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書物における出会い
国際言語文化学部 教授
田 村 満 穂
人間には,或る人との出会いで爾後の人生が大きく左右されるようになる場合がよくある。それに似て,或る書物に出会ったことが,以後の生活に大きな規定力になることも少なくないようである。私自身にも,そのような書物における出会いと言えるものが,少なくとも3回はあったように思う。
最初は,旧制高枚に入学した直後におけるM・ウェーバーの『社会科学方法論』との出会いであり,ついでは,その年の終り頃におこった鈴木成高『ランケと世界史学』とのそれであり(この書物には本誌7号で布目潮ふう教授も触れておられる),そして三番目は,研究生活に入った頭初に経験した大塚久雄『近代欧州経済史序説(上)』との出会いである。これらの出会いは,それぞれの時期に私の生活を大きく左右することになり,とくに最後のものは、現在でもそれから完全に自由になりえていない自分を見出すほどである。
このような書物における出会いは,いつ,どこで,どのようにして起るのか,多分に偶然性を帯び,それが「出会い」となるかどうかは,探求者の知的状況に大きく関わるところから極めて個別的でもあり,一般論は立て難いが,「出会い」を側面援助してくれる信頼性の高い指針が与えられるのが望ましいことは言い得るだろう。想えば私たちの学生時代にはあの時代なりの優れた指針があった。昭和11年以降,上掲の布目教授の文中にも出てくる理想主義思想家河合栄治郎氏の編んだ「学生叢書」が出版され,教養課程にある多数の学生は勿論,一般読者層にも広く愛読されたが,その中に『学生と読書』の一巻があり,そこでは読書資料の中に必読書まで掲げられ,加えて,叢書の外篇として『教養文献解題』もやがて上梓され,それらが学生の読書生活の上に大きな指針を提供していた。
現在,これに代りうる現代版の指針としていかなるものがあるのか,寡聞にして私は知らない。もし見当らないとすれば,書物における出会いを求めて,経験豊かな先学者の助言を求めるなり,自ら情報の大海に乗出してスリリングな挑戦を試みるなり,探求者によるより大きな積極的努力が要請されよう。現代における出版物情報の過剰な洪水状況の下では尚更のことである。
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新図書館紹介
――知の世界への案内――
図書館(本館)は,今回大きく拡張がされました。新図書館は7号館の1階・3階・4階・5階・6階の5フロアーなりました,
さて,この新図書館の機能はどうなっているでしょうか。各階層ごとに簡単な紹介をしてみましょう。
図書館(本館)の拡張と充実
図書館(本館)は,この4月から従来の規模から大きく拡張がされました。新図書館は,寝屋川キャンパス7号館の1階・3階・4階・5階・6階の5フロアーのスペースとなりました。
さて,この新しい図書館はどんな構成になったのでしょうか。これから図書館巡りの旅へと出発しましょう。
@ 普通図書室(6階)
まずは図書館の一番上の6階からです。窓の外にも目をやって周辺の展望を楽しんでください。ここには普通図書室があります。普通図書室には主として通読を目的とする図書が置かれ,専門図書から一般教養図書までのあらゆる分野の図書が主題別に配架されています。
この部屋の図書は,カウンターで手続きをすれば借り出すことができます。
この部屋には,ほかに軽い読物雑誌類があります。
A 参考図書室(5階)
階段を一階降りると参考図書室のフロアーです。参考図書室には,辞書,事典,便覧,年鑑などの特定の事項を参照するための図書が備えられています。レポート作成時や試験期に一番お世話になる本達がいるところです。
ここの図書は室内での利用を前提にしていますので,複写を希望する時は,カウンターまで学生証をそえて申し込んで下さい。
この部屋には,ほかに国内外の新聞類があります。
B 視聴覚室・学術雑誌室・雑誌書庫(4階)
次のフロアーは複合機能のフロアーです。順番に見学していきましょう。
@)視聴覚室
視聴覚室には,カセットテープ,ビデオテープ,コンパクトディスクなどのAV資料が備えられており,これらを利用するための機器も設置されています。語学の学習や外国の文化事情の視覚・聴覚による学習あるいは音楽教養を深める時など,有効に利用して下さい。
また,最新のOA機器ワープロも置かれ,レポートの清書などに利用できるようになっています。このワープロは貸し出しもしています。
A)学術雑誌室
