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試行錯誤しながら、急性期にある患者さんの命を支える力を身につける。

  • # 研究

稲垣 範子 准教授

  • 学部:看護学部 看護学科
  • 専門分野:急性期看護、クリティカルケア看護

重症患者とその家族、医療チームで一緒に「ベストな選択」を考える。

看護学にはさまざまな領域がありますが、私は急性期看護やクリティカルケア看護を専門にしています。「急性期」とは手術や外傷によって全身の状態が変化しやすい時期を指し、「クリティカルケア」とは急性期の中でも、特に大きな手術を受けたり救急搬送されたりするような重症の患者さんに対する医療・ケアを指します。私の研究テーマは、重症患者の意思決定を患者・家族と医療者が共同で行う「Shared Decision-Making(共同意思決定)」に焦点を当てています。

重症で自分の意思を伝えることが難しい患者さんに対して、看護師がどのように患者さんの気持ちをくみ取り、医師や家族と連携して最良の治療方針を決めていけるのか。集中治療室(ICU)で長く働いてきた経験をとおして、患者さんの身体の変化や治療への反応をリアルタイムで把握しながら、家族や医師と一緒に患者さんをサポートする看護師の存在がとても大切だと考えています。

バーチャル、高性能モデル人形、病院での実習へと段階的に実践力を身につける。

摂南大学の看護学部からは、規模が大きい急性期の総合病院へ就職するケースも多く、実習も地域の基幹病院や特定機能病院などで行っています。

授業では、講義やバーチャルシミュレーションをとおして、学生たちが実際の現場で役立つスキルを身につけるサポートをしています。まず「成人看護学援助論Ⅰ」の講義では、手術前の検査や準備、手術中・手術後に起こる身体の変化について学びます。「成人看護学援助論Ⅱ」では、手術を受ける患者さんの模擬カルテを読んで、術後に起こり得る問題を予測し、それに対する看護計画を立て、援助シミュレーションを実践します。パソコンを使ったバーチャルシミュレーションから始め、次に血圧などが測定できる高性能のモデル人形を使ったシミュレーション、そして患者役の教員・学生に対してのシミュレーションへと段階を踏んで体験を積み上げたうえで、実際の病院で患者さんに関われるようにしています。

こうしたシミュレーションで重要なことは「考えたことをやってみる」ということです。実際の患者さんを相手にするわけではないので、失敗することができる貴重な機会です。だからこそ怖がらずに、学んだ知識を使い、対象となる患者さんに応じていろいろなアプローチを試してほしいと思います。その結果を「振り返り」、何ができて、何が足りなかったのか、次はどうしたらいいかを考え、それを次のステップに生かすことが、自信や成長につながります。シミュレーションを経て、実際の病院での実習では手術を受ける患者さんに術前・術後をとおして関わりますが、その際の学びの深さも変わってくるはずです。

看護学には医療的な知識が欠かせませんが、人と向き合う力が必要な実践的な学問です。大学では、ただ勉強するだけではなく、さまざまなことへの挑戦をとおして自分の視野を広げ、自分や周りの人の心を動かすような経験を積み重ねてもらえたらと思います。

(取材内容は2024年9月時点のものです)

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