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2.動画を作る
大まかな手順は下のとおりですが、AとBについては一度設定を終えれば音源の条件やファイルの保存先に変更がないなら次回以降は不要です。
 @ワープロでのテキスト整形
 A音源の準備と音量の設定
 BWindows Media Encoderの設定
 Cデスクトップの撮影(画面と音声の取り込み)
2.1.ワープロでのテキスト整形(Wordの場合)
紙媒体の素材を引用するならテキストデータ化しておきます。Webページに掲載されているものを利用するならこれをワープロにコピーしますが、このとき「編集」メニューの「形式を選択して貼り付け」から「テキスト」形式を選択して貼りつけます。
大きなディスプレイ解像度で画面の取り込みを行うとプロセッサの処理能力によってはコマ落ちや音跳びが生じたり、再生のさいに画面の右端に空白部分が表示されるなどトラブルが生じる可能性があります。現在はPCのデスクトップを1024×768ピクセル以上で表示することが一般的ですが、画面の取り込み作業では面倒でも800×600ピクセルに設定することをおすすめします。したがってテキスト整形も取り込み時の解像度で行います。画面解像度の設定は、デスクトップの何もないところで右クリック→「プロパティー」→「設定」タブで行います。なお、800×600ピクセルの画面を取り込んで作った動画は、800×600ピクセルの画面にフルスクリーンで再生したとき最も美しく表示されます。

画面解像度の設定が終われば、次はWordでの環境設定です。PCで出力した映像信号をテレビモニタで表示するような場合ではかなり大きなサイズの文字でも判読しにくいものです。しかも画面は音に合わせて忙しく切り替わりますから教材文は判読しやすいレイアウトが求められます。そこでWordのウインドウをできるだけ広く使い、大きな字でもレイアウトしやすくしましょう。具体的には、「表示」メニューから「下書き表示」を選び、「ツール」→「オプション」→「表示」タブとたどって、「ウインドウ幅に合わせる」をオンにします。「ファイル」→「ページ設定」→「文字数と行数」タブでは「標準の文字数を使う」設定にしておきます。Wordでウインドウを最も広く使えるのは「表示」メニューの中にある「全画面表示」ですが、この状態では他のソフトとの連携がうまくいかないのでここでは使いません。そこでWordのウインドウを最大化し、「表示」→「ツールバー」の中に入っている各項目のチェックをすべてはずしてしまいます。「ルーラー」の表示もオフ。Windowsのほうでは「スタート」→「コントロールパネル」→「タスクバーと[スタートメニュー]」を開いて、「タスクバー」タブにある「タスクバーを自動的に隠す」をオンにしてください。これでウインドウ下部のタスクバーはマウスを持っていくまで非表示になり、デスクトップがより広く使えるようになります。

フォントについてですが、TVディスプレイで見せることを考えて、英文なら「Arial」や「Times New Roman」のような肉太のフォントがおすすめです。右の図はディスプレイ解像度800×600、フォントはArial46ポイント。統語上の切れ目や息つぎ箇所で改行を施してレイアウトを整えればPageDoun(ノート型PCでは「PgDn」と刻印されていることも)キーを使って一画面6行を上下のズレなく送ることができます。もし上下のずれが生じたり、一画面の行数を増減させたい場合は、「書式」→「フォント」で文字サイズを変えながら調整します。ツールバーを非表示にしているとフォントの変更が不便ですが、「Ctrl+D」のショートカットを使えばフォントの設定画面が表示できるので便利です。文字サイズはプルダウンメニューだけでなく、数値を直接入力することで微調整ができます。48でだめなら46で試すなど偶数の値でうまくいくことが多いようです。行数の調整は「ページ設定」の「行送り」でも可能ですがかえって面倒です。