しゃれたジュウタンと落ちついたインテリアの学術雑誌室には,各学術分野の最新情報の載っている国内外の雑誌が置かれています。ちょっとアカデミックな雰囲気をのぞいてみませんか。また,卒研作成時にはお世話になる部屋でもあります。
またこの部屋には,大学等の研究機関が発行する最新の紀要もあります。
B)雑誌書庫
先程の学術雑誌室には,最新の雑誌がありますが,これらの雑誌類は保存のために製本されます。その製本された雑誌のうち過去約10年間分を集めているのが雑誌書庫です。卒研時には,一つのテーマをめぐって,学術雑誌を過去に遡って調査することになりますが,そんな時に利用する書庫です。
C 閲覧室(3階)
3階には第1〜第6までの閲覧室があり,自学自習やグループ学習などそれぞれ用途に沿った部屋が設けられています。
試験期などは,自習者や共同レポート作成グループなどで満員の状態です。もっとも,本命(?)は,試験情報の交換とノートコピー市場かもしれませんが……。
D 保存書庫(1階)
保存書庫には,利用の比較的少ない図書やその他の資料が保存されています。この部屋は閉架式書庫で,利用者は自由に出入りすることができませんが,図書館備え付けの検索端末でこの部屋の資料も探すことができます。
検索でヒットした必要な資料は,カウンターの係員に申し出てください。
さいごに
いかがでしたでしょうか。これで6階から1階迄の図書館一周の旅は終わります。駆け足の旅でしたが,新しい図書館の概要イメージしてもらえたでしょうか。
さて,各フロアーの紹介の中では触れませんでしたが,本学の図書館はすべてオンライン情報システムで運営・利用が行われています。
探している資料類が図書館にあるか,現在それを誰か借りていないか,返却予定はいつで予約をしたいが……,などなど,すべて図書館の端末装置を使用して行います。
皆さんが使用するのは,"所蔵検索システム"と呼ばれるシステムです。使い方はいたって簡単,ほんの5分程の練習で君はもうシステムの友達です。これで君の図書館利用のためのウォーミングアップは完了です。
新装なった図書館,まずは一度,のぞいて下さい。きっと新しい発見があると思います。
図書館は常に利用者に開かれています。
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ワープロの貸出は視聴覚室で!
新図書館紹介の記事中にもありましたように,今年度よりワープロの貸し出しは4階の視聴覚室で取り扱います。
また,テープ教材・ビデオテープ・コンパクトディスクなどのAV資料(Audio Visual資料)やテレコ・ビデオなどの利用機器類も視聴覚室にあります。
あわせて御利用下さい。
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図書館システムの現状と課題
――情報化社会における役割――
1.はじめに
摂南大学では,この4月より法学部が新たに開設され,昭和50年に工学部1学部のみの単科大学としてスタートして以来,10数年の間に理系2学部・文系3学部計5学部を擁する大学へと著しい発展を遂げてきました。
図書館(本館)も拡張がなされて,7号館の1階・3階・4階・5階・6階の規模となりました。そして,蔵書数は新興大学にもかかわらず,約20万冊に及び図書を所蔵し,閲覧座席数438席,その他ビデオ装置等の視聴覚機器や貸出用ワープロ機器等を設置しています。また一方,図書館の機械化に積極的に取り組み,利用者は希望する図書について端末を叩くことにより,瞬時に検索して利用出来る等,充実した内容の図書館となっています。
また,本学図書館では他大学に先駆けて図書・雑誌の検索,貸出・返却や購入,目録作成等全ての図書館業務を機械化し,情報化時代に呼応したサービス提供を目指すと共に,21世紀に向け摂南大学の教育・研究を一層充実させるため,図書資料の充実だけでなく,その情報提供の質的充実に取り組んでいます。
この図書館界を始めとして高い評価を受けてきた「総合図書館情報処理システム(Total Library Information System)」は,図書雑誌の検索,貸出・返却や発注,受入,整理など全ての図書館業務をカバーしています。さらに,開発後も現在に至るまで,機能の拡張と改善の努力が行われており,「使い勝手の良さ」と「利用者へのガイドの完備」などの面では,日本有数の高い評価を受けている円熟したシステムです。
2.情報の時代と図書館システムの課題
しかし,この図書館システムは@本格的に開発に着手した昭和57年当時の汎用コンピュータの処理能力やソフトウェア機能を前提に設計された,A当時の図書館の目録カード時代の検索機能等の電算化移行を中心にしたなど,時代の制約の中で作られたものです。この為,本学において特に文系学部が増えてくるなかで,教職員始め学生の利用者から多くの改善要望が寄せられています。その最も大きな要望点は,「検索の多様化の提供」です。
