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書名と中味の相関性

経営情報学部経営環境情報学科 教授
岡田  定

 書物や文献を探すとき、どうやら無意識のうちに3つの方向からアプローチをしているようである。その第一は、著者に魅力を感じるかどうかによる。この先生の著書なら読んでみたいと思うこともあれば、逆に一度失望したことがあるといくらよさそうな書評をみても読む気にならないこともある。第二は、本の題名や内容紹介からの判断である。そして第三は、だれかに相談をかけて教えてもらうという方法である。
 どのアプローチをとるにしろ、図書館か書店で現物を手にして判断するのが一番いいことはわかっている。しかし、新刊の学術書となると、どちらにもまだ現物がないことがある。といっても、授業担当科目や研究テーマに関係した題名の広告をみるとつい食指が動く。このようなケースで著者にもよく知らないときは、つい題名と内容紹介に記されたわずかな情報だけに頼って求めることになる。
 もっとも、本の題名、特に副題は著書の内容を的確に表現していることが多いため、それだけで判断して求めた本でも大方の場合うまく当ててきた。ただ、一度だけひどく失望したことがある。あえて書名を記さないことにするが、題名や紹介には情報技術、情報戦略、情報管理、システム評価といった筆者にとって最も関心のあるキーワードが並んでいた。しかし、届いた本を開いてみると、確かに目次にはお目当てのキーワードが数多く見受けられたものの、大部分はどこかで読んだ覚えがあるような内容で、何の新規性を見いだすこともできなかった。よく調べないで求めた自分に責任がありながら、勝手に被害者意識をもった覚えがある。
 ところが、今度は自分が加害者になる可能性が出てきた。私ごとで恐縮であるが、昨年の末、大阪大学経済学部の真田英彦教授に監修をいただいて、共立出版から「効果のみえる情報システム――経営戦略としての有効性――」という著書を刊行することができた。最初に考えたこの本の題名は、「情報システムの有効性評価」というものであったが、出版社から注文がついた。すなわち、これは副題の雰囲気で、メインタイトルとしてはアッピールするものがないという趣旨であった。そこで、監修者もわずらわせて相談の結果、上記のような書名に落ち着いた。自分ではうまく内容を表現したものだと気に入っているが、何とか羊頭狗肉のそしりだけは受けたくないと念じているところである。
効果のみえる情報システム」請求記号336.17 0

