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③ 薬剤師のモチベーションや目標
(第23話)
パネルディスカッションにて
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藤野唯香さん(2013年4月入学)
私が最近感じていることは、薬剤師のモチベーションとか目標とか、漫画の中の小野塚君のように、本当にそれがリアルに出てしまう店舗もやはりあって。東京都内の薬局に勤めているのですけれども、薬局の家賃が高いとそれだけ処方箋枚数も必要になってくるので、さばかなくてはさばかなくては、となって、本当に必要な患者のケアであったり、それこそセルフケアに力を入れられたらいいのに、と思うのですけれども、そういう部分まで点数の問題で力を注ぐことが出来なかったりして、目標を持てなかったりするのです。それのせいにするのはよくないのですが。私はちょうど社会人になって4年目なので、周りの人を見渡してみると、自分がどこに向かっているのかわからないという薬剤師の人も中にはいます。そのような人が目標を持ったり、生き生きと仕事をするためには、何が必要と富野先生は思われますか。
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富野浩充先生
それはやはり、個人個人と思うのですが…。例えば、私は文章の書ける薬剤師というのが目標なので、別に薬剤師が趣味に生きたいということでも良いと思います。そこは個人で見つけてもらうしかないのではないかな、と。あと、薬局としては、私も東京都内の個人の薬局でアルバイト扱いですが、働いていた時、またこの薬局に来てもらえるように、というような、そういう接客ではないですけれども、対患者、いわゆる接客みたいなことをしていくというのは言われていましたね。その薬局は自家製剤もやっていましたので、自家製剤を出して、それで効果があれば、またうちの薬局に来てくれるでしょう、みたいな話をしていたので、そういうことも生きる道なのかな、とちょっと今思いました。
藤野唯香さん
私もやはり、やりがいのあることとか、やりがいのある仕事って点数以外のことだったりするので、それをできる環境も薬局側が作って行ったら良いのかなと思っていて。
富野浩充先生
やはりそういう環境も必要です。上の人がすぐに帰ってしまうとか、残業地獄でルーティーンが終わらないとか、そういうこともあるかなと思うのですけれども、今うちの若手の30代前半くらいの人が結構遅くまで残っていて、学会発表とか論文のためにデータをまとめるとか、業務外のことで残っている若手がいます。自分のスキルアップとか薬剤師的な貢献につながるという雰囲気は良いなと思って、最近見ています。学会に行ってポスター発表を見て、「ああ、こういうので良いのだ」、と思うことがあると思うのですけれども、そういうことでも、例えば自分が出すということによってちょっとモチベーションが上がるとは思います。自分がやることによって、自分より下の人達が影響を受けて、雰囲気が段々良くなっていくのではないかな、と感じますので、頑張ってください。
在校生(高橋日向、2019年4月入学)が考えたこと・感じたこと
令和5年3月 6年制薬学科卒業生就職状況(薬学教育協議会「薬系大学卒業生・大学院修了者の就職動向調査の集計報告」より)
保険薬局 48.3 %(保険薬局;28.6 % ドラッグストア調剤部門;19.7%)
医薬品販売業 1.3 %(ドラッグストア等一般販売業;1.2 % 卸売販売業;0.1 %)
病院・診療所 20.8 % (薬剤部;20.7 % その他;0.1 %)
試験・研究機関 0.1%
大学 0.02%
行政 2.1%(衛生行政;2.0% その他;0.1%)
企業 7.1%(医薬品関連企業;5.6% 化学系企業;0.7% その他;0.8%)
研究生 1.3%
その他の職業 1.4%
進学 1.8%
未就職 4.2%
未定(未報告含む) 11.6%
パネルディスカッションを通して、薬剤師のモチベーションの高さの違いや目標の有無が患者に提供できる医療の質にダイレクトに影響する場合があり、薬剤師として働く上でモチベーションや目標について考えることはとても重要であると感じました。
薬学部に入学してからは「薬剤師国家試験に合格して薬剤師免許を取得する」ことが目標になっている学生が多いように感じます。しかし、その先を考えることが大切であり、免許を取得して薬剤師になることがゴールではなく、免許取得はあくまで通過点です。薬学部の学生にとって、在学中から自分の考える理想の薬剤師像について考えることは、薬剤師の活躍できる、数あるフィールドの中から自分の将来なりたい薬剤師像を実現することができる場所を見つけるために必要なことであると思います。薬剤師として働いてからも自分のなりたい理想の薬剤師像をもつことで、モチベーションにつながったり、目標を持つことにつながったり、これから自分の向かって行く先が見えてくるのではないかと思いました。

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