利用者にとっては,いつも書名や著者がはっきりしている場合ばかりとは限りません。知り得た,ある不確かな情報を手掛りに目的とする本を探さなければならない場合があります。調査や研究,授業で出された課題のために本を探す時は,こういう場合の方が多いかも知れません。このことをもう少し詳しく説明してみましょう。
例 | ||
叢書名 | 「文化人類学全集」第3巻 | |
総合書名 | 「市の人類学」 | |
編 者 | W.コーラン,マンフレッド・アイゲマン編 | |
書名と著者 | 「アメリカの市場」 | I.ヘルマン,M.スワン著 |
「中国の市」 | ディーン・ウッドリッジ著 | |
「市の発展」 | アーメン・キャメロ著 | |
訳者,解説者 | 「アメリカの市場」 | 信岡奈生訳,黒田悦子解説 |
「中国の市」 | 坂井彦一,世良昌則解説 | |
「市の発展」 | 高橋勝義訳,木村二郎解説 | |
分類番号 | 389.08 |
よくある翻訳書の例です。文化人類学全集の第3巻目の図書で,3つの著作が収録されています。この場合,現在のシステムでは検索して求める本に関する情報が得られるのは,次の6つの場合のみです。
@ 叢書のヨミ | 『ブンカジンルイガクゼンシュウ』 |
『ブンカジンルイ*』 | |
A 第一編者の原綴 | 『CORCORAN』 |
『CORCO*』 | |
B 叢書の分類 | 『389.08』 |
『389*』 |
現在のシステムでは,このように3種6件しかヒットしません。しかし利用者にとっては,自分が持っている断片的な情報を基に検索をすることが多々あります。『文化人類学全集』,『中国の市場』等叢書名や書名を,また『信岡奈生』,『奈生』とか『黒田*』のように訳者や解説者の漢字で検索出来ればやはり楽です。利用者からすると検索してもヒットしない図書は「ない本」となります。ヒットしないと利用者は「資料がなかった」と失望して帰っていくのです。こうして多くの貴重な資料が利用されず書庫に眠ってしまうことになります。この例の場合,単純検索の場合だけでヒットしない場合が,14種89件もあります。
また,洋書の場合ですと,単語の語尾変化があるわけですから,これにも対応出来るシステムであってほしいですし,『ON LINE』,『ON-LINE』,『ONLINE』もどれかひとつを入力すればどれもヒットしてほしいものです。さらに,「中国」と「文化人類学」,「市」に関係する図書を探索するように,高度な論理検索も是非出切るようになって欲しいものです。
こうした状況を解決し,より利用者の期待に応えられる図書館システムにしていくには現在のシステムの基本的な再構築が必要となります。
イ.よいシステムにはよいソフトが必要
まず,著者や書名などの固有の条件で検索するだけでなく,キーワードなどの特定の主題での検索が可能となればすばらしいことです。さらには,このような検索(一次検索とよびます)だけでなく,検索結果の集合の論理検索も期待される機能です。内容が次第に専門的なりますので,これ以上は触れませんが,これらの機能拡張や検索内容・方法の充実のためには,自己開発だけでは限界があります。RDB(リレーショナル・データベース)等の基本的ソフトウェアの導入を積極的に行っていく必要があります。これまではともすると,コンピュータというと機械の大きさ等ハードウェアの面が重視されがちでしたが,これからはよいソフトウェアをどう駆使していくかが,システム充実のための決め手となってきます。
ロ.効率的な検索にはデータの整備が不可欠
一方,システムがどんなによく構築されていても,図書データがしっかりと整備され蓄積されていなければ,検索結果は全て徒労に終わります。検索を行うには,その検索キーとなる検索語がデータとして作成されていなければなりません。一冊一冊の本の書名や著者等の項目毎に図書館員が,これらの検索語を作っているわけですが,手間と時間が非常にかかります。本は入っているのに,これらのデータが間に合わないため,検索できないことがあります。このようなことの解消のため,現在はマークと呼ばれる国立国会図書館や業者が作成する,コンピュータ用に作られたデータの活用を行っていますが,これをさらに「学術情報センター(図書館情報の全国センター)」のデータを直接自館のデータとしてそのまま利用出来るようにして,正確でかつ早く,検索項目の多いデータが活用出来るように,図書データの整備と充実を図っていかなければなりません。
