(参考図書室)、4階(視聴覚室・学術雑誌室・雑誌書庫)、3階(閲覧室)、そして1階(保存書庫)から構成されています。約30万冊に及ぶ資料を所蔵し、皆さんに快適な学習環境を提供しています。
貸出返却手続き
1.所蔵の有無を知るには?
本館の図書目録は蔵書がデータベースになっているオンライン・カタログですから、必要な本を探すには、6Fに2台、5Fに1台設置されているオンライン端末機で各自検索してもらうことになります。
資料の探し方としては、各端末機に備え付けの「操作マニュアル」を参照するか、最寄りのカウンターの係員に尋ねてください。
2.資料を借りたいときは?
借りたい資料に学生証を添えてカウンターに提出してください。
3.希望する資料がないときは?
→借りたい資料が貸出中の場合
その資料を次に優先的に借りることのできる『予約制度』があります。
→借りたい資料が蔵書にない場合
他館から借りる『相互貸借制度』や皆さんのリクエストに応じて資料を購入する『希望図書購入制度』があります。カウンターまで気軽に申し込んで下さい。
4.もう少し資料を続けて借りたいの…
1回にかぎり、さらに続けて2週間借りることができます。返却日までにその資料をカウンターまでに持ってきて延長手続きをしてください。
5.返却方法は?
借りた資料をカウンターまで持ってきてください。
返却日が送れたときは、遅れた日数と同じ日数の間、貸出停止になります。くれぐれも注意してください。
ワンポイントアドバイス 請求記号 |
図書館の資料はすべて日本十進分類法というルールにしたがって分類された記号(請求記号といいます)がついています。このルールさえわかれば資料探しなんて楽なもの。詳細はLibrary Guide(P.13〜15)をよく読んでください。それでもわからなければ、カウンターで尋ねてください。 |
次に皆さんがよく利用する本館の各フロアの内容についてQ&A方式で紹介してみましょう。
6Fフロア
普通図書室
Q.普通図書室には何があるの?
A.専門図書から、新聞・雑誌等の書評に載った話題の本やベストセラーなどの一般図書まであらゆる分野の図書がテーマ別に配架されています。
その他、次のようなコーナーがあります。
文庫本コーナー
角川文庫、岩波文庫、講談社文庫、新潮文庫などの各種文庫が揃っています。通学途中の電車の中で読んでみるのもいいのでは?
「日本語・日本事情」コーナー
外国人が日本語を学ぶために必要な参考書や、日本の文化・風俗・風習などの日本事情を紹介する資料が約1,000冊揃っています。留学生の方に特に役立てていただきたいコーナーです。
入門書コーナー
新入生の方には特にこのコーナーがお勧めです。このコーナーには、皆さんが所属する各学部の先生方が、専門科目を勉強するうえで必要な基礎的な知識を皆さんに身に付けてもらうために選んだ本が約100冊ずつ、学科・コース別に並んでいます。ぜひ一度目を通してみてください。
6Fカウンターで行うサービス |
図書の貸出・返却 貸出中図書の予約 希望図書の受付 レファレンス・サービス |
5Fフロア
参考図書室
Q.参考図書ってなに?
A.調べたいことをすばやく簡単に見つけ出せるように工夫して作られた本で、辞書、事典、便覧、年鑑、目録、地図などがこれに当たります。
Q.参考図書室にはなにがあるの?
A.参考図書以外に、国内外の各種新聞(スポーツ新聞を含む)、「アスキー」「オートバイ」「Lマガジン」「JJ」など、皆さんになじみの深い約70種類もの軽雑誌が置いてあります。
参考図書室の資料は原則として貸出はできませんが、軽雑誌については最新号以外のものは貸し出しています(1週間)。
Q.CD-ROMってなに?
A.CD-ROMとは、コンパクトディスクに電子化して記録された様々な文字情報などをパソコンを使って読み出すもので、百科事典20冊分の情報が1枚のディスクに収まるほどの小型・大容量のニューメディアです。本館には現在、朝日・毎日・日経新聞の全文記事、雑誌記事情報、法律判例文献情報など、8種類のソフトがあります。使ってみたい人はカウンターに申し出てください。
5Fカウンターで行うサービス |
文献複写(学術文献の取り寄せ) 相互貸借(図書の取り寄せ) レファレンス・サービス |
4Fフロア
視聴覚室
Q.視聴覚室には何があるの?
A.ここには語学学習に役立つカセットテープ、クラシックを中心としたCD、各種教養ビデオなどのAV資料が揃っています。もちろんこれらの資料は貸出できます。また、これらを視聴するためのAV機器(カセットデッキ2台、ビデオデッキ5台、CDプレーヤー3台)もあります。
この他にレポートや卒論などの清書用に使えるワープロ7台、カウンター内にはディスクマン2台、電子ブックプレーヤー1台があります。そして自宅での使用が可能なように貸出用ワープロも約20台ありますので希望者はカウンターにどんどん利用してください。
学術雑誌室
Q.学術雑誌室ってどんな雑誌があるの?
