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お知らせ

2020 年 9 月 29 日(火)日本時間午前 9 時 20 分 [アメリカ中部時間では 9 月 28 日(月)午後7時 20 分] から、教職課程(英語科)の 3・4 年生と「Debate & Presentation」受講生の一部が、スティーブン・マークビ博士による遠隔の特別講義「Audience Profile: How Should I Teach What to Whom? [どんな相手に何をどう教えるのか]」に参加しました。現在、アメリカのミネソタ州在住のマークビ先生は認知言語学と修辞学がご専門で、これまでにヨーロッパ・アジア・北米・中東、と世界各地で教授経験があります。2004-2007年には摂南大学でも教鞭をとっておられました。今回は、教職志望学生が、授業で出会う学習者の置かれた社会や学習目的を、より広い視野で観るための「対象分析(=教員にとっての学習者・プレゼンターにとっての聴衆など、自分が働きかける相手についての分析)」をテーマに講義をお願いしました。

ケーススタディで取り上げられたのは、摂南大学とは非常に異なる、カタール国立大学の英語のライティングクラスでした。カタール国では、現在、人口の約 9 割が国外から来た人々です。カタール人学生は子どものころから、北アフリカや中東といったアラブ語圏 出身の人とはアラビア語で、アジア圏(主に、英語が公用語の1つであるインド・フィリ ピン)出身の人とは英語で、コミュニケーションを取っています。話すための英語は使い慣れているカタール人学生にとって、書き言葉としての英語を改めて学ぶニーズは何でしょうか?国全体が潤沢な天然資源収入のおかげで非常に裕福なため、学生には将来の高収入も高いポジションも約束されていて、学校の成績が就職にあまり影響しません。すると、 大学で英語を勉強する理由も、日本とはずいぶん違ってきます。教師に読んでもらって終わる課題ではなく、実際の社会を動かすことにつながる学習活動が、こういった学習者にとって(習熟度を問わず)非常に高い価値を持ちます。

マークビ先生は講義のテーマどおり、聴衆となる受講予定学生のことを尋ねながら何度も打ち合わせをし、内容や資料の準備をされました。当日は参加者一人一人と名前を呼んでやりとりをしながら講義を進められたので、学生たちも英語だけで通せました。

以下、参加者のフィードバックから抜粋です:
・久しぶりに英語で会話をしたので少し単語がでてこなかったりしたが、Markve 先生が 丁寧に対応してくださったのでやりやすかった。
・海外の大学での授業形態や内容は、実際に教えている先生の話を聞く機会は滅多にない。よい機会だった。
・カタールと日本の大学生の置かれた条件の違いに驚いた。
・カタール大学では学生は男女で分けられているのに、教師は男女どちらも教えられるのはなぜだろう?
・自分が将来移住を考えている国の英語に比べると、Dr. Markve の英語の方が私には聞き取りやすかった。さまざまな国の英語を聞き取ることができるよう、訓練を重ねたいと思うきっかけにもなったので、今回の授業は私にとって、とても大きな経験となった。
・ 事前にワークシートを記入したときには、学習者の置かれた society を狭く定義して考えていたが、講義の後ではもっと広い視点で考えるようになった。

この日に教育実習等でライブ参加できなかった学生たちは、後日、講義の資料を見ながら 録音音声を聴いて受講しました。前期から始まったオンラインの遠隔授業という形態は、教員も学生も対面授業との違いに戸惑うことも多かった一方で、こうやって海外からすばらしいゲスト講師を授業にお迎えする可能性も生まれました。参加した外国語学部生たちが、物怖じせず、初対面の海外の先生と英語で講義内容についてウェブ上でやりとりする姿は、見ていてなかなか頼もしかったことを付け加えておきます。

(齋藤 安以子 教授)

・写真は、講義中のマークビ先生。講義資料抜粋は添付ファイルをご覧ください。

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