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「読みたい雑誌ありませんか」
――希望雑誌アンケート調査の結果とお知らせ――
図書館(本館)では,図書館の拡張を機会に,軽雑誌類の見直し・充実をはかろうと,「読みたい雑誌ありませんか?」と題して,アンケート調査を実施しました。
御協力をいただいた皆さんに御礼申し上げます。
以下は,このアンケート調査の結果概要とこれをもとに4月より実施した軽雑誌類の見直し・充実のお知らせです。
アンケート調査の結果
もっと充実してほしい分野
期間中の有効回答総数は,176人でした。まず,今後より充実してほしい分野について(複数回答あり),回答数の多い順に集計をしてみますと,
1. | 音楽分野 | 65人 |
2. | 情報処理・コンピュータ分野 | 58人 |
3. | 教養・娯楽分野 | 55人 |
4. | Car & バイク分野 | 51人 |
5. | スポーツ分野 | 46人 |
6. | 語学分野 | 44人 |
7. | 旅行分野 | 38人 |
8. | その他 | 36人 |
9. | 時事・経済分野 | 22人 |
となりました。ここから浮かんでくる摂大生像は,「音楽は生活の一部となっており,Carとバイクが大好きで,スポーツも楽しんでいる」,一方,「いわゆるハイテク,コンピュータには充分な関心があり」,「語学にも色気を持ち」,さらに「(友人とのコミュニケーション等の為)教養・娯楽誌で話題を仕入れておく」,ということでしょうか。また,旅行に対する関心も高いようです。
なお,語学分野の内訳は,@英語関係 19人,A独語関係 7人,B中国語関係 6人,C仏語関係 4人,スペイン語関係 4人,Dインドネシア語関係 2人でした,
分野ごとの希望雑誌
次に分野ごとの希望雑誌を,得票の多かったものを中心に見てみましょう。
1.音楽分野
「ギターブック」,「FM Station」,「新譜ジャーナル」がベスト御三家でした。他には,ジャズあり,ポップス,クラシック,ニューミュージックありと,多種多様なジャンルの音楽雑誌が網羅されていました。音楽に対する嗜好の多様化現象でしょう。
2.情報処理・コンピュータ分野
「Oh PC!」,「The Basic」,「Oh X!」,「Oh FM」,「CAD/CAM」に人気が集まりました。日電,シャープ,富士通のパソコン御三家の人気の反映が見られました。また,パソコン時代の言語Basicの人気も高く,CAD/CAMに対する関心度も高いようです。
3.教養・娯楽分野
この分野は,もう一つの「9.その他」と合わせると,85人と高い得点がありましたが,希望の雑誌名は72誌にのぼりました。この中で比較的希望の多いのは,「情報誌ぴあ」,「Say」,「With」などでした。
4.Car & バイク関係
さすがに編集子の知らない誌名が続々と登場しています。その中でも,「オートバイ」,「カー&ドライブ」,「モーターサイクリスト」がベスト3でした。
5.スポーツ関係
空手,剣道,スキー,プロレス,野球,ラグビー,ウインドサーフィンetc.いやはや,いろんなジャンルのあったものです。
6.語学分野
この分野では,「百万人のビジネス英語」,「News Week(英語版)」,「中国語」などに人気が集まりました。
7.旅行分野
最後の旅行分野ですが,「世界の歩き方」,「旅と鉄道」,「エイビーロード」,「エアライン」などが人気が高いようです。
雑誌係より――充実のお知らせ
学生の皆さん,今回のアンケートへのご協力有難うございました。雑誌係では今回のアンケートの回答を,右の二つのグラフにまとめ次のような分析を行いました。
(1)「希望が多く,既存雑誌の利用率が高い分野」…雑誌の種数増加を要する。
(2)「希望が多く,既存雑誌の利用率が低い分野」…雑誌の種数増加,または内容の見直しを要する。
(3)「希望が少なく,既存雑誌の利用率が高い分野」…雑誌の種数・内容とも現状維持
(4)「希望が少なく,既存雑誌の利用率が低い分野」…一部雑誌の購入中止,または現状維持
と四種のパターンに分けられます。この四種のパターンの中にそれぞれの分野をあてはめると,
(1)には「コンピュータ関係」「Car & バイク関係」「スポーツ関係」
(2)には「音楽関係」「語学関係」「教養・娯楽関係」
(3)には「旅行関係」
(4)には「時事・経済関係」「その他」となります。
これらの結果から,希望の多いものについては次のように雑誌の増加を行いました。また,購入の中止を必要とするものについては,1回だけのアンケート結果でもあることから今後検討を続けることとし,当面は現状維持することにしました。ご了承ください。
