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ワープロde添削 1.Wordの「変更履歴」
ここではWordの「変更履歴」機能とフリーのPDF作成ソフトを組み合わせたメールによるレポート指導をご紹介します。イメージと手順はしたのとおり。
@学生はWordで作成したレポートをメールに添付して教師アドレスへ送付。
A教師はWord文書に添削を加えたあとそれをPDF文書に変換、学生に返送して清書を指示する。
B学生はコピーガードされたPDF文書を参照しながら元原稿に修正を加え、これを再提出する。
1.0.Wordの「変更履歴」機能
レポートや論文作成の指導では、学生が紙に書いて提出した原稿に教師が朱を入れたうえ対面での指導……これが理想的なのですが、就職活動に忙しい4年生や海外留学中のゼミ生についてはやはりメールに文書ファイルを添付してやり取りする指導が便利です。ただし、私の経験ではレポートの内容に関するアドバイスや修正の指示などを事細かにメール本文に記述するのは大変な手間でもあり、学生が教師の意図を十分把握してくれないこともまれではありません。そこで私はWordの「変更履歴」を利用することにしました。これは原稿の校正にあたって執筆者と編集者間の連絡によく利用される機能ですが、ゼミでのレポート添削指導でもたいへん重宝します。
1.1.「変更履歴」とは?
「変更履歴」機能はWord2000も搭載しますが、同2002以上では表示方法をカスタマイズできるなどより充実したものとなっています。この機能を使うにはまずWordメニューバーの「表示」→「変更履歴」または「表示」→「ツールバー」→「チェック/コメント」とたどります。これで「チェック/コメント」のツールバーが現れます。ここで諸設定を行います(下左図)。ツールバー上の「表示」をクリックして現れるメニューのうち「コメント」と「挿入と削除」にチェックが入っていることを確認します。フォントや文字サイズなどレイアウトを添削の対象としないなら「書式設定」のチェックははずしておいてよいでしょう。
次は「オプション」に入ります(上右図)。デフォルトの設定でもよいのですが、「挿入された箇所」は「下線」ではなく「色のみ」、「色」は赤あたりが見やすいと思います。これによって、原稿に書き加えられた文字は赤色で表示され、削除された文字は取消線を施した赤色で表示されることになります。「印刷およびWebレイアウト表示で吹き出しを使用する」のオン/オフは添削済み原稿の見栄えにかかわる設定ですが、添削終了後に変更することもできます。「ここに注を入れること」「この一文意味不明!」などといったコメントを入れる場合ならどうしても吹き出しを使うことになります。いっぽう削除と挿入だけからなる添削の場合、吹き出しによる表示では変更箇所が多くなるほど読みづらくなります。吹き出しをオフにしておいたほうがすっきりします。ほんらい変更履歴の表示方法はファイルを受け取る側でも自在に変更することができるのですが、ここではあとでWord文書をPDF化してから学生に送付するという手続きを取りますので、添削済み原稿の表示については教師側のさじ加減にかかってきます。
1.3.添削の方法
では実際に添削に取りかかってみます。「チェック/コメント」ツールバー上の「変更の履歴」ボタンを押します(あるいは「ツール」メニューに「変更履歴の記録」があるのでこれをオンにしても同じこと)。これ以降は何も特別な操作は必要ありません。添削作業の過程で削除や挿入など文書に加えられたあらゆる変更は記録され、その全ての履歴が文書上に表示されます。
コメントを入れる場合は「チェック/コメント」ツールバー上の「新しいコメント」ボタンを使います。コメントを吹き出しで表示するには文書の表示方法を「表示」メニューで「印刷レイアウト」にしておく必要があります。添削が終わったあとで通して読み返す場合に変更箇所が多いと読みづらいものです。Wordメニューバーの「表示」の中にある「変更履歴」のアイコンが押下した状態になっているはずですので、これをクリックしてオフにすると文書上のすべての変更履歴が非表示になります。もちろん記録された履歴がクリアされたわけではありませんから、さきほどの「変更履歴」アイコンをオンにもどせば変更履歴を再度表示することができます。下の例はゼミ生が卒研に使用する中国語文献の日訳(上)と私がそれを添削したもの(下)です。
























したは吹き出しを表示した状態です。




このように
「変更履歴」とは記録された変更情報を文書上の該当する箇所にわかりやすく表示する機能といえましょう。この機能はほんらい文書の校正や回覧におけるコメントの挿入を想定しているのでしょう、「チェック/コメント」ツールバーには、版の管理や、変更箇所の検索、変更の削除と承諾、変更履歴の別ウインドウ表示などのボタンが並んでおり、たいへん多機能なツールだということがわかります。ただし、すでに述べたとおり「変更履歴」の表示をオフにすればそれだけで添削済みの文書、つまり完成品となります。苦労して添削した原稿はやはり学生に清書させたいところですが、Word文書をそのまま渡してしまっては完成原稿を渡しているようなもので、コメントや添削箇所のチェックは当人の意欲と良心に任されてしまうことになります。これでは教育効果にいささか不安が残ります。変更履歴を表示した状態は印刷することもできますので、用紙に印刷したものを学生に渡すのもひとつの方法です。ただし手渡しや郵送についやす時間や手間を考えれば必ずしも効率のよい方法とはいえません。次ページへ


Last Update : 05/02/02
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