小さな花が寄り集まり、ひとつの世界を形づくる。
紫陽花の姿に、学びといのちの在り方を重ねてみました。
紫陽花の季節は、気づけば過ぎ去っていました。
けれども写真を見返していると、あの日の雨の匂いや、
静かに重なり合う花びらのやさしさが心に蘇ってきます。
梅雨の頃に咲く紫陽花は、私たちに「移ろい」を教えてくれる花です。
鮮やかに色づいたかと思えば、日ごとに少しずつ淡くなり、
やがて次の季節へと引き継がれていく。
その姿は、仏教が説く「無常」の世界そのもののようにも見えます。

静かに咲く花は、移ろいゆく季節の中で「無常」を語りかけているようです。

一人ひとりが根を張り、自分の色をひらかせていく。学びの姿を重ねてしまいます。

小さな花が寄り添い合って、大きな世界を形づくる――まさに「一花一世界」。

色あせてもなお、心にとどまる彩りがあります。過ぎゆく季節の余韻に包まれながら。
花を眺めていると、学生たちの学びの姿とも重なります。
それぞれが静かに根を張り、やがて自分だけの色をひらかせていく。
ときには迷い、ときには雨に打たれながらも、
その過程すべてがかけがえのない成長の一部なのだと思います。
紫陽花が過ぎ去っても、心にとどまるのは「重なり合うものの美しさ」です。
学びも、人とのつながりも、一つひとつの小さな積み重ねが響き合って、
大きな姿を見せてくれる。
夏の盛りに、そんな余韻を静かにかみしめています。
公開日: 2025年8月25日
著者: 大塚 正人