まず「コンピュータ関係」では,『OH! PC』『The Basic』,「Car & バイク関係」は,『オートバイ』,「スポーツ関係」は,『週刊ベースボール』,「音楽関係」では,『ギターブック』『新譜ジャーナル』,「語学関係」では,『百万人のビジネス英語』,「教養・娯楽関係」では,『Big Tomorrow』『With』『Audio Video』『ザ・テレビジョン』を増加。「旅行関係」,「時事・経済関係」は,現状維持。
最後に,皆さんが希望している雑誌の中に現在図書室や,学術雑誌室に配架しているものが,幾つか見られました。これらの雑誌を次の紹介しておきますので,御利用下さい。
(*印のものは学術雑誌室に有ります)
『ログイン』『情報処理試験』『日経IBM』『*News Week英語版』『*中国語』『*Time英語版』『Number』『プレジデント』『歴史と人物』『カーグラフィック』『*Newton』『*オモニ』『*科学朝日』
なお,読みたい雑誌がありましたら,気軽に近くの図書館員に聞いて下さい。
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私 と 読 書
――図書館へのたより――
熟読と乱読のすすめ
工学部電気工学科 3年
河 口 啓 一
幸運にも読書に関する自説を投稿する機会を得られたので,僭越ながら率直に述べたいと思う。
まず初めに,出来る限り名著を読破して欲しいという事である。そのような書物を一回通読しただけでは所々理解出来ない箇所があるだろう。だが,"読書百遍意自ら通ず"でである。辞書を引きつつ何回も繰り返して熟読してみる。そうすると一つずつ意味暗黒不明な点に一筋の光が差し込んで来るように分かって来る(何時もそう旨くいくとは限らないが)。そういう努力によって"文章を解析する能力"つまり読解力が身につくのではないだろうか。
また同時に乱読もされたら如何であろうか。ジャンルを問わぬ読書法によって,あなたの知的好奇心は満たされる筈である。其の結果,本に対する審美眼(あなたにとって良書か悪書かを区別する事)が鍛えられ,何時も手元にないと不安になる本,つまり愛読書を探し当てる事が出来るのである。
さて,最近巷を賑わしているのに速読術というものがある。何しろあっという間に読めて,かつ内容も把握してしまうらしい。私は,ある種の書物・雑誌を除いて,この読書術をするべきではないと思う。例えば,哲学書のような難解な書物を本質的に捉える事は不可能であるからだ。小説もまた然りである。登場人物の性格,心情とそれらの移り変わり,意味深長な科白等を理解する為には,読者が登場人物と一心同体となって読み進めていくのが,小説を読む楽しみ方なのではないだろうか。しかし,新聞・一般教養書等のように情報や知識を得る上では,速読術は有効な手段となるであろう。
最後に青二才である私に,投稿して下さいと勧めて下さった図書館員の方に,心から御礼を申し上げる次第である。
本を読むこと
国際言語文化学部 3年
松 元 聖 子
先週,父と母がお茶をすすり。テレビを観ながら,こんな話をしていました。
「学生の頃は,よく無茶苦茶をやって本当に勉強なんかしよらんかったなぁー」(父)
「そうですねェーでも私は本をよく読みましたよ………それもツルゲーネフの『初恋』とか『風と共に去りぬ』とか……あの頃は授業中に先生の目を盗んでまで読み続けましたもんね」
そんな話をしている両親のかたわらで私は,"今年はどんなコートを買おうかしら"とファッション雑誌をめくっていました。父いわく私の態度を見て,
「最近の子供は本を読まんなぁー,マンガや雑誌ばっかりで,本を読んで心から素直に感激できる時期ゆーたら,せいぜいおまえ(私)ぐらいの年齢までやぞ!! 父さんらぐらいの歳になると,知識にはなるかもしれんが,本自身に溶け込むことは,もうできん。まだ頭のやわらかいうちに,ええ本をぎょーさん読んでおけ」
私は少しカチンときたものの,父の意見をよく理解することができました。
確かに自分自身,何度か本に接して感動を覚えたことがあります。またその感動が,精神的にも肉体的にも,気持ちの上で何らかの影響を及ぼし成長を遂げているのは事実なのです。
最近の私は,本を読むという行動から少し遠ざかっています。読みたいと衝動にかられるような本に,まだ出会っていないからです。
私が本を選ぶ基準というのは,まず,題名とおおまかなあらすじを読むことから始まります。しかし,このような基準を定めてから,感動を覚える本の数が減ってきました。本に対して何らかの先入観のようなものが自分の中で出来上がってしまったのでしょうか?