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光 通 信
――昨日、今日、明日――

工学部電気工学科 教授
末田  正

 最近の新聞には、毎日のようにマルティメディアに関する記事が見受けられ、また、それを支える基盤として光ファイバ網の敷設計画も発表されている。2010年までには、各家庭にまで光ファイバが引かれ、さまざまなサービスが受けられるようになるという。
 しかし、光通信は、意外に早い時期に、しかも本格的に用いられていた。その顕著な例は、古代の中国における「のろし(烽火、狼煙)」通信路であろう。のろしは、一見、原始的な、単純な通信手段であるが、中国では、数千キロメートルにも及ぶ通信路が整備され、運営規則も定められ、西方からの侵略の情報が、1日程度で都に伝えられていたということである。李白の詩や、吉川英治の「三国志」にも、のろしの話が出ている。また、瀧川博士の書かれた「上代烽燧考」(史学雑誌、第61編)にも詳しい記述がある。さらに、井上靖の「異国の星」には、著者が訪ねた玉門関知覚の烽台址のことが書かれている。日本でも、天智天皇時代に、唐と新羅の連合軍の侵攻に備えて、本格的なのろし通信路が対馬と大和の間に作られたそうである。
 西洋でも、のろし通信は利用されていたが、17世紀になって、いわゆる腕木通信(Semaphore)が、フランスのC. Chappeによって考え出された。これは、大型の手旗信号のようなもので、5メートルほどの垂直棒に横木をつけ、さらに、その両側に腕をつけたもので、機械仕掛けでいろいろなパターンを作って信号を伝えた。ナポレオンもこのシステムをよく使ったそうである。1840年ごろの全盛期には、フランスだけでも5千キロメートルの通信網があり、他にもヨーロッパ各地に伸びていた(大越孝敬著「光通信」岩波新書)。しかし、腕木通信は、その後発明された電信にとって変わられ、続いて登場した電話の成功もあって、長い電気通信の時代が始まった。
 A. G. Bellが電話を発明したことはよく知られているが、彼はその後数年経った1880年に光線電話(Photophone)を発表した。これは、普通の電話のように電線を使わないのが特長で、送信する光の強さを音声の強弱に応じて変え、これを反射鏡で集光し光検波器とレシーバーでもとの音声にするものである。光線電話は、光検波に当時の先端技術である光導電効果を使うなど興味深いものであるが、広く実用されるに至らなかった。無線電話と異なり、傍受され難いという特長があり、大戦中には各国で軍事用として検討された。
 1970年に伝送損失が従来のものに比べて格段に少ない光ファイバが作られ、また、同じ年に、実用に適した半導体レーザの構造が見いだされ、ファイバを用いた光通信技術が一挙に注目され、1980年代に入ると早くも実用化されることとなった。光ファイバは、軽く、細く、曲げ易く、低損失であるという特長があり、しかも、潜在的に、極めて高い情報伝送能力を持っており、これまで専ら電気に依存していた通信技術に革命をもたらすことになった。通信路の伝送容量は、毎秒あたり送ることのできるビット数で表されるが、ディジタル化された電話(64キロビット毎秒)の回線数に換算されることも多い。例えば、1985年に完成したNTTの日本縦貫ルートの伝送容量は、一対のファイバあたり400メガビット(4億ビット)毎秒、あるいは電話に換算して5760チャネルである。
 現在、光ファイバ通信は、上述のような長距離幹線のほか、市内局間のような近距離幹線、工場内、ビル内を結ぶローカルエリアネットワーク(LAN)、ケーブルビジョン(CATV)などに幅広く使われている。中でも興味あるのは、大洋横断光海底ケーブルであろう。例えば、太平洋横断の海底ケーブルとしては、従来、同軸ケーブルが用いられており、電話換算の回線数は1000チャネルに過ぎなかった。そのため、専ら衛星通信が利用され、返答がくるのに時間がかかって苛々するのが常であった。しかし、1989年に最初の太平洋横断光海底ケーブルシステム(7560チャネル)が、さらに1992年には2番目のシステム(15120チャネル)が開通し、国際電話は大いに改善された。1995年には画期的に高性能のシステム(約12万チャネル)が完成する予定になっている。途中で、何回か増幅するにしても、あの細いファイバを通って電話数万チャネル分の情報が数千キロメートルにわたって伝送されるのは驚異的というほかない。
 将来の光通信にはどんな夢があるのだろうか。まず大容量化が考えられる。現在の技術で、1本のファイバあたり10ギガビット(100億ビット)毎秒の情報伝送は可能であるが、当面これを10倍にすることが考えられる。しかし、光の持つ潜在能力には未だ余裕があり、100倍、すなわち1テラビット(1兆ビット)毎秒も夢ではないだろう。これは電話に換算してもぴんとこないほどの大容量である。難しいことばに言い換えれば、ギガビット技術からテラビット技術への発展が期待されているといえる。
 次に連日報道されているように、マルティメディアに関連して、大容量(150メガビット毎秒)光ファイバ網をオフィスだけでなく家庭にまで広げようとする計画がある。すでに述べたように、2010年という目標も一応設定されている。このような大容量伝送システムが普及すると、多種多様なサービスが可能になる。新世代通信網実験協議会(BBCC)では、関西文化学術研究都市を中心として、このようなシステムの利用に関する研究を行っている。実験内容には、電子図書館、大型ハイビジョンテレビ会議、高速LANなどが含まれている。
 「のろし」の昔にかえるわけではないが、ファイバを使わず光の空間伝送を利用することも注目される。光の波長は電波に比べてたいへん短く、小型のアンテナで鋭い指向性が得られるという利点がある。空気の乱れ、雨、霧などによって、普通の地上通信には不向きであるが、そのような心配のない宇宙空間での応用が期待され、数万キロメートルはなれた衛星間の通信への適用も考えられている。もちろん、屋内での多様な応用にも興味がもたれる。
 一方、光と電波の複合システムも将来性が注目されている。その一例は、マイクロ波やミリ波信号を直接ケーブルによって伝送するのではなく、これらの信号をいったん光に載せ、低損失の光ファイバで目的地へ送り、そこで再び元の信号に戻す方法である。これを利用して、腕時計程度の大きさの移動電話機で用が足りるマイクロセルラー電話方式も提案されている。
 光を利用した通信技術は、数千年前から使われてきたが、光ファイバの出現によっていま花盛りを迎えようとしている。このような高度な通信技術によって、どんな情報を得ようとするのか、これは利用者であるわれわれの問題であろう。
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NACSIS-IRを使って文献情報を!

