摂南大学薬学部 公衆衛生学研究室
資料集

水道法(平成14年改定)

概要:水道の計画的整備,水質基準の制定,施設基準の制定,水道事業の認可,水質検査の規定

水質基準に関する省令

 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)が平成15年5月30日に交付され、平成16年4月1日から施行されます。 今回の改定はWHO飲料水質ガイドラインの全面改訂を見据えておこなわれたものです。

 「水道水が有すべき性状に関する項目」と「快適水質項目」の区別が廃止されました。 また「監視項目」が廃止されましたが、今後近いうちに新たに「水質管理目標設定項目」と「要検討項目」が追加されます。

 新たに加えられた項目は、大腸菌、ホウ素、1,4-ジオキサン、臭素酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、 ホルムアルデヒド、アルミニウム、ジェオスミン、2-MIB、非イオン界面活性剤、全有機炭素(TOC)です。
 基準項目からはずされたものは、大腸菌群、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン 、過マンガン酸カリウム消費量、および農薬(1,3-ジクロロプロペン、シマジン、チウラム、チオベンカルブ)です。
 大腸菌群は大腸菌に、過マンガン酸カリウム消費量は全有機炭素(TOC)に変更になりました。また、塩化シアンがシアン化物イオンとの合計量として 基準項目に含まれることになりました。4種類の農薬を水質基準から外した代わりに、水質管理目標設定項目の中で 101種類の農薬について定めることになりました。
 一般細菌数が一般細菌に、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素が硝酸態窒素と亜硝酸態窒素になりましたが、これは用語が変わっただけです。
 基準値が変更になった項目は鉛(0.05mg/L→0.01mg/L(平成14年3月に改定))です。

項目基準値備考
一般細菌100コロニー/1mL病原生物
大腸菌検出されないこと
カドミウム0.01mg/L以下無機物質・重金属
水銀0.0005mg/L以下
セレン0.01mg/L以下
0.05mg/L以下
ヒ素0.01mg/L以下
六価クロム0.05mg/L以下
シアン化物イオンおよび塩化シアン0.01mg/L以下
硝酸態窒素および亜硝酸態窒素10mg/L以下
フッ素0.8mg/L以下
ホウ素1.0mg/L以下
四塩化炭素0.002mg/L以下一般有機化学物質
1,4-ジオキサン0.05mg/L以下
1,2-ジクロロエチレン0.02mg/L以下
シス-1,2-ジクロロエチレン0.04mg/L以下
ジクロロメタン0.02mg/L以下
テトラクロロエチレン0.01mg/L以下
トリクロロエチレン0.03mg/L以下
ベンゼン0.01mg/L以下
クロロ酢酸0.02mg/L以下消毒副生成物
クロロホルム0.06mg/L以下
ジクロロ酢酸0.04mg/L以下
ジブロモクロロメタン0.1mg/L以下
臭素酸0.01mg/L以下
総トリハロメタン(クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの総和)0.1mg/L以下
トリクロロ酢酸0.2mg/L以下
ブロモジクロロメタン0.03mg/L以下
ブロモホルム0.09mg/L以下
ホルムアルデヒド0.08mg/L以下
亜鉛1.0mg/L以下
0.3mg/L以下
1.0mg/L以下
マンガン0.05mg/L以下
ナトリウム200mg/L以下味覚
塩化物イオン200mg/L以下
カルシウムおよびマグネシウム等(硬度)300mg/L以下
蒸発残留物500mg/L以下
有機物等(全有機炭素(TOC))5mg/L以下
ジェオスミン0.00001mg/L以下におい
2-メチルイソボルネオール0.00001mg/L以下
フェノール類0.005mg/L以下
1,1,1-トリクロロエタン0.3mg/L以下
陰イオン界面活性剤0.2mg/L以下発泡
非イオン界面活性剤0.02mg/L以下
pH5.8〜8.6基礎的性状
異常でないこと
臭気異常でないこと
色度5度以下
濁度2度以下

衛生上必要な措置

水道法施行規則(平成6年改正) 第16条

給水栓水の残留塩素基準
遊離残留塩素結合残留塩素の場合
通常の場合0.1 mg/L0.4 mg/L
病原生物汚染の恐れがある場合0.2 mg/L1.5 mg/L

取水場、貯水池、導水きょ、浄水場、配水池およびポンプせいは、常に清潔にし、水の汚染の防止を十分にすること。これらの施設には鍵を掛け、柵を設ける等して、みだりに人畜が施設に立ち入って水が汚染されるのを防止すること。