本を読むこと,感動を覚えること,もっと自分自身を高める意味でも,素直な見方ができるようになりたいなと思います。
僕の図書館利用法
薬学部衛生薬学科 3年
田 中 豊
僕が図書館を利用するときは,報告書を作成するための糸口を求めるため,というのが,1年次時代の利用方法でした。このときは,寝屋川本館のみならず,枚方分館まで出向いていくということまでしました。2年次になってからは何気なしに気軽に利用しています。それもそのはずです。というのは,枚方分館は,教室の延長線上にあること。また,ここでよく友達や先輩に会うことができるということも気軽に利用できる理由の一つでしょう。
図書館は,報告書を作成するためだけのところではない,ということが,2年次になって分かってきたのです。また,新聞や雑誌も置いてあって,気軽に読むことができるし,これらには,常に最新の情報が備わっているということも見逃せません。僕がよく読む雑誌は,FM番組表とJRの時刻表ですが,これらがいつも読めるというだけでも自然と足が向いていくのです。
話は変わりますが,春休み中にこの図書館で,Arbeitができたということは,非常に嬉しいことだと思います。この内容は棚卸しですが,本をひとつひとつCheckすることにより,どの本がどこにあるか,ということがよく分かるし,賃金ももらえるし,図書館の職員の方々とも親しくなれるので,一石二鳥どころか,一石三鳥ぐらいの感じです。これからもこのArbeit等をきっかけにもっと図書館と親しくなっていきたいと思います。
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PAPERBACKコーナーが誕生!
本紙第11号巻頭に,機械工学科の明石一教授に『国際化のための多読』と題する巻頭文をいただきました。先生はその中で「学生諸君はせめて英語を自分のものとし,世界の情報を翻訳のみに頼らず,直接英語で吸収できるようになってほしい」,そのために「"多読"法をすすめたい」し,「平易な英語を,………文章のリズムや流れによって大意を感じとることができるように……」と述べておられました。
図書館では,こうした主旨の環境整備としてPAPERBACKコーナーを新設しました。先生の紹介にもあったクリスティーの古典などミステリーや最近のアーチャー,フォーサイスから始まって,ここ数年のヒット映画の原作など様々です。
「新しい世界への扉」,一度手に取って見ませんか。
ワープロファイルの上位互換について
図書館では現在,東芝のルポ「50FU」,「70FU」,「90F」の3機種を提供しています。数字が大きいほど最新機種であり,機能も拡張されています(通常,これを上位機種と読んでいます)。
さて,旧型の機種で作った文章やデータは,より上位の機種で読み込み,使用することが可能です。ワープロ操作になれた人は,より上位の機種を試してください。操作性の向上と拡張機能にきっと満足するはずです。
なお,ファイルの上位互換の実行は,それぞれの機種の『補助』機能を使用します。詳しくは,個々のマニュアルを参照してください。
ちなみに,ワープロに初めて取り組む人は,基本機能のみの「50FU」が一番いいかもしれませんが・・・…。
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希望図書購入制度に新しい仲間が……
――図書館よりお知らせ――
「読みたいときが,ほしいとき!」希望図書購入制度も新しい弟が誕生しました。イキのいい奴(やつ)です。希望の本をリクエストしてから約3時間程度で借り出せます。昼食前にリクエストすると,夕方には本は君の手元にあります。
もう申し込んでから何日もまちつづけて,いざ使用できるときには興味も失せていた,などということにはなりません(もっとも思いつきのリクエストばかりでも少し困るのですが……)。
「速図(はやと)くん」と読んでください。もう,君を待たせることはありません。
次の条件を満たす本なら,6階(普通図書室),5階(参考図書室)のカウンターにあるリクエスト用紙に記入するだけです。君は何の本をリクエストしますか?
・実際の本が厚生会寝屋川給品部にある本
・単行本(雑誌は除きます)に限ります
たったこれだけのことです。
さあ,文芸派もパソコン少年も推理小説マニアも駆け込みレポート族もみんなで「速図(はやと)くん」に集合! 全集合!
なお,従来の希望図書購入制度も引き続き実施していますので,あわせて利用ください。
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