次は教材文のレイアウトです。ここでの例のようにWebページからコピーした記事をWordに貼り付けるようなケースでは、「編集」→「形式を選択して貼り付け」→「テキスト」の手順をとってください。Wordは行内の英単語を均等配置するのが標準の仕様なので、単語間の間延びが気になる場合は行頭で改行操作をするとよいでしょう。その点でWindows標準のワードパッドは英文を行内で左寄せする仕様になっていますのでレイアウトが楽です。一枚の画面にセンテンスやフレーズが収まらない場合は適当なところで改行を入れて次画面にまわします。「PageDoun」キーでページ送りをして次の文の先頭が次画面が最上段から始まっていればよいのです。「Enter」キー、「PageDoun」キー、カーソルキーを使いながら作業します。「Enter」キーを画面の最下段で押すとそのページが上方へ一行分ずれて表示されてしまうので気をつけてください。最後までできたら文書の先頭から「PageDoun」キーで正しくページ送りができるかどうかを確認します。
2.2.音源の準備と音量の設定
パソコンのスピーカーから出力できる音なら任意の音源が利用できます。カセットテープや肉声などアナログ信号をマイク端子から入力する時にはパソコン内部で発生するノイズが混入しやすいものです。ノイズが気になる場合はサウンドプロセッサを使ってパソコン外部でアナログ→デジタル変換を行う方法をとってください。サウンドプロセッサについては、私は「EDIROL」の製品を愛用しています。「UA3-FX」あたりがコストパフォーマンスに優れているでしょう。
音量の設定はきわめて重要です。音源の音質をできるだけ保ったまま録音するには録音時での音量を適正に調節する必要があります。なによりここでの設定に誤りがあると音声なしの動画が作成されてしまうこともあります。
ボリュームコントロールの起動はタスクトレイのアイコン(スピーカのデザイン)から呼び出す方法、コントロールパネルから呼び出す方法、スタートメニューからたどる方法、どれでもかまいません。あとで触れますがWMEを起動中に音量の調整をしたい場合は、WMEメインパネル左下にある「ミキサー」ボタンからでもボリュームコントロールを呼び出せます。「ボリュームコントロール」(右図)では、アナログ信号をライン入力したりノートPCの内蔵マイクを使って肉声を録音する場合を除き、「ライン入力(Line)」や「マイク(Microphone)」をミュートにしておくことでノイズの混入を防ぐことができます。なお、表示したい項目が見あたらない場合は「オプション」メニューで表示することができます。

「録音コントロール」(右図)も「ボリュームコントロール」の「オプション」からたどることができます。ここで正しい項目が選択されていないと「無音動画」ができてしまいます。WindowsXPでは「モノラルミキサー」「ステレオミキサー」または「Wave Out Mix」(サウンドドライバによって呼称が異なる場合もあります)を選択しておけば問題ないでしょう。録音レベルはここで選択した項目のツマミをドラッグしながら行います。

作成された動画ファイルの音量はソース側の音量と録音コントロールでの調整によって決定されます。録音レベルが小さすぎると再生時にノイズが目立つことになりますが、逆に大きすぎると音が割れますのでやはり聴きづらくなります。「画面取り込み」の手順については後で述べますが、最初は試行錯誤を繰り返すことになるでしょう。ソース側の音量を一定にしておいて、録音コントロールで低音量から試作を始め、音割れが生じない程度にまで徐々に音量を上げて最適なポイントを見つかるまで試作を繰り返してください。録音レベルを最大まで上げても音量に不足を感じるならソース側の音量も上げてみてください。
2.3.「Windows Media Encoder(WME)」の設定
2.3.1.「Windows Media Encoder」とは
これは外部からPCに取り込んだ音声や映像、あるいはPCに保存してある音声または映像ファイルを「ウインドウズメディア」という形式のファイルにして保存するはたらきをする無償のソフトウエアです。ここではその機能の一つである「画面取り込み」を利用します。これによって、PCのスピーカから出ている音声とディスプレイ上に表示されている映像が「.wmv」という拡張子を持つ動画ファイルとして保存されます。
Windowsにはさまざまな種類のメディアを再生するためのソフトウエアとして「Windows Media Player」(以下「WMP」、最新バージョンは10)が標準でインストールされていますが、録音・録画をになうWMEのほうはMicrosoftのサイトからダウンロードする必要があります。

さて、うえのサイトからインストールプログラムを適当な場所にダウンロードすれば(右図)、あとはこれをダブルクリックするだけです。特に迷うことなくインストールは終わるでしょう。

2.3.2.WMEでの「画面の取り込み」設定
WME9を初めて起動すると、ウィザードが開始します。この作業は「セッション」を作成するものでです。ここでいう「セッション」とは入力ソースの種別や出力しようとしているファイルの名称や保存場所、音質、画質などに関する設定情報を含む一種のショートカットと考えておいてください。これをデスクトップなどに置いておくことで、目的にあわせて設定を施したWMEが瞬時に起動できます。ここで新規に作成したセッションはWMEを終了させるときに保存を促されますし、WMEのメインウインドウの「ファイル」メニューから保存することもできます。
@ウィザード最初のウインドウでは「画面の取り込み」を選択します。

A取り込む対象は「画面全体」を選択。「規定のオーディオデバイスからオーディオを取り込む」にチェックを入れます。

Bこれから作成する動画ファイルの保存場所とファイル名を入力します。「参照」ボタンを使ってデスクトップやマイドキュメントなどわかりやすいところを指定してください。ファイル名は任意です。

