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7回読破された「生化学」の本を両手に 7回読破された「生化学」の本を両手に

大切にしている「ことば」を忘れないよう、本に記されていました! 大切にしている「ことば」を忘れないよう、本に記されていました!

薬学部、新コンテンツ「ラボ☆なう」です!!

ラボ☆なう では、高校生の皆さんに、各研究室・分野の研究内容や、学生時代の苦労話、実習の思い出などを紹介します!!

第16回目は、疾病予防学研究室の太田 壮一 教授です!太田先生は農学部出身で、大学院に進学してから薬学研究を始められました。

それでは、第16回 ラボ☆なう スタートです(^^)

-疾病予防学研究室では、どのような研究をされていますか?

私たちの研究室のメインテーマは【生活環境中の健康有害物質の摂取に起因したヒトの疾病の誘発・増悪化に対する予防学的研究】です。この研究テーマを進めるため、多様なプロジェクトを進めています。

みなさんは【紫外線吸収剤】を知っていますか?紫外線によるダメージを防ぐ物質のことで、プラスチック製品や化粧品(日焼け止め)などに使用されています。例えば、長期間、壁にセロハンテープを貼ったままにしておくと、セロハンテープが変色し、素材がもろくなっているのを見たことがあるかと思います。これはセロハンテープに含まれる紫外線吸収剤の効力が落ち、紫外線に晒され続けたことにより起こる現象です。ほとんどのプラスチック製品には紫外線吸収剤が含まれており、生活環境中に放出され続けているほか、最近、社会問題にもなっているマイクロプラスチックの海洋汚染とも深く関係しています。しかも、私たちは食事や呼吸を通して紫外線吸収剤を体内に取り込んでいることから、私たちは、この物質がヒトの健康にどのような有害影響を与えているのかについて研究しています。

次に、【トランス脂肪酸】という言葉を聞いたことがありますか?私たちのお腹周りの脂肪は、主に脂肪酸という成分でできています。私たちは、それを天ぷら油やマーガリンなどから摂取しています。トランス脂肪酸は、これら食品の製造工程で非意図的に生成します。この脂肪酸は、近年、心臓疾患のリスク因子として注目され、欧米を中心にその規制が行われています。私たちは、様々な食品中のトランス脂肪酸の分析を行うとともに、細胞や動物を用いて、その健康影響に関する研究を行っています。

-学生時代の苦労話を教えてください!

私は農学部出身です。自分で言うのは恥ずかしいですが、成績もそんなに悪くはなかったと思います。ところが、2年生の前期に初めて生化学Ⅰの単位を落としました。それまで、他の科目は一夜漬けで難なく合格していたのですが、この試験は「タンパク質について知ることをすべて述べよ。」という試験時間3時間の記述式1問だけの形式で行われ、いつもの一夜漬けの私では到底太刀打ちできないものでした。それが悔しくて、指定された教科書とは別に生化学の本を購入し、7回程、読破しました。最初は全く理解できなかったことも、読む回数に応じて徐々に分かるようになっていき、7回目には生化学の知識に関してかなり自信がつきました。調子に乗った私は、3年生の前期の生化学実習で、助手の先生に実習の質問も兼ねて生化学の知識をひけらかしました。最初のうちは、「なかなかやるね」と言われたのですが、「それならこれを知っているか?」と、逆に矢継ぎ早に質問され、最終的にはコテンパンにされました。この時、私は悔しいという気持ちと同時に、学問の深さの一端を感じることができ、初めて大学に来て良かったと思えた瞬間でした。結果的に私が選んだ研究室は生化学研究室となり、今日の私の礎もその時代に築かれたものだと思っています。

-学部時代の学びが、どのように活かされていますか?

農学部では、微生物の特殊な代謝能を活用したバイオテクノロジーに関する研究をしていました。これらの領域は薬学にも近いところがあるので、大学院で薬学研究科に進学してからも、それほど違和感はありませんでした。その理由は、農学部でも薬学部でも「生物を理解する」するための根底の知識は、学部生時代に勉強した生化学の知識のお陰だと思います。それは、米国留学時代に神経分化に関する分子生物学の研究をやっていた時も同じでした。留学後、摂南大学に教員として着任した際、配属された研究室の教授がダイオキシン研究の第一人者で、私とは全く異なる分析研究の分野でしたが、自分でやれることを見つけて頑張ろうと思い、入職しました。もともと微生物代謝なども研究していたので、それに近い分野である毒性学についても研究を開始し、現在の研究にもつながっています。

-薬学部の面白さを教えてください!

薬学部の学問は、非常に実用的な側面があり、日頃、自分が飲んでいる薬の作用を理解できるほか、患者さんを薬で治療できる知識や技能を得ることができると思います。また、学生全員に薬剤師国家試験に合格してもらうための試験を行っています。この試験の勉強はとても大変ですが、学生自身が国家試験合格に向けてモチベーションを高めて勉学に取り組む経験は、他学部の学生には体験できないことですし、その努力と忍耐の結晶として薬剤師免許を取得できることが、薬学部で学ぶ面白さの一つだと思います。

また、研究が好きなだけやれるところもいいところです。薬学部に限った話ではありませんが、研究経験は大切です。研究には答えがありません。どうやって目標に近づくか、試行錯誤しながら一歩一歩前進します。研究を通じて深く考え抜く体験は、将来、研究以外の職場でもきっと役に立つと思います。

-高校生に向けて一言!

大学に入学したら、どの科目でもいいので、専門書を一冊読破してほしいです。幅広い知識を持つことも重要ですが、特化した分野の最先端の知識を持ってほしいと思います。それこそが、大学で学ぶ醍醐味の一つだと思います!

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