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お知らせ

 7月17日、摂南経済ゲストレクチャー(後藤和子教授担当)において、神戸大学国際連携推進機准教授の花田エバ氏をお迎えし、「中東欧4カ国とEU -スロバキアに着目して-」というテーマで講演いただきました。

 中東欧4カ国とは、チェコ共和国、スロバキア共和国、ハンガリー共和国、ポーランド共和国を指します。これらの国々は、1989年に社会主義国から民主主義国に変わり、ヨーロッパへの回帰を目指しました。そして、EU加盟の3条件(政治基準、経済基準、EU既存法の受け入れ)をクリアし、2004年にEUに加盟しました。

 EUへの加盟により、これらの国々は、EU諸国(現在28カ国)との間で、人、モノ、資本等の生産要素の移動が自由になり、市場を拡大して高い経済成長を実現しました。EU加盟の西欧諸国から、製造業や金融業への直接投資が行われたことが、経済成長に寄与しました。

 他方、中東欧4か国の間には違いもあります。スロバキアは、これら4カ国の中で、日系企業が最も少なく、自動車生産台数は最も多いことが特徴です。また、この4カ国の中でEU加盟への国民の支持が最も高く、唯一のユーロ導入国でもあります。人口が約544万人で国内市場が比較的小さく輸出主導の経済構造であるため、2008年の金融危機の影響を強く受けました。スロバキアとは対照的に、ポーランドは国内市場が大きく金融危機の影響を受けても経済成長はプラスを維持しました。その後、スロバキアの経済は回復し所得水準も伸び、2016年下半期には、スロバキアがEU理事会議長国となりました。しかし、EU内の移動の自由ゆえに、若年層の流出と頭脳流出が大きな課題となっています。

 講演後、学生からは、なぜEUに加盟しながらユーロを導入しない国があるのかという質問がある等、ヨーロッパへの関心が高まる有意義な講演でした。スロバキアには、世界遺産の城や、美しい山があり、いつか訪問してみたいと思った学生もいることでしょう。

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