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Zsolt Darvas主任研究員 Zsolt Darvas主任研究員

セミナーの様子 セミナーの様子

  1月17日、経済学部では「不平等を考える(第2回)」と題するセミナーを開催しました。これは、2017年12月4日に開いた同じテーマに関する第1回国際セミナーに続くもので、今回は、在ブリュッセルのシンクタンク「ブリューゲル研究所(Bruegel Institute)」からZsolt Darvas主任研究員を招聘し、"Global and European Inequality: Measurement and Implications"と題して講演を頂きました。なお、このブリューゲル研究所とは、Brussels European and Global Economic Laboratoryからとられたのですが、「バベルの塔」で知られている中世の画家ピーテル・ブリューゲルにも由来しているとのことです。同研究所の設立は2004年8月と歴史が浅いにもかかわらず、欧州経済の諸問題について活発な提言を行っていることでも知られています。なお、2014年、米ペンシルバニア大学による世界シンクタンク・ランキングによると、同研究所は世界で第5位、欧州では第2位にランクされています。

   Darvas氏 は、まず所得の不平等を示す指標をいくつか紹介し、その計算方法、さらには指標を判断する際に注目すべき点について概説しました。その後、所得階層別に子供達の算数の成績を比較すると、高所得層ほど高い得点を得ており、その結果、高所得層の子供達は高所得を得る職業に就く可能性が強いことなどを論じました。すなわち、所得階層の固定化が起こっているとのことです。さらに同氏は、所得格差が拡大すると、選挙において「抗議の投票(protest vote)」を行う傾向があり、このことにより政治の不安定化を招いている可能性についても言及しました。結論として、同氏は社会の流動化を促進する政策が必要とされていると主張しました。大変興味深い議論であり、参加者と時間を大幅に超過する議論が交わされるなど、活発な国際セミナーとなりました。

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