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水溶剤用容器 水溶剤用容器

水溶剤用容器の使い方 水溶剤用容器の使い方

開発中のゼリー剤 開発中のゼリー剤

薬学部、新コンテンツ「ラボ☆なう」です!!

今回は、2年前薬学部に新たに設置された臨床研究センターを紹介します。臨床研究センターって何?と思ったあなたに、簡単に概要を説明します。臨床研究センターでは、基礎研究と臨床研究を融合し、医療現場で抱える問題を研究面から解決に導くことを目的とした研究を行っています。医療現場で抱える問題とは、第1回目に河野先生が説明された【クリニカルクエスチョン】のことです。臨床研究センターでは、山下 伸二 教授・首藤 誠 准教授・三田村 しのぶ 助教の3名が所属しており、今回は、山下先生、首藤先生にインタビューしました。

それでは、第3回 ラボ☆なう 臨床研究センター編スタートです(^^)

-臨床研究センターでは、どのような研究をされていますか?

 臨床研究センターでは、臨床に貢献できるような研究テーマに取り組んでおり、現在は小児医療での小児用製剤の開発を行っています。子どもにとって薬を飲むことは難しいことですが、保護者にとっても子どもに薬を飲ませることは大変労力がかかります。錠剤やカプセルは飲み込みにくく、粉薬は苦いので、なかなか飲んでもらえないことがあるのではないでしょうか。

-小児用の製剤であれば製薬企業で作られるのではないのですか?

そうですね。子どもの薬は、体重や年齢によって用量が変わります。シロップ剤であれば、用量の調整は簡単ですが、錠剤だと割るしかないので難しいですね。また、日本の様な高齢化社会では、薬の多くは高齢者が服用しているため、製薬企業は採算性の高い高齢者向けの薬を開発する流れにあります。

一方、大手グローバル企業には社会貢献活動の一環として、他の製薬企業や研究機関、国際非営利組織とともにコンソーシアムを設立し、子ども用の薬の開発を進めているところもあります。摂南大学でも、社会に貢献したいという思いから、開発を進めています。

-子どもの薬というとシロップのようなものをよく見かけます。

 はい、確かにシロップ剤は多いですね。ただ、ボトルから1回分の用量をはかり取り、子どもに飲ませることは手間がかかります。また、ボトルの中に入っているとは言え、何回も開け閉めして飲ませることは衛生面でも大きな問題があります。

-薬をゼリーで包んで飲むタイプもあります。

 服薬補助ゼリーのことですね。確かに社会に広く流通していますが、薬をゼリーに包む必要があり、どうしても飲み込む量が増えてしまいます。病気の種類によっては、たくさんの薬を飲まないといけないことがありますが、ゼリーだけでお腹がいっぱいになってしまうことがあります。

-私も粉薬が苦手で、服薬補助ゼリーを使っていますが、たくさんのゼリーが必要だし、お金もかかりますね。

 そこで、私たちは、コーヒーフレッシュのような入れ物に、シロップ剤1回分の用量を入れ、小分けにすることで、飲みやすさを改善できないかと考え、大阪赤十字病院と共同研究しています。一包化と呼ばれる手法で、専用の機器を使って、薬剤師自身で調剤することができ、また服用後その容器はそのまま廃棄できるで、【調剤⇒服用⇒廃棄】といった一連の流れがスムーズになります。これは、薬を飲む患者も、薬を飲ませる保護者にも大きなメリットがあります。現在、使い勝手が良く、また小児が飲みやすい形状の容器を作成し、実際に患者さんに使ってもらっているのですが、評判は上々です。

-摂南大学のウリになればいいですね。

 他大学では、マグロを使って大規模な宣伝をしている大学があります。摂南大学といえば、小児用製剤と言われるよう頑張ります。また、一包化以外にも、ゼリー剤の研究も進めています。世の中には、苦みが長い間口の中に残り、シロップ剤では飲むことができない薬もあります。そこで、服薬補助ゼリーとは違い、お薬を溶かした溶液をそのままゼリー化したゼリー剤の開発を進めています。これも大阪赤十字病院と共同で研究しており、早ければ2020年4月から臨床研究を開始する予定です。

-ゼリーそのものが薬ということは、メロン味やイチゴ味の薬もできるのですか?

 それはおすすめしません(笑)。というのも、ゼリーの味付けはいろいろ検討したのですが、薬との相性もあるのか、味をつけない(無味)ほうが飲みやすいようです。メロン味をつけて、そのゼリーが強烈に苦かったら、今後メロンが食べられなくなりますよ?(笑)

-それは嫌ですね(苦笑)

 それはさておき、薬学部と聞くと敷居が高いかもしれません。しかし、私たちは、少しでも患者さんに喜んでもらえるよう、医療現場で起こる様々な問題を解決するための研究を進めています。ホームページも開設していますので、ぜひ注目してください。

https://sclinicalresearch.wixsite.com/su-rinsho

-ありがとうございました。

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