1.はじめに
 NACSIS-IR(ナクシス・アイアール)は、学術情報センター(NACSIS)が提供するオンライン情報検索システムです。このシステムは、学術研究情報を迅速かつ的確に研究者に提供できることを目的としており、利用できるデータベースは、1994年4月現在47種類あります(別表参照)。このシステムを利用することにより、人文・社会・自然科学等の全分野にわたり、多くの情報を得ることができます。

2.NACSIS-IRで得られる情報
 NACSIS-IRで検索することができる主な情報は、次のようなものです。
(1) 学術雑誌等に掲載された国内外の研究者の論文および学会や会議等で発表された研究成果
(2) 図書や雑誌の諸氏情報およびそれらの所蔵情報
(3) 国内の研究者のプロフィール
(4) 現行法令
(5) 科学研究費補助金研究成果
(6) わが国の大学で授与された博士学位論文
 この他にもデータベースを適切に選択することにより、非常に多くの情報が得られます。

3.NACSIS-IRのデータベースの特徴
(1) 一般商業ベースで得がたいデータベース
 学術情報センターでは、文部省、大学、助成団体、学協会等と連携してユニークなデータベースの構築に努めています。特に、一般商業ベースで得られないような学術情報に関するデータベースが多く含まれている点に大きな特徴があります。次に代表的な例をあげます。
・ 科学研究費補助金研究成果概要データベース
・ 民間助成研究成果概要データベース
・ 学位論文索引データベース
・ 研究者ディレクトリ
・ データベースディレクトリ
(2) 全文データベースの増加
 従来、文献データベースに関しては文献目録・索引・抄録が主体でしたが、学術情報センターでは、1987年以来、学術文献の全文データベースの構築に取り組んでいます。全文データベースの例としては、学術論文データベース 第一系:電子、第二系:化学、第五系:理学などがあげられます。これらには、わが国の学会が刊行する学術雑誌に掲載されている論文が収録されています。この他にも現行法令データベース、臨床症例データベースなどがあります。
(3) NACSIS-IR練習データベース
 検索練習用に各種データベースの一部を抜き出したもので、利用料金は無料です。

4.利用者資格
 NACSIS-IRを利用できる人は、本学では、教員、大学院生および図書館員です。利用料金は無料です。

5.利用時間
 利用時間は次のとおりです。
月曜日〜金曜日 9:00〜翌日2:00
土曜日 9:00〜14:00
日曜・祝日・年末年始は利用できません。

6.利用料金
 利用料金には経費区分Aと経費区分Bがあり、Aはデータベースに接続している時間に対して50円/分、検索結果を端末に出力した件数に対して13円/件です。Bはデータベースを呼び出す回数に対して30円/回です(詳しくは別表参照)。このシステムを図書館で利用する場合、Aのデータベースの利用料金は、学部または個人負担になりますが、Bの利用料金は図書館で負担します。

7.NACSIS-IRの接続方法
 学術情報センターに接続する方法は、大きく分けて2種類あります。図に示すように、ひとつは研究室や図書館のパソコン等の端末から公衆電話回線を利用して、直接、学術情報センターに接続する(ケース1)か、または学術情報ネットワークのアクセスポイントから、同様に接続する(ケース2)方法です。もうひとつは、大型計算機センター、総合情報処理センターなどを経由して学術情報センターに接続する(ケース3、4)方法です。

8.NACSIS-IRとJOISの相互接続ゲートウェイサービス
 学術情報センターと日本科学技術情報センター(JICST)は、NACSIS-IRとJOISのそれぞれのデータベースをオンラインで相互に提供するゲートウェイを実施しています。この相互接続は、1993年11月よりサービスが開始されました。これによりNACSIS-IRに搭載されているデータベースは、JICSTネットワーク経由でJOISの一般利用者も利用できるようになりました。また、JOISに搭載されているデータベースは、学術情報ネットワーク経由で利用することができます。このゲートウェイサービスにより、NACSISおよびJICSTが所有するそれぞれのデータベースを、相手方の利用者が相互に利用することにより、学術情報の流通が促進され、ひいては学術研究の発展につながるものと期待されます。

9.おわりに
 以上、NACSIS-IRについておおまかに紹介しました。このシステムの最大の特徴は、商業ベース、例えばDIALOGやSTNなどでは得られないような学術情報が入手できることです。もちろん、海外機関等が作成したデータベース、例えばLife Science Collection、EMBASE、SciSearchなども利用できます。研究者や大学院生には、このシステムを有効に活用して研究に役立てていただきたいと思っています。本学の図書館(本館・分館)では、いつでもNACSIS-IRを利用できますので、一度図書館に来て検索を行ってください。こんなに便利なのだから、研究室から利用できるようにしようという気持ちをもっていただければ幸いです。
 なお、実際の使用にあたっては、各種コマンドの使い方、検索語がどの項目中にあるかを指定するために使用するプリフィックスの問題、検索結果の表示の仕方など、データベースにより異なる場合がありますので、電気・電子情報学術振興財団発行の「NACSIS-IR総合マニュアル(改訂版)」等を参考にしてください。これらの参考書は図書館にも備えてあります。また、NACSIS-IRの講習会も定期的に開催されています。NACSIS-IRの有効利用により、今後の研究活動が一層活発になりますよう期待しています。
(枚方分館 熊懐節子)
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マドリード国立図書館