C出力ファイルの品質はあとでメインウインドウの「プロパティー」で詳細に設定することになりますが、ここではいちおう「高」を選んでおきます。

Dファイルを配布、配信することを前提としないならここに入力する必要はありません。ここで「完了」ボタンを押すとメインウインドウになります。

Eこれがメインウインドウ。設定はまだ終わっていません。メニューボタンの中にある「プロパティー」を出します。Dまでの設定が間違いなく行われているなら、新規に設定するのは「圧縮」タブだけですが、必要な項目はすべて確認しておきましょう。

Fこれは「ソース」タブ。「入力ソース」項のうち「ビデオ」が「画面取り込み」になっていること、「オーディオ」にチェックが入っていることを確認します。となりの「出力」タブを開いてウィザードで指定したファイルの保存場所とファイル名を確認しておいたほうがよいでしょう。

G「圧縮」タブでは出力ファイルの音質と画質を設定します。 一般には4つの項目を下のように設定することで最も美しい音と映像を得ることができます。「画面取り込み」モードでは、「ビットレート」は主に音質を左右します。CDやカセットテープを音源とするならここは最高値でよいでしょう。この値を低くすると、できあがった動画の音質が低下する可能性はありますがサイズを小さくすることができます。
■配信先:Windows Mediaサーバー(ストリーム配信)またはWebサーバー(プログレッシブダウンロード)
■ビデオ:画面の取り込み
■オーディオ:マルチビットレートオーディオまたはマルチチャンネルオーディオ
■ビットレート:314または469kbps

2.4.録画する
まずはデスクトップにWordを開き、教材文の先頭部分が表示されていることを確認します。次にWMEのウインドウをWordの上に重ねて開きます。音源がCDや音声ファイルならWMPやReal Playerなどのソフトプレイヤーで再生することになりますので、そのウインドウをWMEの上に重ねます。これで準備ができました。音声の再生をはじめたあと、ソフトプレイヤーのウインドウを最小化し、WMEの「エンコード開始」ボタンを押してください。これで録画が開始するとともにWMEのウインドウが最小化します。マウスポインタは邪魔ですので画面の端にでも移動させます。なお「Shift+Ctrl+E」のショートカットキーでも録画をはじめることができますので、マウスポインタを端に寄せておいたうえ、このショートカットキーを使って録画をはじめれば動画の冒頭にマウスポインタが写り込まずにすみます。

初回だけは右のようなメッセージが現れるので要注意。取り込みのタイミングを逃す原因になるので、「次回からこのメッセージを表示しない」にチェックを入れておきます。

あとは音声に合わせながら「PageDoun」キーでWord上のページを送ってゆきます。
音声の再生を開始してからWordのページ送りを開始するまでの手順を考えれば数秒の時間が必要です。音声の開始位置には若干の余裕を見ておいたほうがよいでしょう。またWMEのショートカットキーやWordのページ送りが効かない場合は、そのウインドウがアクティブになっているかどうかを確認してください。
「画面取り込み」ではCPUがフル稼働します。「取り込み時でのページ送りが重い」「できたがった動画の音と画面がずれる」症状はCPUパワーに問題があると考えられます。セキュリティー関連のソフトを一時的に停止することで改善することもありますが、CPUのクロック周波数が1GHz程度では力不足です。

2.5.録画を停止する
タスクバーで最小化しているWMEをクリックしてウインドウサイズを復元することで取り込みは一時停止します。このあたり、録画開始と同様にショートカットキーが使えればもっとスマートなのですが……

復元したメインウインドウの「停止」ボタンを押すことで「一時停止」から「停止」状態になります。これによって「エンコードの結果」が表示されます。この段階ですでに「.wmv」拡張子を持つウインドウズメディア形式の動画ファイルが指定された場所にできあがっています。ソース音源の再生を停止したうえ「出力ファイルの再生」ボタンを押せば作成したファイルがWMPで再生され、内容を確認することができます。ファイルを再生しながら音量や音質・画質、ページ送りのタイミングを確認します。不満を感じたら再度取り込みを試みます。音量はWMEメインウインドウの「ミキサー」で、音質・画質はプロパティーの「圧縮タブ」で調整します。ファイル名を変更しないまま2度目の取り込みを開始すると最初のファイルは上書きされます。最初のファイルを残しておきたい場合は「出力」タブでファイル名を変更してください。次へ




Last Update : 05/02/02
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