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お知らせ

                                                                                             経済学部長 久保廣正

【新入生の皆様】

摂南大学ご入学、おめでとうございます。経済学部の教職員を代表してお祝いを申し上げます。これまでであれば、皆さん、さらには保護者の皆さんと一堂に会し、入学式において、お祝いを申し上げるところです。ただ、今年は新型コロナウイルス感染症が流行していることから入学式を中止し、また、講義の開始を延期せざるをえませんでした。どうかご理解願います。

【在学生の皆様】

 皆さんと再会することが遅れ、大変残念に思っております。ただ、既に教務部などから連絡があったように、5月25日(月)から講義が再開されます。その際、講義は従来のような対面式ではなく、webを利用したオンラインによるものとなります。ICTの技術をマスターし、新しい時代に入ったということを十分に認識したうえで、ともに経済学を探求したいと思います。

【新入生および在学生の皆様】

 世界及び日本経済は未曽有の危機に見舞われています。本年4月6日、国際通貨基金(IMF)は、「世界経済見通し」を発表しました。この見通しによれば、2020年の世界経済の成長率はマイナス3.0%、日本経済はマイナス5.2%と大幅なマイナス成長が見込まれています。1929年の大恐慌以来の落ち込みが予測されているのです。

 ただ、私は、この見通しより、さらに経済成長率が低くなるとみております。経済予測に携わった私の経験から判断しますと、こうした予測は本年3月中旬頃から作業が本格化したと思われます。すなわち、その時点でコンピューターに入力されたデータは、本年2月のものが中心であったでしょう。ご承知の通り、本年3月以降、情勢は急速に悪化しました。もし、3月以降という足元のデータに基づいて予測すれば、一層、悲観的なものとならざるをえないのです。

 皆さんが国際経済学で学んだ、あるいは学ぼうとしていることから明らかなように、1929年の大恐慌においては、各国が自国ファーストの経済政策を実施しました。為替の切り下げ競争、関税の引き上げ競争などであり、これらの自国優先政策が第二次世界大戦を引き起こす遠因となりました。こうした反省の下、第二次世界大戦後、国際通貨基金、世界貿易機関(1995年まではGATT)などが設立され、国際協調体制が形成されました。その結果もあって、2008年に起こったリーマン・ショックと呼ばれる世界的な金融危機は、比較的短期に収束されました。

 今回は各国とも自国内での対策に追われており、国際協調体制は弱体化しています。ただ、光がない訳ではありません。いくつかの効果的とみられる薬が報告されていますし、国際的な協調の下、ワクチンの開発も進められています。これらに成功すれば、経済情勢も好転する可能性があります。

 皆さんが本学で経済学を学ぼう、あるいは学んでいる時期、国際経済は従来にない危機に見舞われています。こうした環境であっても、ICTを利用することなどにより、しっかりと経済学を学び、新たな時代に向けて飛躍してもらいたいと思います。

 事態が終息し、この寝屋川キャンパスにおいて、皆さんとともに経済学を探求する時期が来ることを切に望んでいます。なお、経済学の学び方、将来の進路などについて、種々の不安があると思います。その際は、遠慮なくゼミの指導教員、あるいは私自身に連絡を願います。皆さんとともに解決策を模索したいと思います。最後になりましたが、屋内では「3密」を避け、屋外では行動を自粛するなどにより健康に留意し、新たな飛躍に向けて入念な準備をお願いします

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