A.ここには国内外で発行されている各学術分野の最新情報が載っている雑誌が置いてあります。この部屋の資料は貸出はできません。複写を希望する人は学生証を提示するとコピーできます。
雑誌書庫
Q.雑誌書庫って何があるの?
A.学術雑誌室の雑誌は一定期間を経過すると保存のため製本されます。このうち過去10年間分の製本雑誌がこの雑誌書庫に保管されています。それ以前のものは1Fの保存書庫にありますので、閲覧・複写を希望する場合はカウンターに申し出てください。
4Fカウンターで行うサービス |
AV資料の貸出・返却 AV資料の希望図書購入受付 ワープロの貸出・返却 レファレンス・サービス |
おわりに
以上、図書館の利用について簡単に説明しましたが参考になりましたか?
これから4年間、図書館を利用するうえで、最低限のマナーとして次のことだけは守ってください。
・ 手荷物は備え付けのロッカーに入れましょう。 ・ 私物図書等の持込はカウンターで申し出て、持込票をもらってください。 ・ 飲食・喫煙はもちろん厳禁。 ・ 館内での私語は慎みましょう。 |
図書館についてもっと詳しく知りたいときは、「Library Guide」や「学生便覧」を参照してください。また、わからない点はカウンターでどんどん尋ねてください。係員がやさしく教えてくれますよ。
では、図書館で皆さんの来館をお待ちしています。
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93年度図書館コレクションの紹介(収書方法A)
「バルトルス著作集」の解説
申請代表者
法学部 教授
塙 浩
摂南大学図書館は、本学後援会から今年度のコレクションとして、「バルトルス著作集」の寄贈を受けた。正式の書名は「バルトルス・ア・サクソフェルラート 現存する全作品(諸々の註解、鑑定、質疑および論文)」、である。
バルトルスは、14世紀のイタリアの法学者である。6世紀の東ローマ皇帝ユスチニアヌスが編纂せしめた諸法典であるいわゆる「ローマ法大全」の中に書かれた精密な古代ローマ法の知識は、西欧では、一時忘れられた後、12世紀に復活するが、この知識を当時のヨーロッパ社会の実情に適合するように、それらの法典に対して「註解」をつけるという方法をもって加工する作業を行ったのが、イタリアで生まれた「註解法学派」であり、この学派は、中世後期の全ヨーロッパの全法律学界を風靡する。この学派のリーダーが、正しくこのバルトルスである。このため、この学派は、バルトルス学派とも呼ばれており、彼の著作は、ヨーロッパ近代法の中にいまだに生命を保っているといわれうる。
寄贈されたのは、このバルトルスの全著作を集めた11巻からなる全集である。ただし、最後の第11巻(索引の部)は欠落しており、また、第9、第10の両巻は合本にされているために、全9冊ということになる。出版年は1602/1603年、出版地はイタリアのヴェネチアである。版型は2つ折り版(42cm×27cm)で、表紙は、山羊皮らしい皮による白色の装丁である。もとより、総てラテン語で書かれている。各冊の本文は、平均して約200ページからなるが、ページ番号は、本を開いて右のページにしか打たれていないので、それは約200葉、即ち、約400ページからなることになる。
表題に示された内容の内訳は、次のとおりである。第1巻〜第6巻は「学説彙纂」に対する註解、第7巻〜第8巻は「勅法彙纂」に対するそれ、第9巻は「新勅法」および「法学提要」に対するそれである。総て「ローマ法大全」中の諸法典に対する「註解」を内容とする。第10巻には、バルトルスによる「鑑定」が約120、「質疑」が約25および「論文」が約30、ほぼこの順序に含まれている。
彼の全集は、近代にも別段新しい刊本が出ていないことのゆえに、この刊本は希覯本に属する貴重なものである。
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卒業生からのアドバイス
電車読書のススメ
工学部機械工学科 94年卒
巽 博則
ガタンゴトン、ガタンゴトン、このリズムがやたら心地好い。私にとって一番の読書室だ。4年生になると卒業単位に追われることなく社長待遇で通学できた。
もうすぐ電車は大阪城公園前、小説は秀吉が金ケ崎城から脱出するところだ。このタイムリーさにひとり喜びながら京橋で降りる。
これが私の通学スタイルだ。電車内というのはおもしろいもので、自分だけの空間があり、人に見られているという感覚もある。読書に疲れたら景色を見るもよし、眠るもよし、たまに美女と目があって心ときめくもよし。私はこうして1時間50分の旅を4年間楽しんできた。
私が自分から本を読み出したのが浪人時代、暇を見つけては村上春樹の本を読んでいた。「竜馬が行く」、「上杉鷹山」、「尻啖え孫市」、田中芳樹、椎名誠…すべて自分なりに吸収して己を磨けたと思う。少なくとも、昔の自分より今の自分は「いい男」だと言える。
