経済学部
『教員に見る、摂南大学経済学部の学び』VOL.8 田中ゼミ
私たちの日常生活はもちろん、
環境やエネルギー問題にも関係する
世界の食料安全保障。
◆田中 鉄二講師
発展途上国では食料問題が大きな課題であることは明らかですが、実は多くの先進国でも低所得者層が健康的な食生活を送れていない実情があります。私が取り組むテーマは、食料安全保障です。簡単に言うと、世界中の人々が、安全で栄養価が高くバランスの取れた食料を、ある程度の価格でいつでも消費できることをめざす分野と言えます。発展途上国と呼ばれる地域が豊かになると、食料消費パターンに変化が起こり、所得の増加にともなって肉やコーヒーの消費量が増加します。コーヒー豆の需要は経済が発展している地域でも増加していますが、生産は赤道付近のような特別な気候の地域でしかできませんから、当然のことながら価格が上昇します。こうした農業や食料価格の変化も研究対象で、みなさんの日常生活にも大きく関わってくる問題です。さらに、環境やエネルギーなどの分野とも関わってきます。例えばサトウキビや大豆などの植物から生産された、気候変動に影響を与えないバイオ燃料が近年注目されていますが、大量の食料が使用されるため、食料不足を招くという新たな問題も生じています。
私のゼミは、食料分野はもちろん、広い視野から世界の潮流を理解できるようになる面白さがあり、とりわけ数値データを重視して勉強しています。数字を扱うことで事実をより正確に把握できるからです。インターネットでは多くの情報を簡単に手に入れられるようになりましたが、鵜呑みにするのではなく、常識と考えられていることが事実かどうかを分析する力を磨いてほしいと思います。