2002年度 発表論文
Mutagenic characteristics and contribution of polycyclic aromatic hydrocarbons to mutagenicity of concentrates from municipal river water by blue chitin column
J. Health Sci.Vol.48, No.3pp. 232〜241 日本薬学会 (2002.6)
典型的な都市河川水や下水処理場の放流水をブルーキチンカラムで濃縮して、Salmonella typhimurium TA98株、YG1021株あるいはYG1024株を用いてそれぞれの変異原性の特性を検討するとともに、その濃縮物中に含まれる多環芳香族炭化水素化合物の変異原性への寄与率を明らかにした。
環境水のエストロゲン様活性と内分泌攪乱化学物質との関連性
水環境学会誌Vol.25, No.6pp.355〜360 日本水環境学会 (2002.6)
酵母two-hybrid法を用いて、内分泌攪乱化学作用が疑われている57物質(ステロイドホルモン、植物エストロゲンあるいはアルキルフェノール類)のエストロゲン様活性強度を求め、これら物質の酵母中エストロゲン受容体αに対する親和性を解析した。さらに、河川水や水道水など環境水のエストロゲン様活性を測定するとともに、環境水が示すエストロゲン様活性への寄与が高いエストロゲンおよびその抱合体のS9 mixによる代謝活性化後のエストロゲン様活性に及ぼす影響について検討した。
琵琶湖-淀川水系河川水のバイオアッセイによる包括的毒性評価
水環境学会誌Vol.25, No.7pp.403〜408 日本水環境学会 (2002.7)
琵琶湖-淀川水系の湖水および河川水のエストロゲン様活性を酵母two-hybrid法とIshikawa細胞-アルカリホスファターゼ法で包括的に測定するとともに、毒性のエンドポイントが異なるバイオアッセイを用いて免疫毒性や変異原性などを加えて潜在的な毒性を評価した。
Estrogen receptor α in mouse splenic lymphocytes: possible involvement in immunity
Toxicol. Lett.Vol.133, No.2-3pp.221〜229 Elsevier Science Ireland Ltd. (2002.7)
マウス脾臓細胞にエストロゲン様受容体aが存在することをRT-PCR法で証明するとともに、フローサイトメトリーを用いてB細胞およびT細胞の一部にエストロゲン受容体αが分布することを明らかにした。さらに、B細胞およびT細胞の幼若化反応における17β-エストラジオールや内分泌攪乱化学物質の影響についても検討した。
Aqueous photodegradation of fenthion by ultraviolet B irradiation: contribution of singlet oxygen in photodegradation and photochemical hydrolysis
Wat. Res.Vol.37, No.2pp.468〜476 IWQA (2003.1)
残留農薬の分解に関与する環境要因の1つである紫外線(とくに(UVB)照射下におけるフェンチオンの光分解物をHPLC、LC-MS、GC-MSおよびイオンクロマトグラフィ−を用いて同定するとともに、それら分解物の経時的な生成挙動などからフェンチオンの光酸化ならびに光加水分解機構を推定した。
Potooxidation mechanism of fenthion by singlet oxygen: evidence by ESR analysis with a selective spin trapping agent
J. Health Sci.Vol.49, No.1pp.34〜39 日本薬学会 (2003.2)
フェンチオンあるいはフェンチオンの光加水分解物である3-メチル-4-メチルチオフェノールに紫外線(UVB)を照射することによって一重項酸素が産生することをスピントラップ-ESR法で確認し、フェンチオンの光分解(光酸化)にはこの一重項酸素が関与することを解明した。