昔、講談社か角川に「人生のもう半分を捜しませんか」というコピーがあったが、私なら「いい男(女)になりませんか」と本を読まない人に呼びかけることだろう。
窓際の席で
経営情報学部経営情報学科 94年卒
二瓶 友理子
1、2年生のころは、テスト前とレポート提出前しか利用しなかった図書館ですが、3年生になり、授業に空きがでるようになるとよく利用させていただきました。見晴らしもよく、一度座ればお尻から根の生えてしまいそうな快適な椅子と、大きな机のある図書館の窓際の席は競争率も高く、私のお気に入りの場所でした。
私が図書館で主にしていたことは、資格試験用の自習と昼寝です。図書館には、問題集の解答欄には載っていない「なんで? どうして?」を教えてくれる文献がたくさんありました。コンピュータで手早く検索もできます。中でもありがたかったのは、月刊誌のコーナーで、自分で買うのはちょっと…という専門誌が手軽に読め、また、必要箇所のみコピーすることもできました。
図書館を自分なりにうまく利用することで、時間を有効に使うことは可能だと思います。新入生の皆さん、暇を見つけてぜひ足を運んでみてください。
私の図書館利用法
法学部 94年卒
渡部 好宣
皆さんご入学おめでとうございます。
これから始まる大学生活の中でも気になることのひとつが学習方法ではないでしょうか。大学では、教科の選択から受講まですべて自分の判断で決めなければなりません。したがって、大学4年間で何か身につけようと思うなら積極的に参加することが必要ですが、私の経験では図書館がこれに非常に役立ちました。
講義中に先生が言われた参考書やレポートの際の資料などを自分で買っていては非常に高くつきます。こんなとき図書館に行くと目当ての本は大抵揃っています。それに個人用の机もあり、調べたり、レポートを書くのにも便利ですテスト期間中には、空いてる机がないほどです。また、雑誌類も数多くありますので、講義の空き時間に利用するのもいいでしょう(館内は冷暖房完備で快適ですので私もよく足を運んだものです)。
これらは、私の図書館利用方法のほんの一例です。他にも活用方法は、いろいろとあると思いますので自分だけの活用方法を見つけてみてはいかかでしょうか。
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93年度 本学教員からの寄贈著書
93年度中に本学教員から寄贈いただいた著書は次のとおりです(敬称略)。ご厚意に感謝するとともに厚く御礼を申し上げます。
吉田晴世(国際)
「はじめてのCAI入門」(山口書店、1992)
塙 陽子(法)
「家族法の諸問題」<上・下>(信山社出版、1993)
末田 正(工)
「光エレクトロニクス」(昭晃堂、1985)
「超高速光エレクトロニクス」(培風館、1991)
深見純生(国際)
「日本占領期インドネシア年表」(インドネシア史研究会、1993)
安藤哲行(国際)
「陽かがよう迷宮」(現代企画室、1993)
大武泰南(法)
「証券取引法読本」(有斐閣、1993)
篠原愛人(国際)
「月のウサギ」<CD>(文化科学高等学院出版局、1993)
石原啓司(工)
「電力伝送工学」(コロナ社、1983)
熊懐稜丸(薬)
「ソロモン新有機化学・問題の解き方<第3版>」(廣川書店、1992)
中村雅彦(非常勤講師)
「野球の基本と攻撃の法則」(1993)
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日本薬学図書館協議会
近畿・中国・四国地区研究会開催!!
本学が地区幹事校を務める日本薬学図書館協議会平成5年度第2回地区研究会が3月4日(金)大阪ビジネスパークの富士通関西システムラボラトリにおいて開催されました。
研究会テーマはマルチメディア時代を意識して「ハイパーメディア時代の図書館システム」と題し、講師に谷口敏夫氏(光華女子大 助教授)を迎えての講演と、次世代図書館システムを意識した富士通のパッケージソフトのデモンストレーションが行われました。
当日は、加盟大学、企業を含め、20館32名の参加があり、今後の図書館システムを考えるうえで大いに有益な研究会となり、盛会のうちに終了しました。
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閲覧座席数が増えました!
本館では増加する学生数に対応して、93年度にキャレル(1人用)48席、閲覧机(4人用)12席分、合計60席分を購入しました。これに伴い、普通図書室(6F)5席、参考図書室(5F)3席、学術雑誌室(4F)5席、雑誌書庫(4F)4席、閲覧室(3F)43席の増加となり、本館の閲覧座席数は521席となりました。
図書館では、試験期などの館内の混雑の緩和に少しでも役立つことを願っています。
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