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出席した学生全員が英語で自己紹介 出席した学生全員が英語で自己紹介

ILUM大学の紹介を行う国際交流センターの職員  ILUM大学の紹介を行う国際交流センターの職員 

 経済学部では、毎年、後藤和子教授と原田裕治准教授が学生を引率して、IULM大学の特別授業を受講するとともに、IULM大学の学生や大学院生を受け入れ、合同ゼミや修士論文の副指導を務めてきました。今年度は、新型コロナウイルスの流行でお互いの訪問ができないため、IULM大学の教授陣に、2月17日~19日の3日間、オンラインの特別授業を企画していただき、経済学部と外国語学部の学生25名が、受講しました。

 IULM大学(International University of Languages and Media)は、1968年にイタリア・ミラノ市内に創設され、28か国の大学と協定を結び、大学・大学院生の20%は外国人という国際色豊かな私立大学です。大学院レベルの海外インターンシップにも意欲的に取り組んでいます。

 研修初日は、IULM大学の国際交流センターの職員による大学案内と、3日間の授業テーマである「クリエイティブ産業とミラノの競争力」について、フェリーリ先生が授業を行いました。クリエイティブ産業とは、創造性や文化を核とする産業のことで、文化産業と言い換えることもできます。イタリアは、観光が重要な産業の1つですが、多くの観光客は、イタリアの文化遺産や、食、ファッション、デザイン、建築等に触れることを目的に来訪するため、これらの文化産業は重要な観光資源でもあります。フェリーリ先生は、サービス産業が主産業となった脱工業化時代の今ほど、文化が社会・経済の共通基盤になった時はないと指摘しました。そして、イタリアの文化産業の規模や成長速度、政府の政策等について講義しました。

 2日目は、ファッション産業とニューロマーケティングの講義でした。フェラレッシ先生は、ファッション産業の歴史を振り返り、多文化の融合・職人気質・美のセンスが「メイド・イン・イタリー」のファッションを作り上げたと話しました。そして、技術・社会・環境やアートとも関連するファッション産業が、コロナ後にどう変化するかについて話をしました。さらに、この日、ユニクロがザラを抜いて世界一のファストファッション企業になったという話題に触れ、毎週のように新しいデザインの服が登場し、大量消費と大量廃棄を繰り返す現在のファッション産業は持続可能だろうか、と学生たちに問いかけました。ルッソ先生は、心理学や脳科学をマーケティングに応用するという最先端の研究を披露しました。人は意識で合理的に判断する前に、無意識に感情で商品を選択しています。消費者は、商品のどこを見、何を感じて購入を決めるのか、そのメカニズムを脳科学や生理学の実験手法で明らかにする研究で、その成果は、商品パッケージやラベルのデザインに生かされています。ソムリエと普通の消費者、男性と女性の目線の違いも分析しています。

 3日目は、デザインと建築に焦点をあてた授業が行われました。フェリーリ先生のガイドの下、イングリッド・タロウ氏をはじめとする建築・デザイン・ファッション分野の女性4人が講義を行いました。歴史的な街並みや建物に、最先端の建築物がうまく融合して、グローバル都市に発展してきたミラノの魅力や、自然素材と手作りの価値を重んじるスロー・ファッションの考え方が紹介されました。また、デザイン雑誌の編集者の話からは、外国の若いデザイナーを受け入れ、グローバルな才能が、「メイド・イン・イタリー」に新たな魅力を加えている様子が分かりました。ミラノ市がグローバル都市として成長しているのは、単に文化遺産があるからではなく、世界中から若い才能を受け入れ、その創造性を産業へと育てる仕組みがあるからだと気づかされる3日間でした。

 講義を受けた学生からは、「コロナ禍でもオンラインを通してイタリアを深く知ることができた」「ニューロマーケティングや文化産業に初めて触れた。今後より詳しく学びたい」「ミラノコレクションに代表される“衣服”に隠されたテーマを理解することができた」「英語の授業の理解度を高め、対等に会話できるよう語学力を培いたい」といった声が上がりました。

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