Research

「熱物性を測る」「熱を創る」「熱を使う」

当研究室では,
・光熱変換法を用いた高空間分解能熱物性測定技術の開発
・Al-Ni系自己伝播発熱反応を用いた発熱材料に関する研究
・機能性発熱材料を用いた加熱・接合技術に関する研究   など
「材料の熱的な特性」に注目した「材質制御・評価技術」に関する研究を行っています

■周期加熱サーモリフレクタンス法によるマイクロスケール熱物性評価技術に関する研究
サーモリフレクタンス法とは,試料表面の温度変化に伴う反射率変化を計測・解析する方法です.周期変調したレーザー光(加熱光)を金属反射膜を施した試料に照射して試料表面に周期的な温度変化を与えます.同位置に強度一定のレーザー光(検出光)を照射すると,その反射光は反射率の温度変化に従い強度変調されて検出されます(サーモリフレクタンス信号).この信号の位相・振幅は金属反射膜・試料の熱物性などに依存する事から,これらを解析することで,熱浸透率や熱伝導率などの熱物性情報がマイクロスケールの高い空間分解能で得られます.この技術は薄膜材料,金属間化合物,複合材料など不均一や微小な領域に限定した熱物性評価に適しています.我々はさらなる高精度化に向けた計測系・解析手法の開発に取り組んでいます.最近では半導体材料(シリコン)を対象として,サーモリフレクタンス信号を用いた応力・ひずみ解析技術の開発にも取り組んでいます. 三宅修吾


■放射測温を用いた熱拡散率評価の高度化に関する研究
サーモリフレクタンス法と同様に試料表面に周期変調したレーザー光を照射し,裏面の温度応答を放射温度計で計測する方法です.平板試料に対して,厚さ方向と面内方向の熱拡散率が測定できます.当研究室では,素材の熱拡散率や異方性評価だけでなく,実材料の接合部の熱拡散率を評価するために,測定条件の最適化や表面凹凸のある試料の解析方法などについても検討を進めています. 三宅修吾

■Al-Ni系金属間化合物形成時に生じる発熱量制御に関する研究
アルミニウムとニッケルは互いに金属間化合物を形成する時に大きな発熱反応を示すことが知られています.Al-Ni系金属間化合物は古くから高耐熱・高耐食性材料としての研究が行われてきましたが,我々は自由度の高い新たな熱源としての利用を目的とした研究を行っています.圧延と摩擦粉砕法を用いてAl/Ni多層構造を有する粉末やペレットを作製し,小さなエネルギーで発熱反応を誘起させます.この発熱エネルギーは諸条件によって数10msecの間に1000J/gを発生し,アルミや銅などを局所的に瞬間で溶融させられます.我々は材料の加工条件や組成比に対する発熱量と反応持続性などの関係を明らかにして発熱量制御技術の高度化を追求しています. 三宅修吾 三宅修吾