国際言語文化学部 助教授
稲本 健二

 マドリード・バラハス空港からバスで市内に向かうと終着地点がコロンブス広場にあたる。地下のバス・ターミナルから地上へ出て、照りつける太陽に目を細めながら、はるかアメリカ大陸を指さすコロンブス像を仰ぎ見る。すると南側に威風堂々とした建物が目に入るだろう。それがマドリード国立図書館である。蔵書の質・量ともに他の追随を許さぬスペイン最大の図書館であり、ヨーロッパ屈指の図書館のひとつでもある。飾り気はないが、落ち着いた雰囲気に気品が漂う。日曜日を除くウィークデイには、一般の利用者はもとより大学院生や研究者までもが日参する。まさに知の宝庫そのものなのである。
 マドリード国立図書館は1712年に国王フェリペ5世が王宮の近くに創設した王立図書館をその前身とする。歴代の国王が集めた8千冊の蔵書を基にした王立図書館が、名前も新たに現在のレコレートス通り20番地に移ってからでも、すでに1世紀経つ。その間に蔵書数も100万冊を超した。なかでも2千もの中世の写本、2万3千の手稿、インキュナブラと呼ばれる搖籃期活字印刷本を含む稀覯本コレクションなどが文化遺産として計り知れない価値を有する重要文献である。しかしながら、貴重な資料は貴重であればあるほど取り扱ううえで神経質にならざるを得ない。それに実際の問題として、空調設備など保存維持にかかる費用も莫大な額に達する。ごく限られた一部の専門家にしか閲覧を許さないという一般公開を阻む姿勢がこれまで何度も批判の的になっていたことは事実である。しかし10年もの歳月を費やした改築工事も最終段階に入り、コンピュータをはじめとする最新機器の導入に加えて、92年には利用者規定も大幅に改訂された。かくしてより開かれた学問研究の場へと変貌を遂げた現在のマドリード国立図書館を以下に簡単に紹介しよう。
 まず、登録手続きをとると閲覧カードが発行される。このカードさえあれば、一般閲覧室と文献情報室は誰でも利用できる。古文書のような特別セクションの利用は研究者に限られているが、身分証明と研究テーマを提出するだけで問題はない。それに大学院生も研究者と同じ立場で利用できる。文献情報室には大型コンピュータの端末が30台ほど設置されており、検索も一瞬にして終わる。ただし、まだ蔵書すべてのデータがインプットされていないので、文献カードでの検索も併用している。文献資料について不明なことがあれば、各部署に待機している司書にいつでも聞けばいい。懇切丁寧に教えてくれる。古文書セクションでは閲覧請求した文献はカウンターまで取りに行かなくても、こちらの机まで持ってきてくれる。もちろん、文献複写サービスも完備している。ただ、困ることがひとつだけある。閲覧請求してから文献を手にするまでに時間がかかりすぎることだ。図書館の体質が改善されても、スペイン人ののんびりとした性格は相変わらずのようである。
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利 用 者 の 声

情報中毒患者の自分流カルテ

工学部土木工学科 4年
中野 佳宏

 図書館に来てたくさんの新聞を読むようになった。以後、学生生活が新聞を中心に回りました。日本語の新聞は、記事の内容ばかりか紙面の構成まで談合されたような新聞がほとんどだから、精読する記事、しない記事のバラツキはあるが、眼球はスムーズに動く。似た内容にもかかわらず、私のように何紙も読む人が多いから、読者に負担をかけさせない効率性が窺える。同質性が高いとはいえ、各社の伝統・理念などにより報道姿勢や解説・論評に差があることも事実である。それがまた、読んでいて面白いのである。
 革新系政党と思想的距離が近い朝日から読み始め、毎日、読売と続き、保守的な内容が見受けられる産経を読んで終わる。新聞の読み方は、大きな扱いの記事をチェックした後、木鐸として社会の一歩先を歩く社説を読むようにしている。その後、国民がどんなことを考えているかを知るために、読者投稿欄に目を向ける。意外と手薄になっている箇所なのである。
 次に専門家の書いた囲み記事を見ていく。現在、何が起こっているかばかりに関心が集中して、将来的にどうしたらいいのかというビジョンを見失いがちになるのである。囲み記事から、そのあたりを見つけようというわけだ。役立つ記事(表や地図やデータ)が載っていたらコピーして必要な所だけをビリビリと破いて、そのまま手帖に挟んでしまう。
 こういう風に書くと、まさしく自分は情報中毒だなと実感する。こうして情報洪水に埋もれている人間にとって、一番気をつけなきゃならないことは、自分自身の考え方のスタンスを見失わないことではないだろうか。
 自分にとって何が大切なのかを見失ったとき、情報に振り回されるような気がする。

