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ロベール・ボワイエ教授(米州研究所<パリ>) ロベール・ボワイエ教授(米州研究所<パリ>)

ロベール・ボワイエ教授(米州研究所<パリ>) ロベール・ボワイエ教授(米州研究所<パリ>)

橘木俊詔教授(京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授) 橘木俊詔教授(京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授)

 12月4日、世界的にも著名なエコノミストであるロベール・ボワイエ教授(フランス)と、橘木俊詔教授(京都女子大学客員教授、京都大学名誉教授)をお招きして、経済学部主催国際セミナーを開催しました。セミナーでは、世界で進行する不平等の分析の報告を受けたのち、両者の見解を巡って質疑応答が行われました。

 ボワイエ教授は、世界に起こっている不平等現象はすべて同一の性格を有しているわけではなく、それぞれの国や地域独自の原因を持つと同時に、各国や各地域が相互依存してもいるとして、アメリカ、中国、EU、ラテンアメリカの現状を比較検討しました。アメリカは金融市場が肥大化することにより不平等が拡大し、中国は労働者の賃金が低いため不平等が拡大し、国内市場は拡大せず輸出に傾く。その輸出先はアメリカなどである。EUは、平等主義的な分配・再分配が行われてはいるが、アメリカからは金融的圧力を受け、中国からは輸出攻勢をかけられ、経済が停滞している。最も不平等が際立っていたラテンアメリカは、民主主義的要求の実現により不平等格差は縮まっているが、いまだ不安定である、と論じられました。

 他方、橘木教授は、日本における不平等の分析を、世界的ベストセラーになったトマ・ピケティの分析と比較したうえで、富裕層ではなく貧困層の拡大こそが問題であると論じられました。また、不平等が生じるのは、経済的効率性と公平性にトレードオフ(二律背反)の関係があるからであり、不平等を政策により是正するためには、国民がどれだけ公平性に重きを置くかにかかっているとも論じられました。

 こうした両者の報告をもとに、参加者からいくつかの質問や意見が表明され、盛会なセミナーとなりました。

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