中谷 尊史 講師

学士:摂南大・薬
修士:摂南大・院・薬
博士:摂南大・院・薬
現職:摂南大・薬
植物生薬や動物(特に昆虫)生薬の成分研究
今日まで膨大な数の天然物より新たな医薬品の開発素材の探索ならびに伝承薬物の薬効本体の解明に向けた研究が世界中で活発に展開されています。このうち動物生薬は、分離法の未確立、原料入手の困難さなどから、その成分精査は極めて立ち遅れた状況にあります。
そこで我々は、動物生薬 ―特に昆虫を基原とする生薬― を対象とし、新たな医薬素材の探索研究を遂行しています。
ローヤルゼリーの成分研究
ミツバチは、女王バチ、働きバチおよび雄バチから構成された高度な階級社会を形成しています。この階級制度を制御する物質として女王バチから分泌されるフェロモンが有名であり、その正体は 9-オキソデセン酸(女王物質)をはじめとする多数の制御物質の混合物だと考えられています。しかしながら、女王バチが希少であることや、フェロモン自体が極微量であることから、 9-オキソデセン酸以外に階級社会をコントロールするフェロモンはほとんど明らかにされていません。
一方、女王バチの生涯唯一の食物として働きバチより与えられるローヤルゼリーは、働きバチの唾液腺である大顎腺や下咽頭腺より分泌される物質です。 Johnston らは、働きバチがフェロモン、 9-オキソデセン酸を 9-ヒドロキシ体に代謝する事実を見出すとともに、その 9-ヒドロキシ体がローヤルゼリーを介して女王バチへ返送され、体内で 9-オキソ体に変換後、再びフェロモンとして分泌されるようなフェロモンサイクル説を提唱しました。この 9-ヒドロキシデセン酸は、実際にローヤルゼリー中に含有されています。
私たちは、このフェロモンサイクル説に則り、従来のような女王バチの分泌腺から直接フェロモンそのものを単離する手法とは異なり、大量のローヤルゼリー中から未知のフェロモンのもとになる物質を見つけ出そうと考えました。そのため、現在、特に OH 基をもつ脂肪酸の徹底的な探査を実施しています。
また、ローヤルゼリーをはじめ、花粉荷、雄バチなど、ミツバチ社会を構成するパーツについて、天然物化学的な視点からの成分研究も行っています。
生薬成分の体内動態および薬効発現機構に関する化学的研究
準備中.
経歴Full cv
摂南大学 薬学部 → 摂南大学大学院 薬学研究科 → 摂南大学大学院 薬学研究科 [薬学博士]
摂南大学 薬学部 助教 → 摂南大学 薬学部 講師(担当科目:物理学、基盤演習I、機器分析学I、機器分析学II、化学系薬学実習、キャリア形成I、キャリア形成II、キャリア形成IV)
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業績Contributions
- 2016.05論文 小森 浩二, 片岡 誠, 倉本 展行, 辻 琢己, 中谷 尊史, 安原 智久, 三田村しのぶ, 塙 由美子, 荻田 喜代一 (2016) 長期実務実習終了学生に対する臨床能力試験の実施による実習成果の実証. 薬学雑誌136 ( 9 ) 1275 - 1284.
- 2011.03論文 Tetsuya Kodai, Naoki Noda. (2011) ミツバチ(Apis mellifera)のローヤルゼリー由来のヒドロキシ脂肪酸の絶対配置. Lipids46 263 - 270.
- 2007.10Paper Tetsuya Kodai, Kazue Umebayashi, Takafumi Nakatani, Kaori Ishiyama, Naoki Noda (2007) Compositions of royal jelly II. Organic acid glycosides and sterols of the royal jelly of honeybees (Apis mellifera) . CHEMICAL & PHARMACEUTICAL BULLETIN 55(10) 1528-1531.
- 2006.10Paper Takafumi Nakatani, Katsuaki Jinpo, Naoki Noda (2007) Cantharimide Dimers from the Chinese Blister Beetle of Mylabris phalerate PALLAS. Toxicology and Applied Pharmacology337 ( 15 ).