図書館と私

薬学部薬学科 4年
杉江 陽子

 私にとって図書館は、かなり自由な空間である。行きたいときに利用して、ひとしきり楽しんで外に出る。例えば、気分が沈んでいるときやイライラしているときなどは音楽を聴いてリラックスする。疲れているとき、身体の調子が悪いときなどは、ゆっくり窓の外を眺めたり、休んでいたりする。また、時間と気持ちにゆとりのあるときなどは、書架を見て回り、気に入った本を手にするし、雑誌など広げてみたりする。備えつけのワープロをなれない調子で打って練習したこともあった。無論、いつもいつもそんな具合に利用していたわけではなく、自分の知識だけでは賄いきれない部分を埋めるのに必死になって、書架をにらんでいたこともあるし、やり残したレポートやテスト勉強を、一心不乱にしていたこともあった。4年生になってからは、少し足が遠のいてはいるが、時々、図書館に行っては、みんなが勉強しているのを見て、懐かしく思うと同時に私も頑張らねば、と思う。枚方分館に関して言えば、今までは鞄の持ち込みができなかったので何か忘れ物をしたときなどは不便だったが、閲覧室が新設され、鞄も図書も持ち込めるスペースができた、私の新しい利用法ができそうだ。空き時間などの勉強机という利用法である。
 図書館は、私にとってくつろいだ空間だ。それは多分、私が本を読むためだけに行っているのではないからだと思う。図書館に行けば本を読まなければならない、という観念に迫られれば、自然と足が遠のいてしまう。しかし、そういった思いがないので、気軽に行く。そして、頑張られねば、とやる気をもらって帰る。私の図書館利用法は、特殊かもしれないが、精神的に得るところが大きいので、私は気に入っている。

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留学生からのひとこと

図書館へのメッセージ

経営情報学部経営情報学科 4年
李  孝聖

 「静かな図書館、何人かの学生が見える。そして、私は、誰のいない窓側のある席に座る」
 私はいつも、天気のよい日、図書館の陽射しが入る窓際に座るのが好きだった。暖かく包んでくれるような、そして、心地好い椅子は居眠りを許してくれるよい場所でもあった。
 この図書館は、私が4年間の留学生活で、何を考え、何を悩み、どんなことで喜んだかを、ほんの少し知っているような気がする。しかし、残念なことに、この大学の図書館は交通の不便さのせいか6時に閉まるのである。他の図書館で、学生のほとんどが遅くまで勉強したことがあると思うが、図書館を出たとき、星空を眺めると今までの疲れが飛んでいくような快感を味わうことができたであろう。しかし、私は摂南大学で、その思い出を残すことはできなかった。いつかは他の図書館のように遅くまで一生懸命勉強する学生でいっぱいになることを願いたい。
また、これから図書館を利用する学生たちはこの図書館をもっと大切にするべきだと思う。試験のときだけでなく、普段からも利用してほしい。学生たちが図書館を利用すればするほど、図書館の本は増え、雰囲気もよくなるのではいかと思う。
 最後に一言。"図書館で大きな声で話すのはやめましょう。図書館は人がいてもいなくても常に静かであるべきだから"
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創刊10周年、40号発行に際して

 本紙「学而」は1984年10月に創刊されました。この年は、本学図書館が学園図書館の分館という位置づけから、「摂南大学図書館」として組織上独立した年で、初代館長には、布目潮ふう先生が就任されました。そういう意味で、今年度は「摂南大学図書館」開設10周年に相当するともいえ、本紙創刊10周年と合わせて、二重に記念すべき年であります。
 本紙の編集方針は、当初から、学生、教職員、館員の三者で紙面づくりをしていくというもので、今号までに学生80名、教職員176名という多数の方からご寄稿をいただいております。それらのなかには本学図書館に対する貴重なご意見も多数含まれており、また叱咤激励もありますが、われわれ図書館員がそれらをどれだけ業務に反映できたか心もとないかぎりです。
 しかし、館員一同、よりよい図書館を築いていくために絶えず努力しておりますので、今後とも一層のご協力をお願いします。
(図書課長 勘川捷治郎)
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