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【薬学部】 ラボ☆なう No.23 伊藤 優 助教(薬用植物園)
薬学部、新コンテンツ「ラボ☆なう」です!!
「ラボ☆なう」はひとまず今回が最終回です。最終回は、薬用植物園を紹介します。薬用植物園って何?と思ったあなたに、薬用植物園の概要を説明します。本学の薬用植物園は薬学部生と教職員の教育・実習および研究を目的に設置されたもので、総面積約10,000㎡の園内には、薬用有用植物約1,200種が栽培されています。薬用植物園には、教員3名と技術職員1名が所属しており、今回は、管理者の伊藤先生にインタビューしました。
それでは、第23回 ラボ☆なう 薬用植物園編スタートです(^^)
-薬用植物園では、どのようなことをされていますか?
学部2年次生の生薬実習の一部として、薬用植物園実習を行っています。最近の学生は、植物に触れ合う機会が減っていると言われていますので、“植物の見せ方”を重視しています。具体的には、薬用植物の隣に生薬という薬用部位の標本をセットで配置することで、薬剤師国家試験でも問われる、どの植物のどの部位にどんな薬効があるのかを学生が理解できるように工夫しています。
-植物を見ただけでは、どうやって薬に使えるのかわからないので、生薬と隣同士に置くことでイメージもしやすいですね。
デジタル素材の活用にも力を注いでいます。QRコードを使って、スマホ一つで植物名や花が咲いた時の写真などを見られるようにしたり、一から作成したホームページ上で、日々変わる植物の様子を紹介する“今日の一枚”を更新したりしています。インスタグラムのフォロワーも伸びており、人気コンテンツとなっています。最近では、近隣植物園と共同で園内マップのデジタル化を進めており、植物の配置図がスマホ一つで簡単にわかるようなツールの開発を進めています。
-植物って、見た感じはどれも似ているので、名前がわかると嬉しいです。
名前がわからないと親しみを持てないと思います。私はかれこれ15年近く植物について研究していますが、植物への親しみが研究の原点になっています。現在では、薬用植物が学生にとってもっと身近な存在になってほしいという思いから、構内各所に果樹や薬樹を植えて解説ラベルを設置する“枚方キャンパス植物園化計画”を実行しているところです。
-植物が周りにあるだけで、気持ちも落ち着きますね。
はい、そこで私は教員、事務職員、学生の連携による”枚方QOcL(クオリティー オブ キャンパス ライフ)向上プロジェクト”を立ち上げ、学生・教職員の枚方キャンパスでの生活満足度を高める取り組みをしています。
-薬用植物園の見どころはいつですか?
夏から秋にかけてがピークです。青々しい葉っぱや花が咲き誇る姿は感涙ものです。当園はサイズこそコンパクトですが、栽培種数は多いので、世界中の薬用植物を30分程度で見て回れることがウリです。また薬用植物温室では熱帯地域の気候を再現しており、家庭菜園では決して見ることのできない植物もたくさんあります。
-これだけたくさんの種類の植物があると、見たい人は多そうですね。
毎年2回、薬草見学会を開催していますが、毎回大盛況です。幅広い年代の方から、毎回100名を超える応募があります。また、参加者が増えるにつれ、自発的に協力したいという学生も増え、薬剤師にとって必要となるスキルであるコミュニケーション能力を育む場となっています。
-100名を超えるとはすごいですね。
ラジオやローカルメディアサイトに出演した効果かもしれません。最近では小学生からの応募も届くようになりました。今は、もっと若い人にも植物に興味を持ってもらいたいという思いから、オリジナルハーブティーの試作なども行っています。
-先生はもともと薬用植物を研究されてきたのですか?
いいえ、私はもともと植物分類学を専攻していました。特に専門は水草です。海外を飛び回り、池があれば、胴長をはいて水草を採取するという生活をしていました。研究者として海外を転々と過ごし、日本に戻ってきたのは、本学に着任した3年前なんですよ。
-では、残り3問。単刀直入にお伺いします。
あと3問だけですか。まだまだお伝えしたいことがありますが、仕方がないですね。では、張り切っていきましょう!
-ありがとうございます。では、あなたにとって水草とはなんですか?
飛行機です。私は水草を追いかけて世界を飛び回ってきました。水草は、私を海外に誘う飛行機のようなものです。
-次に、先生にとって薬用植物とはなんですか?
“取っ掛かり”です。植物や自然に興味のない人でも、”薬用”とつくと興味が湧く方は多いです。興味のない人にとっての取っ掛かりとなれる植物だと思います。
-最後に、高校生に向けて一言お願いします!
若いうちにいろんなことに挑戦して、一つでもいいので、何か熱中できることを見つけてください!
-ありがとうございました。