摂南大学薬学部 公衆衛生学研究室
資料集

日本のプールの水質基準

平成19年改正 衛生基準

水素イオン濃度
pH 5.8以上8.6以下
塩素剤などの投入によって水素イオン濃度が変化する。また水素イオン濃度が偏ると、塩素剤の効果に影響を与える。
濁度
2度以下
旧基準(3度以下)はプールの底のラインが見えることを目安として決められていた。新基準では水平方向の視界を確保して遊泳者の衝突事故を防止する。
過マンガン酸カリウム消費量
12 mg/L 以下
プール水の汚れの指標
遊離残留塩素濃度
0.4 mg/L であること。1.0 mg/L 以下であることが望ましい。
細菌による汚染を防ぐため、塩素を用いて殺菌する。塩素が多すぎると刺激が強いため、上限が定められている。
大腸菌
検出されないこと
消毒とプール水浄化の徹底で対応が可能。基準値と検査方法を学校プールの基準と統一した。
分析方法の変更により、「大腸菌群」から「大腸菌」に変更された。(平成19年)
一般細菌
200 CFU/mL 以下
プール水の一般的清浄度を示す目安。
総トリハロメタン
おおむね0.2 mg/L 以下が望ましい。(暫定目標値)
水道水質基準を参考に設定した。

遊泳用プールの衛生基準(厚生労働省)の変更履歴

水質基準施設基準維持管理基準
昭和40年「遊泳用プールの水質基準について」
厚生省環境衛生局長通知
昭和44年「遊泳用プールの施設基準について」
厚生省環境衛生局長通知
昭和46年「遊泳用プールの維持管理基準について」
厚生省環境衛生局長通知
  • pH 5.8〜8.6
  • 濁度 5度以下
  • KMnO4消費量 20ppm以下
  • 遊離残留塩素濃度 0.4mg/L以上
  • 大腸菌群 5本中、陽性が2本以下
  • 本体、プールサイド、通路、給水設備、排水設備、消毒設備、浄化設備など
  • 付帯設備:更衣室、便所、洗面所、洗眼所、上がりシャワーなど
  • その他の設備:監視所、休憩所、遊戯設備、観覧席など
  • 管理義務者の設置
  • プール本体、付帯設備その他の設備の維持管理基準
  • プール水の管理(オーバーフロー水、換水時期、浄化装置の運転)
  • 遊泳者の管理(救護員配置、遊泳禁止者、履き物の禁止
昭和61年「遊泳用プールの衛生基準について」
厚生省生活衛生局長通知
  • 遊離残留塩素の上限値を設定(1.0mg/L以下が望ましい)
  • KMnO4消費量を12mg/L以下に強化
  • 排水溝の一層の安全確保
  • 腰洗い層の設置
  • 管理基準の強化
平成4年「遊泳用プールの衛生基準について」
厚生省環境衛生局長通知・生活衛生局企画課長通知
  • 濁度を3度以下に強化
  • 大腸菌群を強化(100mL中の最確数が5を超えない)
  • 二酸化塩素濃度を設定(0.1mg/L以上0.4mg/L以下)
  • 総残留塩素濃度に関する基準の廃止
  • うがい設備など
  • 緊急時に備えた従業者の訓練
平成13年「遊泳用プールの衛生基準について」
厚生労働省健康局長通知
  • 濁度を2度以下に強化
  • 大腸菌群の基準を強化(検出されないこと)
  • 一般細菌の基準を設定(200CFU/mL以下)
  • 総トリハロメタンの基準を設定(0.2mg/L以下(暫定目標値))
  • 排水設備:遊泳者の吸い込み防止措置を具体的に明示
  • 浄化設備:循環濾過装置出口で採水栓の設置と濁度の測定
  • 洗浄設備:腰洗い層の削除
  • 遊離残留塩素濃度の測定回数の強化
  • 気泡浴槽、採暖槽等におけるレジオネラ属菌の検査
  • 遊離残留塩素濃度の測定法からオルトトリジン法を削除
平成19年「遊泳用プールの衛生基準について」
厚生労働省健康局長通知
  • 「大腸菌群」の項目を「大腸菌」に変更(検出されないこと)
  • プール設備:プールサイド、通路、排水設備などの区分を削除
  • 付帯設備:監視所等、遊技等設備などを削除
  • 消毒剤等保管管理設備:施錠可能な施設であること
  • 消毒剤を他の薬剤と混和しないこと
  • 屋内プール内のCO2濃度測定高さを床上150 cm以下と規定
  • 消毒剤や残留塩素濃度測定試薬の管理について、経時変化や温度による影響を考慮すること
  • 気泡浴槽、採暖槽などの設備について、循環式浴槽の基準を参考にすること
  • 「プール日誌」を「プール管理日誌」に変更し、保存期間を3年以上とした。

遊泳用プールの衛生基準の構成 水質基準は全ての遊泳用プールに、 施設基準・維持管理基準はプール本体の水の用量がおおむね100m3以上のプールに適用

その他の基準

地方自治体が独自に衛生基準を定めているもの

条例 東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府、東京23区
要項、要領など 都道府県 北海道、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、富山県、山梨県、岐阜県、静岡県、三重県、兵庫県、岡山県、高知県、福岡県、熊本県、大分県
政令市 札幌市、小樽市、函館市、仙台市、秋田市、郡山市、千葉市、横浜市、川崎市、横須賀市、新潟市、岐阜市、静岡市、浜松市、名古屋市、豊田市、豊橋市、京都市、大阪市、堺市、東大阪市、尼崎市、姫路市、岡山市、広島市、高知市、福岡市、熊本市、大分市

学校プールの衛生基準

文部科学省体育局事務代理/文部事務次官通知 「学校における環境衛生管理の徹底について」
学校プールの水質基準