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NMRという高額な機器を使って実験しています NMRという高額な機器を使って実験しています

日本薬学会近畿支部奨励賞のトロフィー 日本薬学会近畿支部奨励賞のトロフィー

薬学部、新コンテンツ「ラボ☆なう」です!!

ラボ☆なう では、高校生の皆さんに、各研究室・分野の研究内容や、学生時代の苦労話、実習の思い出などを紹介します!!

第18回目は、薬化学研究室の樽井 敦 講師です!樽井先生は本学OBで、小さい頃から化学が大好きで、現在も有機化学の研究をされています。

それでは、第18回 ラボ☆なう スタートです(^^)

-薬化学研究室では、どのような研究をされていますか?

薬化学研究室では【有機フッ素化合物の合成】をテーマに研究をしています。フッ素というと、歯磨き粉のイメージがあると思いますが、歯磨き粉に使われるフッ素は無機物ですので、私たちの扱う有機フッ素化合物とは異なるものです。フッ素化したペプチド(タンパク質の一種)を作って、新薬開発の基礎となる部分の研究をしています。

元々、小さい頃から化学に興味がありましたが、他にもレゴやブロックが大好きでした。化合物の合成は、ものづくりにも似た部分があります。いろいろな化合物を合成することで、これまで誰も作ったことのない新たな化合物が生まれることもあります。また、すでに世に生まれている化合物に関しても、従来とは異なる作り方を見出すこともできます。薬化学研究室と聞くと、フラスコを振ったりするだけと思う方も多いですが、実際には化学だけではありませんし、他の分野の先生と共同研究することも多いんですよ。

-学生時代の苦労話を教えてください!

有機化学分野は作業効率が肝となります。二つのことを並行して行うことがよくあるので、それができないと実験に時間がかかり、なかなか数をこなすことができません。大学の授業でも、化学系薬学実習という効率性を求められる授業があり、どうしても【化学系=しんどい】というイメージがありました。しかしながら、元から化学が好きという点や厳しい環境で成長したいという思いから、薬化学研究室を希望し、配属されました。

研究室に配属された当初は、きちんとしすぎる性格もあって、大変苦労しました。化学分野の研究は、ゴール設定が自分次第のところがあり、どこまで目指すかも本人の裁量に委ねられます。しんどくて逃げだしたいこともありましたが、学びを重ねるにつれて、研究に没頭できるようになりました。次第に、研究を突き詰めたいという思いが強くなり、大学院への進学を決意し、今もなお研究に邁進しています。

-学生時代の実習の思い出はありますか?

私は、摂南大学のOBで、衛生薬学科(※)に所属していました。衛生施設への実習では、故郷である和歌山県の衛生機関にて、農薬や食品添加物の分析を行いました。分野は違うものの、研究室で使っている機器に似たものを使う機会があり、学部での学びが社会の役に立つことを感じることができました。

薬局実習では、大物プロ野球選手のお母さんが薬局長を務める薬局に配属されました。処方箋のやり取りだけでなく、地域住民への健康相談なども経験することができました。今でこそ、地域包括ケアシステムが謳われていますが、当時の薬局としては珍しく、いい経験をさせていただきました。

(※)当時の薬学部は、薬学科と衛生薬学科に分かれていました。

-学部時代の学びが、どのように活かされていますか?

どうしても、薬剤師は人間に対する作用を考えることに目が行きがちですが、実際にはものづくりの要素も色濃くあります。学部時代から研究を続けている有機化学を通じて、そのことを痛感できたことは私にとって大きい意味を持ちます。

薬剤師しか持たない知識として、有機化学に関する知識が挙げられます。化合物の構造などは、他の医療系学部では学ぶ機会がありません。薬剤師職の未来が暗いという声もありますが、その未来を明るいものにするのは有機化学だと信じています。

-薬学部の面白さを教えてください!

薬学部では、医療人の学びと研究者としての学び、二つの学びを得ることができます。どちらかというと理系学部ですが、いろんなことが学べるところが面白いです。また、これら二つの学びには共通して正解がわからない中で試行錯誤するという経験ができます。患者さん一人一人に合わせたお薬の準備や対応と、何ができるか分からない研究の発見は共に正解がこれだと決まっていません。

-高校生に向けて一言!

考えることを好きになってほしいです。どうしても正解は一つだけと思いがちですが、実際には、複数あるかもしれません。また、たくさん考えることで、思いもよらない応用を利かすこともできます。

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