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公正取引委員会 深町正徳氏 公正取引委員会 深町正徳氏

近畿大学 経済学部 村上礼子准教授 近畿大学 経済学部 村上礼子准教授

深町氏による゛独占禁止法教室゛ 深町氏による゛独占禁止法教室゛

 11月30日、経済経営学研究科と法学研究科の共催で「独占禁止政策の新潮流」というテーマについてセミナーを開催しました。セミナーの冒頭、経済経営学研究科久保広正教授から開会の挨拶があった後、公正取引委員会事務総局審査局第一審査上席審査専門官である深町正徳氏から、「リジン判決後の各国の再販価格維持行為に対する規制の状況」と題する報告がありました。深町氏は、まず再販価格維持行為とは何か、この行為に係る米国反トラスト法上の取り扱いはどのようなものであったかについて紹介された後、2007年の米最高裁によるリジン判決の背景・判決の内容など詳しく報告されました。その後、同様の問題に対するEU及びオーストラリアにおける判決などに触れられた後、わが国についても紹介がありました。すなわち、わが国では同行為が当然違法であるとの解釈は維持しつつ、一定の場合には、同行為が競争促進効果を有することから違法とはいえないという解釈がなされているとのことでした。

 次に近畿大学経済学部村上礼子准教授から、「公益事業におけるバンドリング販売(セット販売)についての一考察」と題する報告がありました。村上氏の問題意識は、公益事業の自由化に伴い拡大しているバンドリング販売が市場競争にどのような影響を及ぼすかという点でした。近年、広まりつつあるガス会社、あるいは携帯会社による電力販売などがバンドリング販売の例です。冒頭、村上氏は海外の状況について紹介がありました。例えば、英国では、ガス・電力の一括契約に際して「セット割」があるため、かなり普及していることなどです。さらに村上氏は、こうしたバンドリングについて類型化を行ったうえで、経済効果に関する分析方法を紹介されました。全体を通じて、村上氏はバンドリング販売は市場競争を弱める方向に働く可能性があること、このため、競争状況を見極めつつ、同等な競争条件の確保が必要とされること、さらには本問題について一層の実証分析が望まれることなどを報告されました。

 予定時間を大幅に超える活発な議論が行われ、最後に小山昇法学研究科長、及び八木紀一郎学長から謝辞の表明がありました。

 また、本セミナーに先立ち、経済学部授業「地域統合論」において、゛独占禁止法教室゛が開かれました。公正取引委員会の深町氏から、独占禁止政策とは何か、さらには何故、市場経済において独占禁止政策が重要であるかについて、実例を交えながら丁寧な説明がありました。出席した学生からは、「独占禁止政策の重要性が理解できた」、「もっと時間をかけて学びたいテーマである」などの意見が出されるなど、学生にとって有益な「教室」となりました。

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