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熱心に聞き入り、小児医療環境の未来を真剣に考える参加者たち 熱心に聞き入り、小児医療環境の未来を真剣に考える参加者たち

左上より時計回りに中村氏、横幕氏、原田氏、石川氏 左上より時計回りに中村氏、横幕氏、原田氏、石川氏

左上より時計回りに矢野氏、奥田氏、中井氏、山下教授 左上より時計回りに矢野氏、奥田氏、中井氏、山下教授

 今春発足した「臨床研究センター」の開設を記念して、薬学部は7月16日、枚方キャンパスで「日本の小児医療環境を考える」をテーマにしたシンポジウムを開催しました。当日は医療従事者、製薬企業社員、教職員、学生約150人が参加し、小児医療をめぐる問題について共に考えました。

 現在、全人口に占める年少人口(0~14歳)の割合はわずか12.8%。企業の採算性や、臨床試験に伴う困難さから、小児用薬剤の開発はその需要の高さに比べ、思うように進んでいません。薬の添付文書に小児についての効能・効果、用法・用量や安全性への記載が十分にないものや、大人用の薬しかないために院内で独自に調製する例、薬剤師が大人用の錠剤を粉砕して与える例なども多く見られます。

 シンポジウムの中で国立成育医療研究センターの中村秀文主幹は「欧米に比べ日本は小児用薬剤の開発が遅れており、後追いをするばかり。このままでは開発力に大きな差が生まれる」と語り、同薬剤部の石川洋一薬剤部長は医療現場の現状を報告するとともに、「大学や製薬企業に、もっと現場の声を届けなければならない」と語りました。
 このほか、小児医療現場を知る立場から患児家族会「まるっけ会」の横幕真紀代表が小児に薬を飲ませる工夫を、入院児と家族の不安を和らげる専門家「チャイルドライフスペシャリスト協会」の原田香奈会長が小児、親、それを支えるスタッフぞれぞれの苦労について話しました。 
 また薬剤師、製薬企業の立場からは、神戸大学医学部附属病院薬剤部の矢野育子副薬剤部長が小児医療の薬剤投与量のモデル化を、本学卒業生で東和薬品製剤技術本部製剤研究部の奥田豊部長がラムネのように口の中で溶け、小児分野での活用も期待される口腔内崩壊錠(OD錠)について話しました。
 さらに国立がん研究センターの中井清人研究管理部長は、地域の中における薬剤師の意義を見つめ直す重要性をこれまでの変革の経緯とともに熱く語られました。

 当センターは、基礎と臨床を融合し、医療現場で抱える問題を研究面から解決に導くことを目的としています。まず初めに取り組むテーマは、小児医療環境の改善。小児用製剤の規格化・基盤技術の開発を産官学連携で行うこととし、病院や薬局勤務経験のある実務家教員が主体となって研究を進めていくことも大きな特長です。
 シンポジウムの最後には、同センター長の山下伸二教授がセンター設立の趣旨や今後の抱負を述べ、将来への希望を感じさせる同センターのスタートとなりました。

臨床研究センターサイト
http://sclinicalresearch.wix.com/su-rinsho

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